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help RSS 『チェンジリング』:ヒーロー不在のヒロイズムと女性観について

<<   作成日時 : 2009/03/01 22:18   >>

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とても評判のクリント・イーストウッド監督の最新作。ムービースターから名監督へ転換したのは極めて稀なこと。
さて今回は・・・・

というと、イーストウッドのヒロイズムと女性観が前面に押し出された作品でした。

予(かね)てから、イーストウッド監督作品には、「庇護されるべき女性像」と「男性を超越した強(したた)で畏怖すべき女性像」が混濁した形で提示されていました。
主人公の男性(ヒーローと言い換えてもよい)にとって、主人公と対する女性がどちらの立場にあるかで、どちらの傾向があるのかを感じていました。

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今回では、男性ヒーローが不在です。
息子を誘拐されたアンジェリーナ・ジョリー扮する母親、息子とは異なる別人を息子だといって事態の解決をしようとするLA警察。
LA警察の警部はアンチ・ヒーローの役割を担っています。

公権に立ち向かうひとりの市民として、ヒーローの役割をこの物語ではアンジェリーナ・ジョリーが担っています。
彼女の信念はイーストウッド監督描くヒーローそのもの。
そして、物語の途中で、公権警察の自己都合により精神病院に監禁されてしまった女性たちが登場するので、アンジー=ヒーローの図式はさらに高まっていきます。

しかしながら、アンジーが女性のため、公権警察に立ち向かうヒーローと同時に、守られるべき女性の役割も負わされており、彼女を守る立場の男性陣(ジョン・マルコビッチ扮する牧師や事件の真相を明かす刑事)の描写が弱いので、アンジーの立位置が不安定極まりない。
ここいらあたりは、イーストウッド監督初の女性映画といってもよい本作では、新境地といえるでしょう。

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ですが、後半、ヒーローとしてのアンジーの戦うべき相手がすりかわっていくのに少々興を殺(そ)がれました。

つまり、映画中ほどまで彼女が戦い対立していた相手は、公権警察(その代表が担当警部)であったのですが、後半の警察に対する聴聞会と真犯人の裁判の様子をカットバックして、いつしか犯人になってしまいます。

このあたりが、個人的には据(す)わりがわるいところ。

もしかすると、対立する相手を犯人にすりかえることの意味は、犯人がいう「地獄へ堕ちたくない」などのセリフや絞首刑の寸前まで歌う「聖しこの夜」から伺うならば、宗教との対峙・運命との対峙・神との対峙だったのかもしれません。
でも、そうだとすると、ちょっと唐突な感じがするような・・・・
もう少し、マルコビッチ牧師にそこいらあたりの役割を振って欲しかったなァと思います。

中盤までの秀逸さと後半の違和感を含めて★4つとしておきます。

<追記>
いつもながら、イーストウッド自ら作曲したテーマ曲はシンプルで力強いです。
映画中、アレンジを変えて、繰り返し登場するのですが、イーストウッドがアカデミー音楽賞にノミネートされないのは、どういうことなのかしら、と常々思っていました。
もしかしたら、イーストウッドは主旋律の4小節しか書いていず、その殆んどの展開をアレンジ及びオーケストレイションのレニー・ニーハウスが行っているからではありますまいか。

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