キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど

アクセスカウンタ

zoom RSS 『最後の忠臣蔵』:残された男ふたりの相克を描く、と思いきや @ロードショウ・シネコン

<<   作成日時 : 2010/12/22 15:47   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 13 / コメント 4

画像


2010年下半期は時代劇ブーム。
そのような中で、これぞ「本命」と期待した一編です。
結果は・・・

ダメだこりゃ。

赤穂浪士生き残り二人の侍。
ひとりは、討ち入りを後世に伝え、討ち入りに参加しなかった浪士たち家族のその後を見守るという命を大石内蔵助から授かった寺坂吉右衛門。
ひとりは、討ち入り前夜に逃亡という形をとって、大石内蔵助の私事を守るという授かった瀬尾孫左衛門。

寺坂は公命を、瀬尾は私命を、主から受けたわけである。
そしてその命の根本にあるのは「生きる」ということ。

そんなふたりが討ち入りから16年後に出会うわけなのですから、期待しないわけにはいきますまい。

ですが、映画はそんなこともお構いなしに、瀬尾の方ばかり描きます。

まぁ、ぶっちゃけていいますと、大石の忘れ形見の娘を人目に育てるという命ですが、成長した娘は色香を漂わせ、いつしか瀬尾に恋心を抱くわけです。
ならぬ恋。
それを懇切丁寧に描くのですが、より悪いことに、人形浄瑠璃の『曽根崎心中』を引き合いに出して、カットバックで描いていきます。
その上、瀬尾が愚直で鈍感な侍然としていればよいものの、役所広司が繊細といえば繊細ですが、せせっこましい演技でイライラします。
まるで『失楽園』ではありますまいか。

その間、寺坂の置き去りになったまま。

うーむ、なんだかなぁ。

ここは、瀬尾を愚直で鈍感な侍としておかなければ、終盤が活きてきませんよ。
愚直であるが故に、大石の命を果たした後は、四十七士のひとりとして、侍として殉じたい、と描いてくれないと。

後半は、大石の忘れ形見の娘の輿入れ。

ここで、残された赤穂の元家臣たちが何処からともなく集まってくるのですが、前半で浪士たち家族のその後を見守るという寺坂の行動を描いていないので、唐突な印象が拭えません。
まぁ、これが忠臣、自ずと集まる、といわれればそれまでですが。
その残された忠臣のひとりとして田中邦衛が登場するのですが、杉田監督とドラマ『北の国から』つながりとはいえ、余計なこと。

で、終盤。

ほぼ見当がつくのですが、忠臣として生きる寺坂、忠臣として殉じたい瀬尾、そのようすが底が浅いため、これもまた唐突です。
その上、『曽根崎心中』を引き合いに出したがため、浄瑠璃のお初・徳兵衛が、大石・瀬尾になってしまいましたよ。
これにはビックリ。忠臣の殉死が、恋情の果ての心中と同じということなのか・・・

いやはや、美術や撮影は素晴らしいのですが、中身がちぐはぐで、評価は★2つです。

↓DVD,Blu-rayはコチラから↓
 



--------------------
2010年映画鑑賞記録

 新作:2010年度作品
  外国映画45本(うちDVD、Webなどスクリーン以外10本)
  日本映画27本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 6本)←カウントアップ

 旧作:2010年以前の作品
  外国映画90本(うちDVD、Webなどスクリーン以外89本)
  日本映画22本(うちDVD、Webなどスクリーン以外20本)
------------------

