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zoom RSS 『あの日の声を探して』:感涙を期待すると裏切られるが秀作です @ロードショウ・シネコン

<<   作成日時 : 2015/05/06 00:31   >>

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アーティスト』のミシェル・アザナヴィシウス監督の最新作『あの日の声を探して』、ロードショウで鑑賞しました。
先ごろ観た『グッド・ライ〜いちばん優しい嘘〜』と同様、国際紛争を扱った映画です。
さて、映画。

ミレニアムを控えた1999年、ロシア軍の侵攻により第二次チェチェン紛争が勃発する。
チェチェンの寒村でも戦火は激化し、9歳の男児ハジは、両親が銃殺されるのを目撃してしまう。
乳飲み子の弟を抱えてハジは現場から逃げ出すが、ショックからか声を出せなくなってしまう。

弟を、戦火を免れたチェチェン人一家の門口に置いて、ひとり逃げ出したハジは、いつしか難民たちが集まる街に辿り着いていた・・・

というハナシ。

この後、ハジは一旦は、赤十字の救護施設に身を寄せるが、そこを逃げ出し、EU人権委員のキャロル(ベレニス・ベジョ)と知り合い、彼女の保護を受けることになる。
一方、両親とともに殺害現場にいたハジの姉は辛くも生き延び、ハジたちを探して彷徨する。

原題の「THE SEARCH」(探索する)は、生き延びた姉がハジを探すことに由来する。

が、このチェチェンでの悲劇とは別のエピソードがあり、それと交互に描かれているので、映画はかなり判りづらい。
もうひとつのエピソードとは、ソ連の地方都市で麻薬所持の罪で逮捕された19歳の少年コーリャが、投獄か入隊かを迫られて、強制入隊するエピソードである。

強制入隊のコーリャは、他の志願兵たちから虐待を受け、また他の隊員たちがやりたくない死体安置所勤務を命じられる。
日々基地へ搬送される多数の死体をみつづけていくうちに、少しずつ心の平常が壊されていく。
遂には、前線に送られ、人間性を失くして、チェチェン人を虐殺するはめになる・・・

一見かかわりがなさそうなエピソードなのだが、脚本も書いたミシェル・アザナヴィシウスはトリッキーともいえる手段でふたつのエピソードを結びつけます。

で、映画としては、どうなのかというと・・・

厳しいリアリズム描写で、ふたつのエピソードを描く手腕は、本当に『アーティスト』の監督なのか、と思ってしまうほど。
特に、ハジが街に辿り着くまでは徹底して厳しいし、コーリャが人間性を喪ってしまう描写も背筋が寒くなる。

まぁ、キャロルとハジが知り合ってからの描写や、ハジが姉と巡り逢うあたりは甘いところもあるにはあるが、なんといってももっとも印象的なのは、他者の無関心を描いたシーン。

数々のソ連軍の蛮行をレポートにまとめ、EU会合でキャロルが声高に訴えても、同席した委員たちは、まるっきり無関心。
さらには、キャロルの同僚たちも、ミレニアム休暇で帰国したら何をするか、などの話題を無遠慮に交し合っている。

映画の謳い文句は「アカデミー賞監督が”どうしても”描きたかった衝撃の感動作」であるが・・・

「戦渦の邂逅」というお涙的感動を期待すると、かなり裏切られます。
この部分は、かなりあっさりと描いています。

「”どうしても”描きたかった衝撃」は、たぶん、ひとびとの無関心。

とはいえ、武力による介入は断固として行いたくない。
とすれば、どのように人道的支援をするのがよいのかと考えざるを得ない。
まぁ、そのように考えるだけでも、少しは世界が良くなるのかもしれませんが。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

<追記>
1947年にフレッド・ジンネマンが監督した『山河遥かなり』を、時代と舞台を移し替えて映画化したものです。
オリジナル作品は未見なのですが、ミシェル・アザナヴィシウス監督はフレッド・ジンネマン監督のようなリアリズム描写にチャレンジしたかったのかもしれません。



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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:28本
 外国映画23本(うちDVDなど 1本)←カウントアップ
 日本映画 5本(うちDVDなど 0本)

旧作:2015年以前の作品:55本
 外国映画43本(うち劇場11本)
 日本映画12本(うち劇場 3本)
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