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zoom RSS 『神々のたそがれ』:わかりやすい寓話であるが、観客にはツラすぎる @再映・単館系

<<   作成日時 : 2015/09/10 00:12   >>

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ことし3月にロードショウされたアレクセイ・ゲルマン監督の遺作『神々のたそがれ』、今回、ゲルマン監督作品全5作を上映するということなので、意を決して観てみることにしました。
二の脚を踏んだのには理由があって、ゲルマン監督の作品は1本も観たことがない上に、原作はアンドレイ・タルコフスキーが映画化した『ストーカー』と同じくストルガツキー兄弟だし、その上、モノクロ3時間という代物。
よっぽどの覚悟を決めなければ・・・と。
さて、映画。

とある惑星、そこは地球の文明尺度からみると800年ほど遅れており、中世ルネッサンス期あたりに相当する。
その惑星に地球から30人の学者などが派遣されて、その惑星の発展を観察することにしたが、その中のひとりはドン・ルマータと呼ばれ、神の末裔として崇められる立場にいた。
しかし、貴族然とした生活はしているものの、惑星の発展や滅亡に直接手をくだすことはできなかった・・・

というハナシ(だと思う)。

「だと思う」と書いたのは、ストーリーがよく判らないからだ。
設定はナレーションで説明されるが、惑星の住人たちとの攻防など、誰がだれで、どういう立場なのか、あまり説明がないまま進んでいくから。

ロードショウ時に観た(ゲルマンの前作『フルスタリョフ、車を!』が好きだという)友人曰く、
「ストルガツキーの原作は1960年代に発行されて、ロシアではベストセラー。ほとんどのひとがストーリーは粗方知っている」
はずなので、
「あまりストーリーの説明には重きを置かない演出をしている」
らしい。

という前知識だけはあったので、ストーリーが判らなくてもいいか、って気持ちで観ていました。

じゃあ、どこに力を置いているんだ、というと、とりもなおさず画面づくり。

中世ルネッサンスを思わせる石造りや土壁の住まい。
三方を沼に囲まれ、突然降る粘つくような豪雨と長く続く霧の相乗効果で、道という道は泥まみれ。
甲冑をまとったドン・ルマータはまだしも、それ以外の登場人物は、これでもかというほど汚れに汚れている。
その上、泥や汚物を顔に塗りたくる風習など、生理的に受け付けないような行動をとるひとびと。

それを長廻しのカメラで撮っていくのだから、うーむ、臭いまで感じそうで辟易する。

しかし、30分ぐらいすると、その風景にも慣れてきて、なんだかストーリーもおぼろげながら判ってくる。

知識人たちを次々と処刑していた上層階級がいて、その周りに兵士がいる。
かつて、その上層階級から追われた僧たちが僧兵となって、都へ舞い戻ってくる。
そして反乱を企てていた農民たちの集団は、都を離れて逃げていたが、あるとき都へやってくる・・・

と、たぶん、人間の歴史を短い時間のなかで再現しているようである。

神扱いされているドン・ルマータは、そういう上層階級や僧たちや農民たちに傍若無人に振る舞うが、決して手を出したりはしない。

なるほど、そういうことね。
原作のタイトルは『神様はつらい』。

なにもしない、なにもできない神にとっては、人間が繰り返す行為そのものが耐え難い、ということなのだ。
終盤、ドン・ルマータは、文字どおり「神は、つらい」と言うが、「神は、無力だ」とも言う。

地球と異なる惑星でも、人間の行うことは「蛮行」にほかならない。
それを、「単に観ているだけ」なのは、つらいはず。

それをゲルマンは画面でみせる。
画面づくりだけではなく、カメラワークも使って、である。

長廻しのカメラで撮っていく中で、登場人物の多く(その場面のハナシを進めていく役の登場人物ではなく、傍の登場人物だが)は、カメラを意識して、カメラの前を通り過ぎたり、カメラを覗きこんだりする。
それは、席に座ってみている観客に向って視線を送っているのである。

つまり、ドン・ルマータだけではなく、観客も観ているだけなのはでツライだろう、よく目を見開いて観ろ、というのがゲルマンの意図だろう。

クライマックス、掟を破ってドン・ルマータは都の住人を殲滅しようとする。
そして、ほとんどの住人は死に絶える。
しかし、都を離れていたひとびとが戻ってくる・・・

突然降る粘つくような豪雨の季節は秋だった。
一転して雪景色・・・
になるが、生き残ったドン・ルマータは数少ない人々と一緒にいて、映画の冒頭と同じ行為を繰り返す。
人々の対応も同じままに。

まとめてみると判り易い寓話であるが、それにしても・・・ゲルマン、凄すぎ!

で、評価すると・・・
評価は★★★☆(3つ半)としておきます。



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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:79本
 外国映画59本(うちDVDなど11本)←カウントアップ
 日本映画20本(うちDVDなど 4本)

旧作:2015年以前の作品:101本
 外国映画82本(うち劇場15本)
 日本映画19本(うち劇場 5本)
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