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zoom RSS 『ファニー・ゲーム』:観客の心の動揺させる底意地の悪い映画 @名画座

<<   作成日時 : 2015/11/02 23:50   >>

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炎628』と同時上映されたミヒャエル・ハネケ監督の1997年製作作品『ファニー・ゲーム』。
自身の監督で2007年にハリウッドで『ファニーゲーム U.S.A.』としてリメイクもしているが、どちらの作品も観ていませんでした。
ハネケ作品は『ピアニスト』『隠された記憶』『白いリボン』『愛、アムール』と4作品観てきているが、いずれも衝撃的な内容。
新作が発表されれば、必ず観ようと心掛けているのだけれど、旧作まで追いかけるかどうかは、微妙なところ。
さて、映画。

ゲオルグと妻アナ、それに息子のショルシと犬のロルフィー、彼らは避暑のため湖畔の別荘にやってきた。
ヨットも持参した彼らはかなり裕福で、周囲に暮らすひとびとも、また裕福である。
問題などない一家が、別荘に到着した早々、隣家(といっても少し離れているのだけれど)からふたりの白ずくめの青年がやってくる。
やや小太りのペーターと、痩身のパウル。
急な来客で卵を借りたいというもの。
しかし、それは口実にすぎず、ふたりが始めたのは「ファニー・ゲーム(笑える遊び)」。
一家を弄んで惨殺しようとするものだった・・・

といったハナシ。

見知らぬ訪問者に嬲りものにされる犠牲者、といえばホラー映画の常套。
そして、加害者側の暴力は常に理不尽である。
しかし、ホラー映画ならば、最後の最後には、悪は倒され、正義(を代表すると思われる者)は生き残る。
だから、安心して観ていられる。
つくりものの暴力・恐怖だからだ。

しかし、この映画はホラー映画ではない。
いや、正確に言えば、ホラー映画より怖い。

なぜか。

悪は倒され、正義は生き残るという結末でないからか。
いやいや、それだけではない。

こんな不条理の暴力が続く映画を観に来ているあなたは正気なのか?
映画の中から、そう問いかけてくる。

映画前半、愛犬が撲殺されたのを妻アナが発見するシーンで、加害者パウルがカメラ目線を送る。
ほら、見つけたでしょ、怖いよねぇ、といわんばかりに。

映画中盤、ふたりの魔の手から逃れたゲオルグとアナのもとへ、ふたりが戻ってきて言う。
ここで終わるには、劇場用映画としては短すぎるんだよ。

ホラー映画のパロディのようにも感じるが、その前に息子が殺されているので、ホラー映画の定石から外れていることが恐ろしい。
(さらに、息子が殺されるシーン、そのものズバリのシーンはないのだけれど、それを目の当たりにしたゲオルグとアナが茫然自失となるシーンをフィックスのカメラでとらえていて、これが心底恐ろしい)

そして、極めつけはクライマックス。
遂に、生き残った妻アナが反撃!
と思いきや、アナがペーターに反撃した直後に、パウルがテレビのリモコンを手にして、事態を巻き戻してしまう。

フツーのホラー映画みたいにはいかないんだよ、観客はもっと怖いものが観たいんだろ、ほらほら。

巷に暴力が溢れているのに、よりにもよってこんな映画を観に来る観客なんだから、もっと怖い思いをしたいでしょう、とハネケはスクリーンの向こう側で言っているのだろう。
それとも、世の中は、フツーのホラー映画みたいにはいかないんだよ、と言っているのか。

とにかく、客席で「観る」ことが、こんなに罪悪感を感じるとは・・・
後味が悪い、とかそういうレベルではないですね。

ものすごい傑作とも思うし、あまりにも悪趣味ともいえるし、評価は★★★☆(3つ半)としておきます。



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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:101本
 外国映画72本(うちDVDなど16本)
 日本映画29本(うちDVDなど 5本)

旧作:2015年以前の作品:117本
 外国映画94本(うち劇場17本)←カウントアップ
 日本映画23本(うち劇場 8本)
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