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zoom RSS 『Mommy/マミー』:正方形画面は演出の狭量さか・・・それとも @ロードショウ・単館系

<<   作成日時 : 2015/05/04 23:32   >>

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昨年DVDで観て感銘を受けた『わたしはロランス』のグザヴィエ・ドラン監督の『Mommy/マミー』、ロードショウで鑑賞しました。
若き鬼才・天才とも称されるグザヴィエ・ドラン、最新作は縦横比1:1の正方形の画面だとか。
うーむなのか、おぉぉなのか、気になるところ。
さて、映画。

舞台はカナダ。
ただし、障碍をもつ子どもは、親の承諾なし、もしくは法的手続きなしに、施設に強制入所が可能という架空の設定がある。

多動性障害ADHDと診断されている15歳のスティーヴ。
入所施設での放火という問題行動を起こした。
母ダイアンは生活に苦慮していているが、やるかたなく息子を引き取ることを決める。

やるかたなくと書いたが、実際はスティーヴのことを心底愛しているダイアン。
ある日、発作的な暴力行動に出たスティーヴを止めようとして、ダイアンは、意図せず息子を傷つけてしまう。
スティーヴの傷の介抱をきっかけにして、ふたりは隣家の女性カイラと知り合うが、カイラも過去の事件から重度の吃音をいう障碍を持ち、教師の職を休職している身であった・・・

というハナシ。

愛だけではどうしようもない情況に陥ってしまったひとびとのハナシなので、ストーリー的にはそれほど目新しいところはない。
それを、グザヴィエ・ドラン監督は、どうしようもない愛憎・相克として描いていく。

この「どうしようもなさ」を縦横比1:1の正方形の画面で描くのは、心の不自由さ、周囲からの断絶、悪く言えば狭量さである。
画面は正方形だけれど、横長のスクリーンを見慣れた者からすれば、「縦長」に見える。

この「縦長」画面、そして登場人物たちの顔のアップ、どこかで観た記憶がある・・・
気づけば、手近にあった。

ケータイで撮る写真・動画の画面サイズに似ている。
被写体以外は切り落とし・削り落とした画面。
なるほど。
狭量で、周囲からの断絶し、心の不自由とは、こういうように見えるということか。

しかし、映画は2度、画面を横へ押し広げ、ビスタの横長サイズになる。

ひとつは、スティーヴ、ダイアン、カイラが心を通わせ、家の近くの道路を駆け巡るシーン。
もうひとつは、終盤、ダイアンが成長したスティーヴに思いを馳せる願望・希望のシーン。

前者は周囲との関係性の象徴、後者は心の開放することの象徴と読み取れる。
なるほど。
グザヴィエ・ドラン監督、判り易いんではないの?

ただし、2度目の横長画面の後、しばらくしてカットつなぎに一瞬、アレ?どういう意味かしらん、と思うシーンが出る。
スティーヴとカイラを乗せた自動車をダイアンが運転していくシーン。

前のカットとつながっているようにみえるのだけれど、一瞬真っ暗の画面でつないでいる(「黒味つなぎ」とでもいえばいいような手法)。

この後に続くのは、「愛だけではどうしようもない情況」に対してダイアンが導き出した行動。
なるほど。
この「黒味つなぎ」は、「決断」を表しているのね。
これまた、グザヴィエ・ドラン監督、判り易いんではないの?
(この後、もう1回「黒味つなぎ」が出てくる)

判り易いが、しかし、このこだわった演出は、いささか映画そのものを堅苦しくしてしまっている。

観終わって3日ばかりして、このレビューを書いているのだけれど、正方形の画面のシーンがさっぱり思い出せない。

心の不自由さ、周囲からの断絶を表した正方形の画面が、観客が観て同化する力を奪ってしまったかもしれない。
まさに、狭量ということになってしまった。

画面のフレームをいじくることなどしなくても、フレームのなかに映り込んでいるひとびとの凄まじいし、グザヴィエ・ドラン監督のイマジナリー力は『わたしはロランス』で証明済みのはず。

いまいちど、正攻法で撮って欲しいことを祈念して、辛め評価の★★★☆(3つ半)としておきます。

<追記>
演出の窮屈さ、ラストの主人公の行動も含めて『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を思い出しました。
うーむ、これはどういうことなのかしらん。
主人公がラストで「飛び出す」ということでは、アラン・パーカー監督『バーディ』も思い出しました。
りゃんひさ的には、重い題材でありながら、ひとを喰ったようなすっとぼけて希望が持てる『バーディ』に軍配を上げます。

<追記の追記>
グザヴィエ・ドラン監督、よっぽど映画を観ているのでしょうね。
劇中3本ほど映画のタイトルが引用されていますが、なかでも『鮮血の美学』には驚きました。
ベルイマンの『処女の泉』をモチーフにして、ウェス・クレイヴンが撮ったホラー映画ですね。
字幕担当者も日本タイトルで訳しており、これまた素晴らしい。



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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:27本
 外国映画22本(うちDVDなど 1本)←カウントアップ
 日本映画 5本(うちDVDなど 0本)

旧作:2015年以前の作品:55本
 外国映画43本(うち劇場11本)
 日本映画12本(うち劇場 3本)
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