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(13件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
最後の忠臣蔵
有名な赤穂四十七士の生き残りと、討ち入り前夜に逐電して生き残った2人の侍がいた。討ち入りから十六年、二人の忠臣蔵はいまだ続いていたのだった…。『四十七人の刺客』の池宮彰一郎の同名小説を映画化。監督は『北の国から』の杉田成道。生き残った2人の武士を役所広司と佐藤浩市が演じる。共演に安田成美、山本耕史、伊武雅刀、桜庭ななみといった若手からベテランが揃った。 ...続きを見る
LOVE Cinemas 調布
2010/12/22 17:24
「最後の忠臣蔵」大石内蔵助の命を最後まで全うした2人の赤穂浪士
12月18日公開の映画「最後の忠臣蔵」を鑑賞した。 ...続きを見る
オールマイティにコメンテート
2010/12/23 22:29
映画「最後の忠臣蔵」感想
映画「最後の忠臣蔵」観に行ってきました。 「忠臣蔵」として有名な元禄赤穂事件で生き残った赤穂浪士達の後日譚を描いた、佐藤浩市および役所広司主演の時代劇作品。 物語は、元禄赤穂事件で赤穂浪士四十七士が悲願を達成し泉岳寺に到着した後、大石内蔵助が寺坂吉右衛門(てらさかきちえもん)を呼び出し、事件の真実を ...続きを見る
タナウツネット雑記ブログ
2010/12/24 00:17
最後の忠臣蔵 古き良き時代劇
【{/m_0167/}=51 -14-】 先週末同様、今週末も仕事、次の休みは23日の祝日だ、海に浸かりたいよ〜(ノд-。)クスン しかし、役所広司さん、どんな役回りであっても、あかん、やっぱ「だいわはうちゅ〜」がちらついてしまう、俺。 ...続きを見る
労組書記長社労士のブログ
2010/12/24 09:59
『最後の忠臣蔵』
&nbsp; □作品オフィシャルサイト 「最後の忠臣蔵」□監督 杉田成道□脚本 田中陽造□原作 池宮彰一郎□キャスト 役所広司、佐藤浩市、桜庭ななみ、安田成美、笈田ヨシ、山本耕史、伊武雅刀、風吹ジュン、田中邦衛、片岡仁左衛門■鑑賞日 12月11日(土)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★★(5★満点、☆は0.5)<感想> いまサムライシネマキャンペーンが行われている。 同一劇場で観なければならないと夫婦二人とも思い込んでいて、よくよく説明を見てみると、 5作品、どこの劇場... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2010/12/26 22:23
最後の忠臣蔵
           ...続きを見る
to Heart
2010/12/30 21:48
『最後の忠臣蔵』の販売戦略
 【ネタバレ注意】 ...続きを見る
映画のブログ
2010/12/31 14:55
最後の忠臣蔵
最後の忠臣蔵'10:日本◆監督:杉田成道「北の国から」(TVシリーズ)「ラストソング」「優駿 ORACION」◆主演:役所広司、佐藤浩市、桜庭ななみ、山本耕史、風吹ジュン、安田成美 ... ...続きを見る
C'est joli〜ここちいい毎日を〜
2011/01/04 11:38
「最後の忠臣蔵」感想
 池宮彰一郎原作。年末時代劇スペシャルの定番「忠臣蔵」の後日談を、実力派・役所広司、佐藤浩市主演で映画化。  本作の影響で、悪役のイメージの強い吉良上野介義央だが、地元... ...続きを見る
狂人ブログ 〜旅立ち〜
2011/01/07 19:01
最後の忠臣蔵
 『最後の忠臣蔵』を有楽町の丸の内ピカデリーで見てきました(ネタバレあり)。 ...続きを見る
映画的・絵画的・音楽的
2011/01/09 18:01
最後の忠臣蔵
 『生き尽くす。 その使命を、その大切な人を、守るために。』  コチラの「最後の忠臣蔵」は、池宮彰一郎の同名小説を映画化した12/18公開のセンチメンタル時代劇です。監督は、 ... ...続きを見る
☆彡映画鑑賞日記☆彡
2011/01/11 22:58
最後の忠臣蔵 (上)
近年、主に藤沢周平の小説を原作とした正統派時代劇が積極的に映画化されていますが、それらにほぼ共通するのは封建制が成熟しきった江戸時代における「武士の生き様」を描いている点で、本作のテーマは、たとえば『必死剣 鳥刺し』のそれとほとんど差異はないでしょう。ただ、ストーリー的にも演出的に ...続きを見る
WEBLOG:e97h0017
2011/01/17 18:21
最後の忠臣蔵 (下)
本作のテーマ表現のもうひとつの核となる武士の生き様についての描写もまた「美しさ」を伴って表現されていたということになると思います。『必死剣 鳥刺し』における「武士の生き様」は、そのレビューでも書いたとおり、ラストシーンの壮絶な殺陣に代表される剣によって表現されており、さらに主人公の死を ...続きを見る
WEBLOG:e97h0017
2011/01/17 18:22

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ホントにこりゃダメですな。
大石と心中してどうするよ、孫左衛門。
かばくん
2010/12/23 23:39
かばくんさん、コメントありがとうございます。
鑑賞から今日までよくよく考えてみたのですが、脚本・田中陽造がキーポイントでしょう。

近作『ヴィヨンの妻』『透光の樹』まで、男と女の情念・情恋に拘(こだわ)った脚本家が、判りやすい主君への忠を描くとは到底思えません。

「曽根崎心中」のお初・徳兵衛を可音・瀬尾に見立てるかのように見せかけて、その実、瀬尾・大石の暗喩と意図的にした、と感じます。
(人名の並びにご注意ください)

田中陽造は脚本で「忠君とは、主君へ情恋にほかならない」と描いたのでしょう。

そう考えると、瀬尾は可音の乳母役。
女性(にょしょう)の役回り。
可音の先に大石を憧憬(み)ている。

残されたふたり、寺坂は公命を受けた男性の役回り。

中盤、板の橋の上で絶叫する寺坂と、橋の下で息を殺して泣く瀬尾。

その様は、板を挟んでの、残された男性・女性の象徴とも取れましょう。
りゃんひさ
2010/12/26 12:14
時代劇ファンなので、見に行こうかと思ってましたが…

や〜めた。
優駿
2010/12/29 09:54
遅ればせながら、今年もよろしくお願いします。

時代劇ファンなら、これは観ないといけませんよ、優駿さま。
ここ数年の時代劇では傑作の部類です(断言します)。
確かに曽根崎心中の引用がイマイチうまくいっていないのは確かですが、それを割り引いても、時代劇ファン、原作ファンをうならせる仕上がりとなっております。

アール・ケイ
2011/01/17 01:00

コメントする help

ニックネーム
本 文
『最後の忠臣蔵』:残された男ふたりの相克を描く、と思いきや @ロードショウ・シネコン キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる