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zoom RSS 『さよなら渓谷』:宿命に縛られ繋がれた男女の哀しみ悲しさ @ロードショウ・一般劇場

<<   作成日時 : 2013/07/20 11:20   >>

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吉田修一の同名小説を、大森立嗣が監督した『さよなら渓谷』、遅ればせながら劇場で鑑賞しました。
チラシをチラチラと流し見程度で、ほとんど前知識なしで観たので、ええええぇ、と驚きの展開でした。
吉田修一作品では、過去に『悪人』と『パレード』を観ていますが、この映画も『悪人』同様、近松門左衛門の「道行(みちゆき)」のハナシで、吉田修一という作家は、余程「道行」が好きなんだなぁ、と思いました。

さて。

東京の郊外、それもかなり山間部、あまり豊かとはいえない集合住宅。
児童死体遺棄の事件をきっかけに、事件の隣家に住まう若い夫婦の過去が明らかになっていく・・・

過去に起こしたレイプ事件の加害者と被害者、そのふたりが一緒になって暮らしている。

一緒になって、ではなく、一緒にならざるを得ず、か。
暮らしている、ではなく、暮らさざるを得ず、か。

ひとつの事件は、加害者はもとより、被害者の人生を変えてしまい、その人生は分け隔てることができず、重なり合うしかない。
互いが、互いの人生に繋がれて縛られている。
縛られて、繋がれているから、別れがたい。

一緒に暮らしているからといって、その先に「しあわせ」を見出すことはない。

哀しさと、いうか、悲しさ、というか。
遣る瀬無さ、というか。

宿命(さだめ)というか・・・

ふたりが別れがたく、ひとつのものの表と裏を表す秀逸なシーンがあります。

拘置所に収監された男に、女が面会するシーンです。

浅黒い男の顔。
どこまでも白い女の顔。
面会室のガラス越しに話すふたり。

ガラスに映った男の浅黒い顔の影が、女の白い顔の右半分を、黒く染めています。
会話が進み、そのシーンの最後に、男が少し左に動き、そのことで、女の顔全体が、黒く染まります。

このシーン、この演出には、ハッとしました。
古典的な演出なのですが、非常に映画的で、この映画の肝的シーンです。

後半の「道行」のシーンが若干長く冗漫ですが、真木よう子、大西信満の演技も素晴らしく、評価は★4つ半としておきます。

<追記>
「道行」の映画といえば、やはり、トリュフォーの『隣の女』を思い出します。

 

 

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2013年映画鑑賞記録

 新作:2013年度作品
  外国映画14本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 4本)
  日本映画 8本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 0本)←カウントアップ

 旧作:2013年以前の作品
  外国映画32本(うち劇場 2本)
  日本映画 6本(うち劇場 1本)
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こんな話もありなのかという驚きと、妙な納得感。
真木よう子は実にうまく難しい役をこなしているし、大西信満は、演技はへたなのだけれど、これまた妙な存在感があって役にはまっている。
不幸な出会い方をした男女が、不幸を背負って希望を捨てて暮らしていく。それでもいつしかそこには幸せと呼ぶには抵抗があるけど、でもそうとしか言いようのない小さな幸せが育ち始める。この二人はそうした宿命をもっているのか・・・。現世では決して幸せを受け入れられない二人でも、生まれ変わったなら、今度こそ幸せな出会いをしてほしいと
思わずにはいられなかった。
ぷ〜太郎
2013/09/04 18:42

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