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zoom RSS 『ラッキー・ユー』:滋味溢れる人間ドラマの秀作、映画通必見

<<   作成日時 : 2007/06/24 20:48   >>

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『イン・ハー・シューズ』のカーティス・ハンソン監督、エリック・バナ、ドリュー・バリモア、ロバート・デュヴァル主演の『ラッキー・ユー』のレビュー。

『イン・ハー・シューズ』のカーティス・ハンソン監督、それに作品選択眼に誤りのないドリュー・バリモア主演ということで、当初から期待していましたが、期待に違わない秀作でした。

ラス・ヴェガスのプロのポーカー師(エリック・バナ)が主役なので、『ハスラー』張りに「研ぎ澄まされたナイフ」のような映画を想像するところですが、緊張みなぎる映画ではない。
では、ポーカー師と新米歌姫(ドリュー・バリモア)の甘い恋愛映画を想像すると、それも裏切られます。

この映画は、「勝負についての洞察力はピカイチ」だが、「押しの一手ばかりで勝負自体は下手」なポーカー師が、反目していはいるものの、心の奥底でその偉大さを認め、乗り越えるべき壁として立ちはだかる父親との関係を通じて、成長していく物語である。父親に扮するロバート・デュヴァルが素晴らしい。

手持ちの現金がなくなったポーカー師が、同居する友人のデジタルカメラをチョロまかして質屋へ持ち込み、そのデジカメの値について駆け引きするオープニングから、観ている方としては、引き込まれてしまう。

その後、ポーカー師はポーカー世界選手権の出場権・出場登録金の金策に苦慮しながらも、その間にドリュー扮する新米歌姫と知り合い、「同じ女性と二度は寝ない男」と歌姫の姉から揶揄される彼が、彼女の中に「同じ体質」を感じ取り、恋愛関係を微妙なバランスで続けていく。

二人が同じ体質だと感じ、共感しあうシーンでのセリフが印象的だ。

歌姫の初舞台後にバイクでのタンデムデートで、ラスヴェガスを見下ろしながら、歌姫が言うセリフがそれだ。

「誰もが孤独を恐れているのね。」

二人が同じ体質であるが故に、クライマックスでの世界選手権での彼の「勝負の内容」を見抜くことができる。

さて、ポーカー世界選手権の出場権・出場登録金はなかなか手元に残らない。若干、ツキに見放されぎみなことも確かだが、人生においても「押しの一手ばかりで勝負自体は下手」なところが災いしている。

やっとの思いでチャールズ・マーティン・スミス扮する資金屋から出場登録金を借り受けるが、偶然出くわした父親に、その反発心から、出くわした食堂での父との賭けポーカーで、出場登録金をスッてしまう。父親は、「金は持って行け」というが、エリック・バナは受け取らない。それを傍で見ていたドリューのセリフがこれまた印象的である。

「無条件のやり取りは、勝負でのやり取りよりも複雑なのね。」

さて、映画は、どうにかこうにかで出場登録金を手に入れたエリック・バナは、決勝の場で父親と対峙することになる。

ここでのエリック・バナの勝負の付け方、それと優勝の行方の付け方は、カーティス・ハンソン監督らしい演出で唸らされる。

・父親を認める(勝負師としての深さ、その人生の生き方)。
・父親と母親の関係を認める(誤解していたことに対す氷解)。
・自分の勝負師としての自負(試合「=(手)」としては勝っているが、勝負として読みきられてしまった弱さを認める)。

これらの複雑な思いを一勝負に凝縮している。

下手をすれば、陰惨で破滅の道や、骨肉の勝負の世界へと落ち込んでいく世界を、
 勝負についての洞察力はピカイチ(=ビジネス能力は高い)だが、
 押しの一手ばかりで勝負自体は下手(=人間関係を読めなく成功しない)な男が
 成長していく物語
として、普遍的に捉えたところが、成功の一因と思う。

評価としては、★★★★☆。必見度は★★★★★★である。

<追記>
エリック・バナとロバート・デュヴァルの間でやり取りされる母(=妻)の形見の結婚指輪の使い方も抜群に巧い。

<追記の追記>
ポーカーのルールを知っていると面白さは120%だ(手札を配られたところからゾクゾクする)が、知らなくても100%の面白さである。

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
おもしろそう…w(*゜o゜*)w☆
でも、残念ながら地元の映画館では上映予定は無いようです…(涙)ちょっと遠方の劇場まで、電車を乗り継いで見に行かないとダメかも…るるる(T_T;)
マキサ
2007/07/01 13:02
マキサさん、コメントありがとうがとございました。都市部でも公開劇場・スクリーン数が限られています。この手の地味目の作品は、薦める側としても、少々薦めづらいところもありますね。
りゃんひさ
2007/07/01 13:38
こんにちは。この映画最高でした!「イン・ハー・シューズ」の監督の作品だったので非常に期待してみたら、期待を裏切らないできです!

Aのペアで降りた時にはぞくぞくしました。
ぷくちゃん
2007/11/29 06:16
トラックバックありがとうございます。大好きな監督の作品なのですが上映されませんでした。DVDで観てもすごく良かったです。
親子の愛僧が上手に描かれていたような気がします。
ぷくちゃん
2007/11/30 22:59
そうですね。
ポーカーのルールに詳しければ尚楽しめますが、
分からなくても見ているうちに分かりますし、
面白かったです!
miyu
2007/12/12 00:21
トラ・コメどうもです。
ポーカーが題材のギャンブル映画は、何本か見たことがありましたが、
この作品は緊迫感が伝わってきて、なかなか奥の深さを感じる事が出来ました。
ひらりん
2007/12/31 04:42
コメントありがとうございました。
TBもいただいたようですが、サイトの相性のせいでしょうか、反映されていないようです。
レビュー、読ませていただきました。私は、ポーカーのルールについては、ごく基本的なことしか知らなかったのですが、十分に楽しめました。勝負の駆け引きに緊迫感があり良かったです。
MANAMI
2008/02/09 10:00

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