キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど

アクセスカウンタ

zoom RSS 『野火』 塚本晋也監督:地べた這い回り、忌まわしき戦争の記憶 @ロードショウ・単館系

<<   作成日時 : 2015/10/28 11:55   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 1

画像

戦後70年の今年、対極ともいうべき2本の戦争映画が公開されました。
1本は、政治家たち戦争指導者を描いた原田眞人監督『日本のいちばん長い日』、もう1本がレイテ島での一敗残兵を描いた『野火』。
この後、海外での日本人の美談を描いた映画も公開されるが、この2本の映画で十分な気もする。
さて、映画。

日本の敗戦が決定的な末期。
肺病病みの田村一等兵(塚本晋也)は部隊のお荷物になり、野戦病院行きを命じられるが、肺病程度では病院は受け容れてくれない。
行き場を失った田村は、ジャングルのなかを彷徨うことになる・・・

というハナシ。

大岡昇平の同名小説を1959年に市川崑監督が映画化しているが、そちらは未見。

本作では、役者たちの血色がいいのは目をつむれば、緑濃密なジャングルでの飢餓と人間性が殺がれていく過程は凄まじい。
また、短いながらも繰り広げられる戦闘シーン(暗闇の中で数多の日本兵が撃ち殺されるのですが)は、非常に恐ろしい。
ビュンビュン鳴る銃声、轟く爆音、さらに『鉄男 TETSUO』を彷彿とさせる耳障りな音楽もあり、まさしく塚本晋也監督作品印が刻まれている。

機会あるごとに田村と出遭う安田(リリー・フランキー)と永松(森優作)も映画に深みを与えている。
末期的戦下でもタバコと食料と交換して生き延び、終いには年少の永松に「猿」を捕ってこさせて生き延びる安田には、戦下における人間性を感じてしまう。
(経済の象徴としてのタバコ、「猿」が殺され捌かれるところは直接見ないというヒエラルキー上位者のいやらしさ)

なので、レイテ島でのエピソードだけであれば「傑作」といってもいいが、巻末に奇跡的に帰還した田村のその後が描かれる。
あの地べた這い回り、「猿」まで食べた忌まわしき戦争の記憶が甦ってくる・・・

ここは蛇足ではありますまいか。

いや、違うのか。
戦後70年、あの忌まわしい出来事を、ひとびとは忘れてしまっているのではないか、と問いかけているのかもしれない。

むむむ、ちょっと評価が難しい。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

<追記>
自分も戦争は知らないが、自分より若く戦争をゲームの一部のように、もしくは英雄譚、はたまた他人の悲劇としかみないひとたちが、この映画を観るとどのように感じるのだろうか。
いま、戦争が起こっても、こんなことにはならないよ、ハイテクの世の中なんだから、と往(い)なしちゃうのかしら。
人間性が殺がれいくのが戦争なのだが、すでに人間性が殺がれているとしたら、いまは戦下ということになってしまう・・・



------------------
2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:96本
 外国映画70本(うちDVDなど14本)
 日本映画27本(うちDVDなど 4本)←カウントアップ

旧作:2015年以前の作品:114本
 外国映画92本(うち劇場15本)
 日本映画22本(うち劇場 7本)
------------------

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
なるほど、そういう作品なんですね。原作は未読なものでして・・・。さてさて、観るのが先か、読むのが先か、迷いますなぁ。
おすもうさん
2015/11/29 21:43

コメントする help

ニックネーム
本 文
『野火』 塚本晋也監督:地べた這い回り、忌まわしき戦争の記憶 @ロードショウ・単館系 キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる