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zoom RSS 『やさしい女』:男には女の気持ちは解からない、ということ @リバイバル・単館系

<<   作成日時 : 2015/06/18 22:37   >>

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ロベール・ブレッソン監督の『やさしい女』、横浜まで足を延ばして鑑賞してきました。
現在、横浜フランス月間、その一環だそうな。
都内でのリバイバルは見逃したので、これは幸い(なにせ未ソフト化なのだから)。
さて、映画。

ある日、質屋の三階から若い女(ドミニク・サンダ)が身を投げた。
外出していた彼女の夫である質屋の店主(ギイ・フランジャン)は、妻の死体を横たえたベッドの脇で、ふたりの世話をしていた老女に、ふたりの出遭いから話しはじめるのであった・・・

というハナシ。

ブレッソン監督作品は、映画を観はじめた中学の頃に『白夜』を、その後『抵抗』を観たきり。
『白夜』が理解できなかったトラウマというかなんというか、そんなものがあって、永年その他の作品を観るのを無意識に避けてきた感じ。

今回、改めてブレッソン作品に挑戦してみて・・・

うーむ、素直に、おぉすごい、素晴らしい、といえないところがもどかしい。

なんというか、あまりに説明がなさすぎるというか、非情というか。
なかなか、心情的には判りづらい。

それもそうで、このハナシ、年若い女性に惚れて結婚した夫が「おんなは、わからない・・・」といっているのを、夫の視点・回想で進めているからだ。

「貧しい家庭で勉学にも困っている女性に惚れ、その境遇から助けたのだから、あとはオレのことを好きになってくれよ、困ったことなんかがあれば当然助けてやるから」

これが夫の主張である。

「男は愛よりも、結婚を望むのね。愛は互いを理解すること。けれど、結婚は、価値観を押し付けて、型にはめる代わりに、不自由な暮らしはさせないという約束にしかすぎないわ」

女はこのように言っている。
ただし、それを口に出さない。
なぜなら彼女は「Une Femme Douce」だから。
英語でいうと「A Gentle Woman」、弁(わきま)えた女、だから。

そういう女と男の成り行きを、ブレッソンは少ない台詞、短いシークエンスで繋いでいきます。

なので、心情的にわかる前に映画が進んでいきました。
ここが、素直に、おぉすごい、素晴らしい、といえず、もどかしいところ。

しかし、中盤、夫が妻は浮気をしているのではなかろうか、と勘繰る下種な展開になってから、俄然、おもしろくなりました。

そうか、夫は誤解しているのかぁ、いや、誤解でなく非解しているのだ、と気づいたから。

浮気現場を押さえんとして、車に乗り込む夫のワンカット、ヒッチコックも顔負けのサスペンスカット。

自動車の後部、ハンドルの後ろ側から質屋の入り口を見透かすカメラ。
質屋のドアを開け、自動車に乗り込む夫。
上着の裾がシートの上に引っかかったまま発車させる。

それだけなのに、恐ろべしいほどの緊張感なのだ。

じゃぁ、夫はなにを解かっていないのか・・・と、このあたりから考え始めた。
すると・・・

「男は愛よりも、結婚を望むのね」といった女の台詞。
金の十字架からキリスト像だけを質入れから返そうとした無情な(非愛な)夫。
彼女の好きな音楽や博物学に興味を寄せない夫。
そして、好きでもない観劇や旅行に誘う夫。

価値観を押し付けて、型にはめるばかり。

だから、会話するよりも、沈黙のほうがふたりには心地いい。

ああ、怖い。

すれ違う男女の心なんてものじゃないな、これは。

巻頭と巻末で、窓の外を舞う女の白いショールは、やっと解き放たれた女の象徴なのだろう。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

<追記>
ギスラン・クロケのカメラは美しいが、特に夜の黒さが美しい。
ドミニク・サンダも美しいが、フルヌードの後ろ姿は成熟しきった感じがしました。



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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:42本
 外国映画32本(うちDVDなど 5本)
 日本映画10本(うちDVDなど 0本)

旧作:2015年以前の作品:68本
 外国映画55本(うち劇場13本)←カウントアップ
 日本映画13本(うち劇場 3本)
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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
未見ですが、とても文学的な作品のようですね。りゃんひささんも、奥さまとよく理解しあえるように努めた方がよろしいですね。
ぷ〜太郎
2015/06/19 16:35

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