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zoom RSS 『抱擁』ドキュメンタリー:認知症の母親の変化から何かを得る @文化庁映画週間

<<   作成日時 : 2015/10/30 11:43   >>

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前回記事で紹介した「怪獣からKAIJUへ」と題したシンポジウムと『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』の特別上映に続いて、翌日も文化庁映画週間の記念上映会に出かけました。
3本の長・短編ドキュメンタリー映画の上映がありましたが、お目当ては認知症の母親の姿を、テレビのドキュメンタリー出身の監督(坂口香津美)が撮った『抱擁』。
ことしの春から初夏にかけて劇場公開された作品です。
さて、映画。

2009年頃のこと、坂口監督の母親すちえさんは、2年前に長女を喪ってから認知症の症状がひどくなった。
アルツハイマー型認知症であるが、短期記憶障害よりも、不安で不安で堪らなくなり、情緒不安定になる症状がひどく出る。
不安になると、長男である坂口監督にのべつ幕なしに電話を掛けてきて、不安を訴える。
その状況に耐えかねた坂口監督は、いつしか母親に手を挙げそうになるが、その気持ちを抑えてカメラを手に取り、母親の姿を撮ることにした・・・

といった内容。

内容の紹介にあたっては、上映後に催された監督等によるトークの内容を加味しています。

映画では、母親に手を挙げそうになった云々の経緯は描かれておらず、情況を説明するナレーションも付け加えられていない。
綴られる映像から、すちえさんの不安な情況と、傍にいる坂口監督の不安さが伝わってくる。

ただし、そんな不安ばかりが写し出された映画ではない。

すちえさんの病状を見かねた彼女の妹・マリ子さんが、故郷の鹿児島県種子島にすちえさんを連れてくることを決意して実行に移す。
種子島には、マリ子さんのほかにも弟もいるし、村には多くの幼馴染もいる。
みんなが言う。

「食べて食べて、みんなと交わって、笑っていれば、元気になる」

都会の集合住宅で独り暮らしていたすちえさんには、はじめはそれも重荷で億劫であったが、いつしか笑顔も戻ってくる。
たしかに、デイケアなどで集団生活をする際は、疲れたり気分が滅入ったりすることもあり、そんな様子も写し出されるのであるが、以前と比べて格段に血色もよく笑顔も増えている。

この変化には元気づけられた。
残された人生は長くはないけれど、その時間は幸せに過ごしたいものだ。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

<追記>
上映後のトークから以下を付け加えておきます。

種子島で暮らしていた妹・マリ子さんも、ひとり暮らしだったとのこと。
決断は、なおさら大きかったと思われます。

また、現在のすちえさんは映画にも増して元気になられているとのこと。

監督が、そもそもプライベートで撮影していた映像を、1本の作品にして公開しようと決めたのは、ひとつは種子島へ戻ってからのすちえさんの変化を映像の中で見つけたことと、回復しつつあるすちえさんが、デイケアの仲間に自分が写っている映像を(ヒドイときも含めて)見せたかったから、とのこと。
「発見」と「自己認識」。
なるほど、この映画の持つ力強さは、そこのあるのかも。

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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:98本
 外国映画70本(うちDVDなど14本)
 日本映画28本(うちDVDなど 4本)←カウントアップ

旧作:2015年以前の作品:115本
 外国映画92本(うち劇場15本)
 日本映画23本(うち劇場 8本)
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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
肉親の死が人をどれほど不安定にさせるのか、肉身の笑顔が人をどれほど安心させるのか、実に興味深い作品でした。
ぷ〜太郎
2015/11/29 22:04

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