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zoom RSS 『ぼくたちの家族』:結果ではなく、決断する過程が素晴らしい映画 @ロードショウ・シネコン

<<   作成日時 : 2014/05/28 22:46   >>

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舟を編む』の石井裕也監督の最新作『ぼくたちの家族』、鑑賞しました。
鑑賞する前は、前作はフロックではなかろうかなんて穿ったりもしましたが、石井監督の手腕は確かなものでした。
さて、映画。

東京から離れた山梨のベッドタウンの暮らす若菜克明と妻・玲子。
夫・克明は小さいながらも会社社長、山梨とはいえ、ふたりが暮らす一軒家はかなり大きい。
それもそのはず、ふたりの息子は独立して、長男・浩介は結婚して、都心のマンションに暮らしており、妻が妊娠三か月。
弟・俊平は、独り暮らしをして都心の大学に通っている。
妻・玲子は、同性の友人からの誘いがあると、都心の喫茶店に出かけていくという身分。

なに不自由なく、なんの不足もないような家族。
それがある日、妻に脳腫瘍が発見され、かなり進行していることが判明する・・・

と、一見すると、難病を通じて、家族の崩壊と再生を描くありきたりの(それも、泣かせようとする)映画のようにみえます。

しかしながら、この映画、アプローチが違います。

ありきたりの映画は、「再生できてよかった」もしくは「がんばったけど、死んでしまった・・・」みたいな「結果主義」です。

が、この映画では、問題が起こったら(または明らかになったら)、それらの問題で一番重要なことに対して、できうるかぎりのことをしていこうというが描かれています。
「過程主義」とでもいいましょうか、そんな感じです。
で、その過程で重要なのは、「決断」です。

妻(母)の重病をとおして表面化した家族の問題は、多大な借金であり、父の優柔不断さであり、父母の虚栄心であったり、判っていながら無関心を装いふるまっていた息子たちでした。

それらの問題を解決するのに、まずは母の治療を第一にし、リーダシップをとらなければならないと決意する長男、長男を何が何でも支えると飄々としながら決意する弟、このふたりの描き分けが素晴らしいです。

特に、意識が混濁してしまった母から誰何されてしまっても、心を折らない長男像には感銘しました。
また、終盤、借金問題を解決するにあたって、これまでの体面や見栄を捨てて、長男の妻に頭をさげる父親像にも、それまで数々の優柔不断さをみているからこそ感銘を受けました。

この映画、家族を扱った映画なのですが、会社員生活が長いりゃんひさには「マネジメント」の見本のようにみえました。
問題に優先順位をつける、対応方針を立てる、役割を決める、実践する、実践においては常に決断が迫られる・・・

「マネジメント」とは、Plan、Do、Check、Actionのサイクルを回すことです。
すなわち、「過程」です。
「結果主義」ではないのです。

『ぼくたちの家族』を観てそんなことを思いました。

しかし、マネジメントなんて言葉を知らなくても大丈夫。
この映画に登場するひとびとの行動は、じたばたしていても潔い。
それは決断しているから。
そこがこの映画のいちばん優れている点でしょう。

評価は★4つとしておきます。

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2014年映画鑑賞記録

新作:2014年度作品:25本
 外国映画16本(うちDVDなど 3本)
 日本映画 9本(うちDVDなど 0本)←カウントアップ

旧作:2014年以前の作品:79本
 外国映画61本(うち劇場 3本)
 日本映画18本(うち劇場 3本)
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タイトル (本文) ブログ名/日時
「ぼくたちの家族」映画の中では奇跡を見せて欲しい
「ぼくたちの家族」★★★★ 妻夫木聡、原田美枝子、 池松壮亮、長塚京三出演 ...続きを見る
soramove
2014/06/14 10:46

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
確かに結果ではなく、ここに描かれているのは過程です。ようやくゼロの地点まではいあがってきた家族の、そのはいあがる様子がうまく捉えられていますね。お母さんが治療の余地があると判断されたといえども、本式の治療はこれから。この家族も、本当の試練はこれから。スタート地点に立つまでの家族の話です。それを肩ひじ張らずにうまく描いていて好感がもてる作品です。
ぷ〜太郎
2014/06/28 15:51
ぷ〜太郎さま、いつもコメントありがとうございます。
とにかく映画では結末に結果を求めがちですが、スタートに立つだけでも大変、ということが伝わってきましたね。
今後も、ごひいきに。
りゃんひさ
2014/06/30 23:29

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