キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど

アクセスカウンタ

zoom RSS 『愛を読むひと』:愛とモラルと、その葛藤

<<   作成日時 : 2009/06/21 22:34   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 16 / コメント 0

画像


今年の洋画の中では一番の期待作でした。
原作も読んだし、監督スティーヴン・ダルドリー、脚本デイヴィッド・ヘアは『めぐりあう時間たち』のコンビ。
出来は・・・

満足しました!

原作を読んでいたので「彼女の秘密」については知っています。
その観点から見ると、ケイト・ウィンスレット演じるハンナの行動が判ります。

あなたに読んで欲しい、というところ。
サイクリングに出かけてランチのメニューを決めきれないところ。
路面電車(トラム)の上司から、次からは昇格して事務職だと告げられるところ。

画像


ここいらあたりの見せ方は、映画ならでは感じがしました。

そしてマイケルがハンナの秘密を知るシーン。
法廷での筆跡鑑定をするからと問い詰められるシーン。
ここは、ホントウに巧くて、マイケル同様、涙してしまいました。

そう、その秘密こそがハンナのアイデンティティであり、それも含めて受け容れてしまいたいと願うマイケルの愛なのでしょう。


この映画の良いところは、原作の趣を変更せずに、画として見せるところにあります。

刑務所に収監されたハンナに、マイケルが送る朗読テープの山。
受け取る際のハンナのミミズばしり書きのハンナの署名。
チェーホフの「小犬を連れた貴婦人」の朗読テープ、タイトルは6つの単語、そして初めは"the"、借りてきた本の"the"に○を付けていくハンナ。
テープを受け取る署名が拙いながらも"Hann..."と綴られていくさま。
青年になったマイケルに届くハンナの手紙、その拙い文字。

もうひとつは原作の刈り込み方が巧みです。

マイケルと家族(特に父親)とのエピソードを、師である法科の教授に振ったあたりが上手いと思います。

教授はいいます。
「ひとは何により社会でいきることができるのか。道徳(モラル)ではなく、法なのだ」と。
この映画では、この言葉は、反語として使われているようです。

過去の罪により刑を全うしたハンナの身元引き受けを承諾したマイケル。
数十年ぶりにハンナと再会するシーンで、ハンナが「あなたとの過去が甦った」と告げ、それ以前の過去の事件についての蟠(わだかま)りを告げるマイケル。
法の上に位置する愛とモラルがぶつかるシーンです。

画像


愛がモラルに負けてしまう。
愛があっても許容できない、包容しきれない、そこいらあたりがこの映画に感銘できるか、納得できるが、許容できるか、といった分かれ目ではありますまいか。

そう、単純なカタルシスを求めないあたりが、この映画の奥深さかもしれません。

2度3度観ると、また別の感慨があるかもしれません。

今回は★4つの評価としておきます。

<追記>
ほとんど「受けの芝居」に終始したケイト・ウィンスレットがアカデミー主演女優賞を受賞したことに、一入(ひとしお)の感慨を覚えます。

↓Myムービーのレビュー&採点はコチラから↓
http://info.movies.yahoo.co.jp/userreview/tyem/id332362/rid122/p0/s0/c0/

