キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど

アクセスカウンタ

zoom RSS 『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』:天使のように大胆に、悪魔のように繊細に@ロードショウ・シネコン

<<   作成日時 : 2009/10/13 23:30   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 13 / コメント 0

画像


現代日本映画界における文芸映画の巨匠・根岸吉太郎監督の作品なので、太宰治の小説は読んだことはないが(恥ずかしい)、見逃す手はないと思い、出かけた次第。

「観る文学」、なんてベタの評題も思いつきましたが、この太宰治をモデルにしたような夫婦の物語は、「天使と悪魔」の恋愛物語として観てみました。

「天使のように大胆に、悪魔のように繊細に」とは、映画の演出かくあるべしという黒澤明監督の名言です。

「生まれてきて、すみません」な小説家・大谷は、幼い時分に子守の姉やに言われたことが気にかかる。
墓場に置かれた輪っか(なんと呼ぶのか判らないのですが)、それを手前に廻して、少しでも反対側に回ると、地獄に堕ちるのよ。
子供の大谷は何度廻しても、その輪が止まるとき、反対側にちょっと動いてしまう。

生きていてもしようがないが、死んでしまえば地獄に堕ちる。
そんな思いで生きてきた。
「タンポポ一輪の誠実さ」ぐらいは持ち合わせたいが、生きるも死ぬも裏表。信じる信じないも裏表。
死ぬことは怖くはないが、地獄に堕ちるは怖いこと。
この世に揺ら揺ら、影だけ残して立ち上がる、地獄が怖い繊細な悪魔。
それが小説家の大谷穣治。

それが証拠に、「悪魔ってのは、もの静かにやってくるものなんですねぇ」とは、中野居酒屋椿屋主人のいう言葉。

画像


対して、大谷の妻・佐知は、大枚五千円の金を奪われた椿屋主人の話を聞いて、笑い出す始末。
「大谷さんは、酒(サケ)も出来、金(カネ)も出来、情婦(イロ)まで出来て」の主人の言葉。
悪魔の大谷にゃ平気の平左。
豪胆と申しましょうか、物事を杞憂しないと申しましょうか、金を返す当てなどないくせに、自らを椿屋の人質にして、と乗り出す始末。
ホンの手間にと手伝った、そのお運び姿が天使のよう。
常連客に「さっちゃん、さっちゃん、椿屋のさっちゃん」と持てはやされて、ははは、大胆、天使の佐知。

画像


・・・・・

戦後間もない中野周辺を舞台にして、リアルなセットの中で繰り広げられる妻と夫の物語を、そんな天使と悪魔の恋愛物語として観ることにしました。

そうでもしなけりゃ、大谷穣治という男、すこぶるつきのヤな奴に、抗しがたい魅力は如何ともしがたいし、
それに、まるで小説の一節のようなセリフ廻しの数々も、これも聞いていて心地よく、その魅力は如何ともしがたい。

監督・脚本・撮影・美術と、どれもこれもが「天使のように大胆に、悪魔のように繊細に」した結果、この理解しがたく納得しがたい男女のあいだの物語が、すこぶるつきの魅力となったのでしょう。
やっぱり「観る文学」と題しておけばよかったか・・・

評価は★4つとしておきます。

↓大谷、佐知の悪魔と天使に比べて、なんと臆病な人間たちでありましょうか。
画像


画像


↓Myムービーのレビュー&採点はコチラから↓
http://info.movies.yahoo.co.jp/userreview/tyem/id334057/rid67/p0/s0/c0/

