キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど

アクセスカウンタ

zoom RSS 『イキガミ』: 遣る瀬無さが残る、もうひとつの現代 @レンタルDVD

<<   作成日時 : 2012/12/01 10:34   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

画像


コミックが原作だそうだ。
命の尊さを根底に、国家の繁栄を維持するために、国家繁栄維持法なる法律が制定された日本。
18歳〜24歳までの男性女性は、無作為に定められた時に死を迎え、それを伝えるのが厚生保健省の役人。
彼ら役人が持ってくる一枚の紙は「イキガミ」と呼ばれている・・・

うーむ、なんだこりゃ、この設定。
無謀な設定だなぁ、ほとんどムチャクチャといってもいいぐらい。

まぁ、過去のSFでは、
30歳で死を迎える管理社会から脱出する若者を描いた『2300年未来への旅』とか、
出産制限をされた中で、出産を試みる夫婦の『赤ちゃんよ永遠に』とか、
同じく子どもが生まれなくなった世界で、唯一生まれる子どもを守る『トゥモロー・ワールド』とか、
近いところでは、時間が通貨となった社会でのギャングスターを描いた『TIME タイム』などがありましたが、

それにしても、太平洋戦争時の日本のヘンテコリンなパロディとしか思えない設定に、唖然とします。

でも、この映画を観ようと思ったのは、監督が瀧本智行だということ。

瀧本監督の東映版『はやぶさ』は、非常にまじめで、日本の技術と信念を正面から描いていました。
また、りゃんひさは観ていないのですが、過去作品『樹の海』『スープ・オペラ』も、妻からは真面目で好感が持てる、と聞いていました。

ですので、さて、そんな監督が、このような題材をどう料理するのかに期待しました。

その結果はというと・・・

やはり真面目。

命を失う三人の若者のエピソードが描かれてますが、それぞれに、説得力をもって描いていきます。

路上演奏からメジャーデビューを果たし、初めてテレビ出演する青年。
でも、コンビの相方は音楽会社が用意したお仕着せ。歌もお仕着せ。
デビューできなかった路上演奏時代の相方に、死んでいく自分の遣る瀬無さと、デビューできなかった相方に未来を残そうとする気持が綯い交ぜになって歌うラストソング。

国会議員を母親に持つ引きこもりの青年。
突然失われようとしているこの命は誰のものか。
失われようとしている命を選挙に利用する母親に、彼が突きつける決断は、虚しくも潰えてしまう。

事故で視力を失った妹を持つ青年。
反社会的な活動で生活をする彼。
最後にまっとうなことをしようと決断し、妹に自分の角膜を移植しようとするが、兄の死を知った妹は拒否してしまう。
そのとき、彼がとった決断は・・・・

いずれも、残された時間をどのように生きるのかを、正面から描いていきます。
この恥ずかしいぐらいの「正面から描く」というのが、瀧本監督の持ち味です。

また、残された時間を必死に生きるひとを、見つめざるを得ない役として、「イキガミ」配達人の青年が登場します。
彼も、このムチャクチャな国家システムに対して、遣る瀬無さと憤りを感じます。
だからといって、このシステムを壊すような活動もできず、遣る瀬無さが募ります。

先に挙げた過去のSF映画には「センス・オブ・ワンダー」のきらめきがあるのですが、この映画にはそれがありません。

製作方針は「泣ける映画」だったのかもしれませんが、瀧本監督が真摯に取り組んだ結果「遣る瀬無さが残る、もうひとつの現代」になったような気がします。

評価は★3つ半としておきます。



------------------
2012年映画鑑賞記録

 新作:2012年度作品
  外国映画50本(うちDVD、Webなどスクリーン以外19本)
  日本映画19本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 5本)

 旧作:2012年以前の作品
  外国映画34本(うち劇場 0本)
  日本映画10本(うち劇場 2本)←カウントアップ
------------------

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
この監督恐ろべし。
こんなのまで超真面目に撮っている!
ぷ〜太郎
2013/01/05 00:27

コメントする help

ニックネーム
本 文
『イキガミ』: 遣る瀬無さが残る、もうひとつの現代 @レンタルDVD キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる