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zoom RSS 『さいはてにて 〜やさしい香りと待ちながら〜』:予定調和物語なのに、なぜか不安な気持ちになる映画

<<   作成日時 : 2015/10/31 21:44   >>

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ことしの2月に東映系でロードショウされた永作博美主演の『さいはてにて 〜やさしい香りと待ちながら〜』、DVDで鑑賞しました。
副題「やさしい香りと待ちながら」や謳い文句の「今、心からの「ただいま」」には、少々抵抗があるものの、能登半島の最北端の珠洲市でのオールロケーションと台湾出身の女性監督チアン・ショウチョンが撮ったということで関心を寄せていた映画。
(とはいえ、劇場まで足を運ぶ求心力にはならなかったのですが)
さて、映画。

行方不明になっていた父の、その行方不明期間7年が過ぎたことから、父の死亡宣告がなされ、唯一の遺産である能登半島の寂れた漁村での船小屋を相続した岬(永作博美)。
彼女は、父が残したボロボロの船小屋を改築して、焙煎珈琲店「ヨダカ珈琲」を開店する。
東京で、焙煎珈琲のネット販売を行っていた岬は、居を移してもそこそこの商売が成り立っていた。

珈琲店の向かいで民宿を営む絵里子(佐々木希)は、母親が入院していることもあり、民宿をひとりで切り回せないことから幼い娘と息子を残して、毎週金沢まで水商売の出稼ぎに出ていた。
保護者不在のなか、ある契機により、岬は絵里子の娘を珈琲店で働かせることにした・・・

というハナシ。

設定やストーリーには、かなり無理があるように感じられるのだけれど、説明を割愛し、それでいてゆったりしたチアン・ショウチョン監督の演出が映画に映し出されない岬と絵里子の背景を感じさせてくれる。

はじめ、岬の行動は、辺鄙な場所に来ての自分探しのように思われるのだけれど、さにあらず。
行方不明になった父親(それも、幼い時分に別れてしまい、行方不明になるまでに会っていない父親)が帰ってくるのを待っていることが判る。
そんなぁ、自分から出て行った父親が帰って来ないのは当然だろうと思っていると、これまた、さにあらず。
父親は、漁船で漁に出て、事故に遭ったことが判る。

帰るはずのない父を待つハナシ・・・

ある種の受け容れられない現実を受け容れるまでの決意の映画。
そう感じると、とたんに面白くなった。

どのように決意するのか・・・

あまり愛に恵まれない絵里子の娘に、幼い時分の姿を映す岬が、絵里子親子が多少の愛と少ないながらの希望を得ることで、自分も希望を得る。
そういった判り易い展開になっていくだろうなと先読みをすると、そうでもない。

いままで不確かだった父親の死が、父親の死体が上がって現実・確かなものとなったとたんに、岬は珈琲店を占めて逃げ出してしまう。

この映画は、予定調和にみえて、予定調和に収まらない、常に不安定なところがある。
この不安定さが、この映画の魅力。

たぶん、人物背景もキチンと説明して、登場人物に寄り添う(というか、判り易い表情のアップを撮るなどの)演出をすると、あまりにも嘘くさいハナシを、あえて説明を排し、アップも控えた演出が余白と余韻を感じさせてくれるのだろう。

物語的にはご都合主義なところもあるのだけれど、なぜか悪く言えないところのある、不思議な魅力の作品でしょう。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。



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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:99本
 外国映画70本(うちDVDなど14本)
 日本映画29本(うちDVDなど 5本)←カウントアップ

旧作:2015年以前の作品:115本
 外国映画92本(うち劇場15本)
 日本映画23本(うち劇場 8本)
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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
あまりにツッコミどころ満載で、「うっそ〜」と言ってしまえばそれだけになってしまう映画なのですが、それ以上に、雰囲気というか余韻というか、何か不思議な魅力が伝わってくる作品でした。親を待つ子の切なさと、待っていてくれる人のいる温かさとを感じさせてくれるラストは素敵です。
ぷ〜太郎
2015/11/29 22:15

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