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zoom RSS 『仮面/ペルソナ』:演劇的な題材を映画的表現で描いたエポック作品 @DVD・レンタル

<<   作成日時 : 2015/10/23 21:46   >>

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久々にイングマール・ベルイマンの映画を鑑賞。
映画は『仮面/ペルソナ』。
DVDもなく、TSUTAYAの旗艦店にもVHSすらなかった本作。
「難解」という声を聴いていて、一度はチャレンジしたいと思っていた作品でした。
この度、DVDでのレンタルもはじまり、幸いなことです。
さて、映画。

著名な舞台女優のエリザベート(リヴ・ウルマン)。
ある日、言語障害を発症して、舞台から遠ざかり、療養を余儀なくされてしまう。
看護婦のアルマ(ビビ・アンデショーン)とふたりきりで本土から離れた孤島での療養を行うエリザベート。
彼女はひとことも口を開かず、それに対してアルマは自身の生い立ちや現在の苦悩を話しはじめるのであった・・・

というハナシ。

難解といえば難解なのだけれど、直截的に捉えるとすこぶる判り易い。

簡単に言えば、男(息子)からみた女性(母親)の二面性を描いた作品で、ストーリーの辻褄あわせはあまり意味をなさない。
というか、辻褄あわせをしようとすると、とたんにつまらなくなってしまう。

男から「みた」女性なので、理解できない・論理的に破綻していたとしても、それは当然であって、どのように「みえる」を、ベルイマンは演出しているに過ぎない。

過去に妊娠し、子どもが欲しいにもかかわらず、堕胎した経験を持つアルマ。
特に欲したわけではないが、子どもを持ってしまったエリザベート。

両者は、その容貌の類似も含めて、ひとりの人間の裏表である(どちらが裏で表であるかは関係ない)。
それが端的に判るのは、終盤の、エリザベート側とからとアルマ側から撮られた一度の告白シーンの繰り返し。
これを丁寧にも、ベルイマンは、両者の顔を半分ずつ重ね合わせるという手法をとっている。

しかし、ここは少々やりすぎ・過剰で、前半、ふたりが島でしばらく過ごした後、アルマの独白の際に、後方で聞いているエリザベートの顔はアルマに隠れて、ひとりの人物にみえるというシーンで十分演出されている。
(さらに、このシーンでは、エリザベートの顔が完全に隠れた瞬間に、カメラがアルマの顔に寄るというカメラワークもしている)

なので、前半のこのシーンで、この映画の意図するところは気づかなければいけないし、気づかないと難解でツマラナイものとなってしまう。

さらに、ベルイマンは判り易い仕掛けを用意している。

語る女性アルマと、語らない女性エリザベートである。

理解の根本はコミュニケーションである西欧においては、語らないことは「不可解」の象徴である。

この「不可解」さこそが、映画のオープニングとエンディングで描かれる一種奇妙なモンタージュ映像を読み解くヒントにもなっている。

オープニングとエンディングは幼い男児の後ろ(男児からすれば目の前か)のスクリーンに次から次へと映し出せれる時代の断片であるが、断片は女性の顔の収斂していく。
収斂していく女性の顔は、エリザベート=リヴ・ウルマンであり、つまり、息子からみた女性である。
それを決定づけるのは、エンディング間近にあらわれるクレーンに乗った映画カメラのワンショット。
クレーンのカメラ脇にいるのはカメラマンと監督。
やはり、ベルイマンからみた女性=母親の姿。

そう読み解けば、それほど難解な映画でもないだろうし、もしかしたら通俗的な映画なのかもしれない。

この映画、ものすごく映画的表現を用いて構築しているけれど、舞台劇(それも背景も舞台装置もない舞台劇)として上演したならば、これほど「難解」という言葉はなかったのではありますまいか。

舞台劇に通じているベルイマンが、通常なら舞台でとして取り組んだであろう題材を、映画ならでばの表現で描いたエポック的作品と言えるでしょう。

評価は★★★★☆(4つ半)としておきます。

<追記>
それにしても、ラストの、エリザベートとアルマの両者の顔を半分ずつ重ね合わせるという手法は、やりすぎ。
後の、(ここでは作品名は挙げませんが)、ふたり一役の(ドッペルゲンガー的な)オチをもつ映画群に悪影響を与えたかもしれませんね。
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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:94本
 外国映画68本(うちDVDなど14本)
 日本映画26本(うちDVDなど 4本)

旧作:2015年以前の作品:112本
 外国映画92本(うち劇場15本)←カウントアップ
 日本映画20本(うち劇場 5本)
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
なるほど!クレーンのカメラマンと監督の意味がわかりませんでしたが、そういうことでしたか。納得です。
ぷ〜太郎
2015/11/30 15:28
ぷ〜太郎さん、コメントありがとうございます。
参考になれば幸いです。
今後もごひいきのほどを。
りゃんひさ
2015/11/30 20:50

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