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(13件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜
太宰治 生誕100年 ある夫婦をめぐる「愛」の物語 ...続きを見る
Addict allcinema おすす...
2009/10/17 01:02
「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」:巣鴨駅前バス停付近の会話
{/kaeru_en4/}ここを走っている山手線って、今年で命名100年なんだってね。 {/hiyo_en2/}えっ、じゃあ太宰治が生まれたのと同じ年に、山手線って名づけられたっていうこと? {/kaeru_en4/}そういえば、太宰治も生誕100年だったな。 {/hiyo_en2/}その太宰治の生誕100年を記念して撮られた映画が「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」。100年目にふさわしい映画だったなあ。 {/kaeru_en4/}どういう意味? {/hiyo_en2/}この映画、戦後まもなく... ...続きを見る
【映画がはねたら、都バスに乗って】
2009/10/17 22:24
昭和の女〜『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ』
 才能に溢れてはいるが大酒呑みで金にルーズ、女癖も悪い新進作家の大谷 (浅野忠信)は、馴染みの料理屋から金を盗んでしまう。しっかり&... ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2009/10/17 23:55
ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜
第33回モントリオール世界映画祭、最優秀監督賞受賞作品―【story】戦後の混乱期。秀でた才能を持つ小説家でありながら、大酒飲みで、多額の借金をして浮気を繰り返す大谷(浅野忠信)の妻・佐知(松たか子)は、夫が踏み倒した酒代を肩代わりするため飲み屋で働くことに。生き生きと働く佐知の明るさが評判となって店は繁盛し、やがて彼女に好意を寄せる男も現れて佐知の心は揺れる。そんな中、大谷は親しくしていたバーの女と姿を消してしまい―     監督 : 根岸吉太郎     原作 : 太宰治【comment】原作... ...続きを見る
★YUKAの気ままな有閑日記★
2009/10/18 13:09
ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜
[ヴィヨンの妻] ブログ村キーワード ↓ワンクリックの応援お願いします↓ 評価:6.5/10点満点 2009年89本目(83作品)です。 【あらすじ】 戦後の東京。 酒と女に溺れ、愛人までも作ってしまう小説家の大谷(浅野忠信)。 その大谷を健気に支える妻の佐知(松たか子.. ...続きを見る
必見!ミスターシネマの最新映画ネタバレ・...
2009/10/19 17:17
『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』
□作品オフィシャルサイト 「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」□監督 根岸吉太郎 □脚本 田中陽造 □原作 太宰治 □キャスト 松たか子、浅野忠信、室井 滋、伊武雅刀、光石 研、広末涼子、妻夫木 &nbsp;聡、堤 真一、山本未來、新井浩文■鑑賞日 10月12日(月)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> 入場開始のアナウンスが始まったので耳を澄ましていると、まだ日が浅い担当者なのか、あるいは映画を知らない担当者なのかわからないが、明らかに“... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2009/10/20 12:19
「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜 」私は産まれた時から、ずっと...
「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜 」★★★★ 松たか子、浅野忠信主演 根岸吉太郎監督、114分、2009年、2009-10-10公開 ...続きを見る
soramove
2009/10/27 07:49
恋する気持ちの原点。『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』
戦後の日本を背景に道楽ざんまいの小説家の夫と彼を支える妻の姿を描いた作品です。 ...続きを見る
水曜日のシネマ日記
2009/10/27 23:49
★「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」
TOHOシネマズの1ヶ月フリーパスもこれで打ち止め。 合計18作品をタダで見ることができました。 本作は、文豪・太宰治の原作・・・ 2009年は太宰の生誕100周年だったのね。 ...続きを見る
★☆ひらりん的映画ブログ☆★
2009/10/29 03:56
ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜
 『愛など信じたら、すべてが消えてしまうと、男は恐れている。 すべてを失った後に、残るのが愛だと、女は知っている。』  コチラの「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」は、昨年アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」がグランプリを受賞したモントリオー.... ...続きを見る
☆彡映画鑑賞日記☆彡
2009/11/04 23:48
ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜
太宰治 生誕100年ある夫婦をめぐる「愛」の物語 遅まきながらようやく鑑賞して参りました。何を隠そう、実は浅野忠信さんが好きです!だからどうしても観たい作品でした。破滅的な大谷の役は浅野さんにはぴたりはまっていますね。そんなダメな男をを支える妻佐知役にはあの松たか子さん。 才能はあるのだが、大酒飲みで、浮気を繰り返すどうしょうもない男性です、でも何故か?これがもてる・・・・。確かにこういう軟弱でどうしょうもない男性って何故か魅力がありますよね。女性の持つ母性をくすぐるのだと思います。母性はあ... ...続きを見る
銅版画制作の日々
2009/11/11 00:49
mini review 10454「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」★★★★★★☆☆☆☆
2009年に、生誕100年を迎える文豪・太宰治の同名短編小説を、『雪に願うこと』の根岸吉太郎監督が映画化した文芸ドラマ。戦後の混乱期を背景に、道楽ざんまいの小説家の夫に振り回されながらも、明るくしなやかに生きていく女性の姿を描く。逆境の中でも活力にあふれるヒロインには話題作への出演が相次ぐ松たか子、太宰を思わせる小説家に『モンゴル』などで海外でも評価の高い浅野忠信。さらに室井滋、伊武雅刀、妻夫木聡、堤真一ら豪華共演陣が脇を固める。[もっと詳しく] ...続きを見る
サーカスな日々
2010/05/03 12:05
『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』'09・日
あらすじ酒や金にだらしなく、女にすぐ手を出す小説家の大谷。妻の佐知は、夫の借金を返すために飲み屋で働き始め・・・。感想太宰治の小説の映画化で『サイドカーに犬』の根岸吉太... ...続きを見る
虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...
2010/09/18 15:42

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』:天使のように大胆に、悪魔のように繊細に@ロードショウ・シネコン キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる