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zoom RSS 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』: 永訣、告悔、希望。リアルに感動 @ロードショウ

<<   作成日時 : 2012/02/18 23:38   >>

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もう名匠といってもいいスティーヴン・ダルドリー監督の新作は、911で突然父親を亡くした10歳の少年の再生の物語。
再生の物語・・・もしかしたら、ちょっと「手垢がついてしましまった」なんて受け取られそう。
だけど、311を経験した後の日本においては、その心情が非常にリアルに感じられて、切なくなってしまいます。

主人公の少年は911で突然父親を喪います。
それまで父親と「ニューヨークの喪われた6区探し」をしていた少年。
彼がふとした偶然から、父親が秘密にしていた鍵を発見し、その鍵が開くべきところを見つけることで、少年は父親に近づき、かつ訣別しようと試みます。

前半は、生前の父親と交流していた場面を織り交ぜながら、少年の錠探しを描いていきます。
この時間を交差させながらの描写は、スティーヴン・ダルドリー監督が得意とするところであります。
ただし、のべつ幕なし流れる音楽が気になるところ。

アスペルガー症候群ではないかなどと疑われるぐらい、ひととの交流を不得手とする少年が、911に後遺症も抱えながら、決断をして鍵の開くべきところを模索して、様々の人々に会っていくあたり、短いながらも相手のキャラクターも際立っていて見所があります。

中盤以降は、ふとしたキッカケから、祖母のアパートメントの間借人の老人とともに探索を続けることになります。
この間借人を演じるマックス・フォン・シドウが素晴らしい。
かねてからの名優でしたが、ひとことも口をきかない今回の役は、その風貌とも相まって抜群の味わいです。

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終盤、鍵の正体(というか落ち着き先というか)が明らかになってからの畳み込みがドラマを加速させます。

少年にとっての911は、ただ単に父親を亡くしただけではなく、ある種、父親に対しての裏切りがあり、その後悔ゆえに、父親と訣別ができていないことが明らかになります。
裏切りというと、少々語弊があるかもしれませんが、躊躇ゆえの戸惑い(とその行動も)は、彼の心の中にトラウマを負わせています。
このトラウマを告白することで、少年は踏ん切りをつけていくのでありますが、物語はさらに展開をみせていきます。

この展開については、ネタバレになるので書きませんが、希望を感じさせる家族の愛、周囲のひとびと(それも他人といっていいひとびと)の愛を感じるものです。
この展開が、311を経験した日本においては、その心情が非常にリアルに感じられて、切なくなって、泪したものです。

演出上、少々うるさいところがなきしもあらずですが、評価としては★4つ半としておきます。

 

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2012年映画鑑賞記録

 新作:2012年度作品
  外国映画 2本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 0本)←カウントアップ
  日本映画 2本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 0本)

 旧作:2012年以前の作品
  外国映画 5本(うち劇場 0本)
  日本映画 2本(うち劇場 2本)
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古い鍵と472人のブラック。 祖母の部屋の間借人。 6件目のメッセージとブランコ。 ...続きを見る
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2012/02/28 10:51

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
いつもお世話になっております。
「三毛猫《sannkeneko》の飼い主の日常」sannkenekoと申します。

オスカーが留守電のレコーダーを買い換えて取り替えるシーンが
賢いようでも子ども・・・でも?だったのですが、
6件目の留守電で謎が解けました。
鍵穴の持ち主探しに彼があれほど熱中したのは、
父へのある種の贖罪もあったのだと思うと可哀想で仕方がありませんでした。
ただオスカーを見守り助けることでリンダもまた救われていった。
>希望を感じさせる家族の愛、周囲のひとびと(それも他人といっていいひとびと)の愛を感じるものです。
大切な人々を奪われた心に深い傷を負った母子が再生に踏み出した情景は
何とも温かかったです。
帰ってきた間借り人が何とも微笑ましく感じました。
sannkeneko
2012/02/28 11:21
アカデミー賞ノミネート作品で、9.11がらみのお話、そして興味を引く予告編。ぜひみたかったです。正直、9.11のことが話の大半と思ってました。確かにそれによって残された少年、少年の母親たちが大きく傷つき変化はしていきますが、そこからいかに再生していくかなどが
この物語の大切なところです。おっしゃわれたように、話の展開のさせ方が非常に上手いです。傷つき、騒ぎ、母に冷たくあたる、間借人や出会った人たちなどにも八つ当たりする。本当につらいだけの映画だとおもってた矢先に、後半の展開。なんとも上手い。なんなんだ君はと思いつつ、自分自身にこの少年を置き換えてみる。父親のこと、母親のこと、自分自身のこと、周囲の人たち、なるほどそうだったのかと納得する節が後から浮かび上がる。みてないようで、実は深い愛情のまなざしがある。この映画を観られてそう思われた方も多々いたのではと--マックス・フォン・シドウが素晴らしいのは、言うまでもありませんが、トム・ハンクス
そしてサンドラ・ブロック わたしはサンドラ・ブロックが特に心に焼きつきました。
★4つ半なるほど!




mizu223
2012/03/11 04:00

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