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zoom RSS 『休暇』:生と死を抱きかかえる演出がうまいなぁ:Myムービー掲載

<<   作成日時 : 2008/06/21 01:09   >>

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幼い息子を連れた未亡人との結婚休暇のために、死刑での死刑囚支え役を申し出た、もうすぐ初老の域に差し掛かろうかという中年刑務官を通して、生と死を描いた映画である。

映画は、休暇を得た刑務官の様子と、支え役に至るまでの彼の様子を交互に描いていく。
淡々と。
ともすれば、混乱を来たしそうな構成だが、じっくりとした演出で、混乱することもない。

劇的なことは、そう、起こらない。

じっくりと、丹念に描いていく。

特に、死刑囚の妹が面会に訪れるシーン。
面会所で、透明硝子をはさんで無言で向き合うふたり。
ひとことも交わさず、面会を終える。
ふたりの思うところは伝わってくる。

それから、死刑囚が刑に処される前の、牧師から神の赦しを得るシーン。
ここも、じっくりじっくり撮っている。
「妹さんに何か書き残すことはないか」と刑務課長から問われ、便箋を前にして、死刑囚が一言も書かずに便箋を二つ折りにし、件(くだん)の刑務官に差し出す。
そこも思うところは伝わってくる。

この映画の演出で「上手いナァ」と嘆息したのは、件の刑務官と婚約者が式場で打ち合わせをしている最中に、幼い息子が行方知れずになってしまう件(くだり)である。

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息子は、式場の裏の階段の下方で疲れて眠っているのだが、それを見つけた刑務官が、その幼子を抱きかかえるシーン。
それまで、あまり心が通えなかった刑務官と幼子の間を抱きかかえるという行為で示すとともに、その直前に、末期の死刑囚を支え役として抱えるシーンが短くインサートされる。

生と死の対比を「抱きかかえる」という同じ行為を通じて描いている。

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同じことは、終盤で繰り返して演出される。

執行前から描かれるじっくりとした死刑執行のシーンでは、末期な暴れる死刑囚を抱きかかえ押さえる刑務官の姿を撮った後に、新婚旅行の夜のシーンを繋いでいく。
新婚旅行の夜には、おねしょをしたといって起きた幼子を抱きかかえるシーンが描かれている。
ここで刑務官は幼子に向かって「俺なんて中学生まで寝小便を垂れていたんだ」と、自身を吐露して、幼子を安心させる。
先に迷子になった幼子を抱きかかえる時は無言であったが、ここでは、会話を交わし、心が通うのである。

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死刑囚と幼子を同一の存在と捉えて演出しているのは、
 どちらも絵を描くのが好き
 運動ができない・苦手(死刑囚は縄跳びが上手くできず、幼子はキャッチボールができない)
という明示的な描き方もしているが、その両方を「抱きかかえる」という行為で描いているあたりが、「上手いナァ」と思った次第である。

映画的には★4つを進呈したところだが、ビデオ撮りの画面の質感がいまひとつもふたつもなので、★3つ半としておきます。

↓Myムービーのレビュー&採点はコチラから↓
http://info.movies.yahoo.co.jp/userreview/tyem/id330036/rid48/p1/s0/c1/

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内 容 ニックネーム/日時
死刑囚の犠牲の上に成り立った幸福と言う意味では、後味のいい作品ではないと考える人もいるでしょう。
しかし、「この仕事で飯を食っているんじゃぁ、ありませんか」と主人公の刑務官が言うように、世の中、きれい事だけでは片付きません。
物事のいい面と悪い面、生と死、すべてどこかで繋がっているからこそ、人はそれから逃れることなく、向かい合わなければならないのではないでしょうか。
そして、そうすることによってしか、次の局面には進むことはできないのです。
死刑囚は自身の罪によって死にました。でもそれは刑務官に一種の幸せを与えました。
刑務官が彼の死と真摯に向かい合ったからこそ得られたこの幸福は、決して後味の悪いものではないと思います。
ぷ〜太郎
2008/06/28 23:04

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