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zoom RSS 『アクト・オブ・キリング』:理由がつけば悪事も善行。あぁ悪はどこから来るのか @DVD・レンタル

<<   作成日時 : 2015/05/06 12:07   >>

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今年のゴールデンウィーク期間は、国際問題週間ともいうような様相です。
すなわち『グッド・ライ〜いちばん優しい嘘〜』『あの日の声を探して』と観て、次なる作品がこの『アクト・オブ・キリング』(劇場公開版)。
1965年インドネシアで起こった軍事クーデター。
その後、実権を握ったスハルト政権下での大量虐殺を主題にしたドキュメンタリー映画です。

映画は、インドネシアのメダン周辺の大虐殺の中心にいたアンワルという人物に働きかけ、当時じぶんたちが行ってきたことを再現して、映画として残そう、というもの。

えぇぇ、虐殺の加害者に当時のことを再現させる???
どういうことだ、そんなこと人道的に許されるのかしら・・・

「大虐殺」と書いているが、現在のインドネシア国民からみれば、当時の出来事は「正当」なのだ、というのだ。

1965年の軍事クーデターは、次のように理解されているからだ。

コミュニストである当時のスカルノ大統領の手から、スハルト将軍はクーデターによって国を守った。
その後は、スカルノを指示していたコミュニストたちを粛清した。
自由国家でいられるのは、彼ら英雄たちのおかげだ、と。

えぇぇ、そんな!

「勝てば官軍」というのも非道い。

スカルノ大統領はコミュニストでもなんでもなく、米ソに対する第三勢力としてアジア・アフリカの国力を集結させようとしていた人物。
アメリカの基地建設を拒否したことから、コミュニストのレッテルを貼られたと思しき。
(ということを、元スカルノ大統領夫人のデヴィ夫人が、映画公開前に語っていた)

さて、アンワルたちが当時の様子を再現していく。

針金で縛って殺した・・・
殴って殺した・・・
首を切り落とした・・・

撮影当初は、殺害現場に普段着で現われて、「こういう風にやったもんだ」という程度だったものが、どんどんとエスカレートしていく。

服装はこれこれなほうがいい。
こんな感じで、こうしたほうがいい、とアンワルたち自身が高揚していき、画面も華美になっていく。
さながら虐殺行為がエスカレートして、感覚がマヒするかのように。

思考を超えて、感覚的快感に浸っていくのだ。
恐ろべしい・・・

後半、アンワルが「被害者」を演じて再現した映像をアンワル自身が観て、痛烈なショックを受けるのだけれど、当時の被害者たちはそんなものではなかった。
贖罪にもなにもなりはしない。
彼は、自分がした行為の恐ろしさを悔いているのではなく、この後どんな因果が訪れるか、それが怖くてショックを受けているだけなのだ。

彼らが行っていた行為は、当時(いや今しがたまで)は「正当な」行いだったのだ。
うーむ、悪はどこからやってくるのか。
知らず知らずに、転んでしまうのだろうか・・・

なんとも、「・・・」と考えさせられる映画でした。

評価は★★★★☆(4つ半)としておきます。

<追記>
アンワルらが当時の様子を再現するのと併行して、現在のインドネシアの様子が活写されます。
金権政治、極右民兵団の存在など、驚かされることが多かったです。

デヴィ夫人が映画公開前に語っていた内容はコチラから。

昨年の米国アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門にノミネートされましたが、受賞は逃しました。
当時、スハルト政権を支持した米国では、やはり・・・
ということかしらん。
なお、受賞したのは『バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち』です。



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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:28本
 外国映画23本(うちDVDなど 1本)
 日本映画 5本(うちDVDなど 0本)

旧作:2015年以前の作品:56本
 外国映画44本(うち劇場11本)←カウントアップ
 日本映画12本(うち劇場 3本)
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