↓DVD&ブルーレイはコチラから↓
 

↓スティーヴン・ダルドリー監督、デイヴィッド・ヘア脚本の『めぐりあう時間たち』DVDはコチラから↓


↓スティーヴン・ダルドリー監督のデビュー作『リトル・ダンサー』DVDはコチラから↓



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(16件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
映画「愛を読むひと」
原題:The Reader ハンナ役を引き受けていたニコール・キッドマンが妊娠発覚により降板したといういわくつきのこの映画、焦点は年上の女性への憧れか親子の断絶か・・・!? ...続きを見る
茸茶の想い ∞ 〜祇園精舎の鐘の声 諸行...
2009/06/21 23:55
愛を読むひと
第81回アカデミー賞で、ケイト・ウィンスレットが最優秀主演女優賞を獲得した作品。原作『朗読者』(ベルンハルト・シュリンク著)も先日読了し、映画を楽しみにしていました。 というのも、原作では今一つ内容を感じ切れず、、、「映像で観た方が心に迫るかもしれないなぁ〜」と思っていたからです―【story】1958年。大戦後のドイツ。15才のマイケル(デヴィッド・クロス)は、36才のハンナ(ケイト・ウィンスレット)と激しい恋に落ちる。ハンナはマイケルに本の朗読を頼み、いつしかそれが二人の愛の儀式となる。しか... ...続きを見る
★YUKAの気ままな有閑日記★
2009/06/27 06:49
愛を読むひと◆◇The Reader
わずか1ページで終わった恋が、永遠の長編になるーーーーー。 6月20日、東宝シネマズ二条にて鑑賞。ケイト・ウィンスレットが本作でアカデミー賞主演女優賞をゲットした。いやあ彼女が立て続けに賞を受賞しているので、驚きです。勝利の女神が彼女に取り付いたのかもしれませんね。 そして本作は全世界500万人が涙したベストセラー小説「朗読者」の映画化だそうです。宣伝はもちろん、ケイトのオスカー受賞も効果してか?シアターにもお客さんが結構入ってました。話題になれば、やっぱり気になる。少しでも早く観たいという... ...続きを見る
銅版画制作の日々
2009/06/27 09:30
愛を読むひと◆◇The Reader
わずか1ページで終わった恋が、永遠の長編になるーーーーー。 6月20日、東宝シネマズ二条にて鑑賞。ケイト・ウィンスレットが本作でアカデミー賞主演女優賞をゲットした。いやあ彼女が立て続けに賞を受賞しているので、驚きです。勝利の女神が彼女に取り付いたのかもしれませんね。 そして本作は全世界500万人が涙したベストセラー小説「朗読者」の映画化だそうです。宣伝はもちろん、ケイトのオスカー受賞も効果してか?シアターにもお客さんが結構入ってました。話題になれば、やっぱり気になる。少しでも早く観たいという... ...続きを見る
銅版画制作の日々
2009/06/27 09:31
愛を読むひと
ナチスの戦争犯罪が追及される1950年〜1960年代を背景に、年上の女性に恋した少年の初恋と突然の別れ、そして再会。 ヒロインが背負う重い罪と、哀しい秘密により波乱の運命をたどる二人の30年に及ぶ、時間の流れの中で育まれた究極の愛の物語。 物語:少年マイ.... ...続きを見る
パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ
2009/06/29 02:54
愛を読むひと ケイト・ウィンスレット
映画愛を読むひとは、ベルンハルト・シュリンクのベス ...続きを見る
ネット社会、その光と影を追うー
2009/06/29 14:58
『愛を読むひと』
□作品オフィシャルサイト 「愛を読むひと」□監督 スティーヴン・ダルドリー □脚本 デヴィッド・ヘア□原作 ベルンハルト・シュリンク(「朗読者」) □キャスト ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、デヴィッド・クロス、レナ・オリン、アレクサンドラ・マリア・ララ、ブルーノ・ガンツ■鑑賞日 6月20日(日)■劇場 109CINEMAS川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> 第66回ゴールデングローブ賞では主演女優賞と助演女優賞に輝いたケイト・ウィンスレット。 本番のア... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2009/06/29 17:20
『愛を読むひと』を観たぞ〜!
『愛を読むひと』を観ました幼いころに恋に落ち、数年後に劇的な再会を果たした男女が、本の朗読を通じて愛を確かめ合うラブストーリーです>>『愛を読むひと』関連原題: THEREADERジャンル: ドラマ/ロマンス/戦争上映時間: 124分製作国: 2008年・アメリカ/ドイ... ...続きを見る
おきらく楽天 映画生活
2009/06/29 22:14
愛を読むひと
[愛を読むひと] ブログ村キーワード ↓ワンクリックの応援お願いします↓ 評価:7.5/10点満点 2009年63本目(58作品)です。 1958年ドイツ。 猩紅熱で体調を崩していた15歳のマイケル(デヴィッド・クロス)は、自分を助けてくれた21歳年上のハンナ(ケイト・ウィン.. ...続きを見る
必見!ミスターシネマの最新映画ネタバレ・...
2009/06/29 23:16
愛を読むひと
愛は本に託された 原題 THE READER 製作年度 2008年 製作国 アメリカ/ドイツ 上映時間 124分 映倫 PG-12 製作 アンソニー・ミンゲラ シドニー・ポラックドナ・ジグリオッティレッドモンド・モリス 原作 ベルンハルト・シュリンク 『朗読者』(新潮社刊) 監督 スティーヴン・ダルドリー 出演 ケイト・ウィンスレット/レイフ・ファインズ/デヴィッド・クロス/レナ・オリン/アレクサンドラ・マリア・ララ/ブルーノ・ガンツ ...続きを見る
to Heart
2009/06/30 23:20
愛を読むひと
愛は本に託された &nbsp; ...続きを見る
Addict allcinema 映画レ...
2009/07/10 11:11
「愛を読む人」高潔で気品ある囚人
「愛を読む人」★★★★☆オススメ ケイト・ウィンスレット 、レイフ・ファインズ 、デヴィッド・クロス 主演 スティーヴン・ダルドリー 監督、2008年、124分 、アメリカ 、ドイツ ...続きを見る
soramove
2009/07/10 11:30
「愛を読むひと」
「愛を読むひと」、観てました。 ...続きを見る
クマの巣
2009/07/15 11:13
映画;ザ・リーダー The Reader 鑑賞する人の人生経験の深さを問われる。
先に言っておくと、日本タイトル「愛を読むひと」は好きでない。 このため、上記も下記もその呼び方はしないことをご了承いただきたい(笑) ...続きを見る
日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF ...
2009/07/28 00:05
「愛を読むひと」
ケイト・ウィンスレット天晴れ!素晴らしい女優魂を見せてもらいました ...続きを見る
心の栄養♪映画と英語のジョーク
2010/01/16 15:51
愛を読むひと
ケイト・ウインスレットが嫌いです。(笑) だって、演技パターンみたいなのが決まっていて 何をやっても一色なんだもの。 しかしこの人、評価されてますよね。 アカデミー賞主演女優賞も取ったらしいし。 一応観ておきますか。 ...続きを見る
映画、言いたい放題!
2010/02/18 14:41

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『愛を読むひと』:愛とモラルと、その葛藤 キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる