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zoom RSS 『天国の門 デジタル修復完全版』:まだ尺が足りない超大作 @キネカ大森・日本最終上映

<<   作成日時 : 2015/05/15 00:19   >>

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マイケル・チミノ監督の超大作『天国の門』。
2013年に劇場公開された「デジタル修復完全版」が日本最終上映ということなので、キネカ大森へ出かけて鑑賞しました。
20年以上前に今回と同じ(なのかどうかわからないが)長尺版を観たときは、米国歴史の陰での男女の恋愛模様、といった印象を受けていましたが、今回再鑑賞したら、全然ちがう!
今回鑑賞した印象は、ひとことでいうと・・・
歴史の前では、インテリなんて為すすべなど何もない。その歯がゆさ、無力さ
でした。
さて、映画。

1870年の米国東部のハーバート大学、卒業式の日。
ジェームズ・アベリル(クリス・クリストファーソン)とウィリアム・アーバイン(ジョン・ハート)。
上流階級の子息でふたりには前途洋洋の未来があるはずだったが、アーバインは式の騒乱の中、「もうこれで終わりなんだ・・・」と寂しくつぶやく。

それから20年。
西部ワイオミング州へ向かう蒸気機関車の客車に、保安官となったアベリルの姿があった。
列車の客車には、無数の東欧からの移民を乗せて・・・

そのワイオミングでは、多数の東欧移民と既存のアングロサクソン(初期入植者)との間で軋轢は生じていた。
自分の土地が持てると信じていた移民たち。
既存の権利が侵されると不安になる初期入植者たち。
特に、家畜業者の間では、自分たちの土地を開墾され、かつ牛も盗まれると被害が続出している。
彼らは、そんな輩を私刑にするため、何人かの殺し屋を雇っていた。
ネイサン・チャンピオン(クリストファー・ウォーケン)もそのひとりだった。
そして、アベリルの旧友アーバインは牧畜業者側であるが、私刑に対して反対の立場であるが、彼にはどうすることもできず酒浸りになっていた・・・

と、このあと、アベリルとチャンピオンと娼館主エラ・ワトソン(イザベル・ユペール)の三角関係を織り込みながら、家畜業者協会が大量に雇った私兵と移民たちとの武力激突へとなだれ込んでいく。

巻頭の卒業式のシーンから、ゆったりとした流れで映画は進んでいくのですが、その緩慢さは意外と心地よい。
ハーバード大学の中庭、一本の大樹の周りで繰り広げられるダンスシーンは、流麗で短いショットを繋いでいて、さながら万華鏡のよう。

そして、その直後に、一気に20年飛ぶ列車のシーンのタイミングの良さ。
音楽がアングロサクソンのワルツから、哀愁漂う東欧のそれと変化していく。

ああ、ここで惹きこまれちゃいました。

その後のアベリルとチャンピオンとエラの三角関係シーン(特に、アベリルとエラの恋愛シーン)が冗長かなぁと感じたものの、それ以外はテンポも悪くない。
というか、まだまだ、尺が足りないぐらい。

たとえば、移民たち全員を集めたアベリルが、入手した処刑者リストを読み上げるシーン。

このシーンは重厚で素晴らしいのだが、読み上げられた人物の顔は個々にアップになる。
しかし、その人物に関するエピソードが、そこへ至るまでに欠如している。
このあたり、たぶん、撮ってはいるのだろうが、尺を縮めるため(といっても3時間40分近いのだが)に削ったのだろう。

クライマックスの移民たちと牧畜業者側私兵との激突のシーンは素晴らしい。
砂埃もうもうと立ち込めるなか、敵味方がわからないような中での撃ち合う。

この激突の前に、丘でひとり「鎧は兵となり、道化は王となる。なら、私はなにになるのか」とつぶやいたアーバインは、激突の最中も酩酊し、エラに撃ち殺されてしまう。
おぉぉぉ、短いショットの連続で、もの凄い迫力、そして虚しさ。

この激突を自身では止めることはできないと立ち去ることを決めたアベリルであったが、エラが参戦していることを知り、駆けつける。
ヒーローではないアベリルは知恵を出し、加勢することが精一杯。
激突は、超法規的措置で収束し、アベリルもエラも一命を取りとめるのであったが・・・

あぁぁぁ、と一転して悲劇的な結末に。

そして、十数年後、もとの上流社会に戻ったアベリル。
学生時代の恋人と夫婦であるが、彼に去来する想いは、虚しさだけ・・・

このエピローグも何か尺が足りないように思える。
エピローグとして、短すぎる気がしました。

そう、どことなく、全体にエピソードが欠落しているように思える。
そんなことはないのだろうか。

映画史上、二度と作れない聳え立つ映画という意味で、評価は★★★★★(5つ)とします。

<追記>
ヴィルモス・ジグモンドのキャメラ、デイヴィッド・マンスフィールドの音楽、いずれも素晴らしいです。



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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:30本
 外国映画25本(うちDVDなど 1本)
 日本映画 5本(うちDVDなど 0本)

旧作:2015年以前の作品:62本
 外国映画49本(うち劇場12本)←カウントアップ
 日本映画13本(うち劇場 3本)
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