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zoom RSS 『ブリッジ・オブ・スパイ』:まだ紳士的だった冷戦下の『大いなる幻影』 @試写会

<<   作成日時 : 2015/12/17 00:55   >>

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スティーヴン・スピルバーグ監督最新作『ブリッジ・オブ・スパイ』、試写会で鑑賞しました。
スピルバーグ監督の前作『リンカーン』は未見なので、『戦火の馬』以来の鑑賞です。
おっと、これもDVDだったので、スクリーンで観るのは『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』以来か。
ここのところ観たり観なかったりだなぁ。
かつては、スピルバーグと聞けば飛んで観に行ったのに。
今回は、米ソ冷戦下での米国の交渉術・処世術をいまごろ見せられてもなぁ、ちょっと困るなぁと思いつつ・・・
さて、映画。

1950〜60年代は米ソ冷戦状態。
なんらかの危機的事案が勃発すれば、ふたたび戦争になることも現実のハナシだった。
そんな中、ルドルフ・アベル(マーク・ライランス)という男が、ソ連のスパイ容疑で逮捕される。
極刑を望む民意の中、裁判の弁護士としてジェームズ・ドノバン(トム・ハンクス)が選出される。
スパイ容疑と言えども、人権は米国憲法で認められているとして、アベルの弁護に立つが、予想どおり彼は米国民全員を敵に回した格好になる。
アベルのスパイ容疑は有罪で、民意も判事も死刑当然に傾いていたが、米国の切り札(いわゆる捕虜・人質的役割)として生かしておくようにドノバンは主張する・・・

と、ここまでが第一部。

その後、米国の最新鋭戦闘機に乗ってソ連領土の偵察を行っていたパイロットが撃墜されて、ソ連に囚われてしまう。
時同じくして、ベルリンの壁が建設され、東西ベルリンが封鎖されるというその日に、ひとりの米国人学生が東ベルリンに拘束されてしまう。

第二部は、アベルと米国人パイロットの交換交渉の任に当たったドノバンが、東ベルリンも巻き込み、三つ巴の交渉をベルリンで行うというもの。

少々もったりしているともいえるが、どっしりとした演出で、スピルバーグの演出は上手い。
冒頭のアベルのスパイ活動と、保険の交渉をおこなっているドノバンとをカットバックでみせるあたり、語り口が上手い。
特に、無口で、風采の上がらない、冴えない初老男にしかみえないアベルが、すこぶる良い。

逮捕されても、ソ連に忠誠を尽くし決して口を割らないアベルは信念を感じる。

それに対するドノバン。
交渉術に長けているが、米国憲法を遵守し、人権を擁護し、そして人命を尊重する。
この順法精神、人権擁護、人命尊重の三要素は、米国という国の理念そのもの。
つまり、ドノバンも米国に忠誠を尽くしているといえる。

そして、ドノバンもアベルもそれぞれ相手を尊重し、それらの態度を尊敬しあっている。

あれれ、この図式、どこかで観たような・・・

おぉぉ、もしかしたらジャン・ルノワール監督の『大いなる幻影』ではありますまいか。
あの映画は、第一次大戦では敵同士であってもまだ紳士的だったといっていた。

とすると、この映画は「冷戦下はまだ紳士的だった」といっているのかもしれない。
そう、ベトナム戦争、湾岸戦争、テロとの戦い、それらにはもう相手方について考える余裕などないのだから。

そう考えると、いまごろ米ソ冷戦下での米国の交渉術・処世術を見せられてもなぁ、というのは間違っていたのかもしれない。

「冷戦下はまだ紳士的だった」とはいえ、結末では「敵は敵、信用すべきものではない」ともいっている。
タイトルどおり橋の上で交換されたアベルの行く末を見つめるドノバンの遠景ショットがそれを示している。

コーエン兄弟が脚本に咬んでいるので、シニカルな笑いを強要するような映画だったらどうしようか、と懸念していたのだけれど、たしかにそれに近い笑いがないわけではないが、どっしりとしたスピルバーグ演出がそれらを上滑りにならないようにしており、さすがといったところ。

でも、もう少し尺が短くてもいいかな。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。


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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:125本
 外国映画89本(うちDVDなど19本)←カウントアップ
 日本映画36本(うちDVDなど 7本)

旧作:2015年以前の作品:125本
 外国映画102本(うち劇場18本)
 日本映画 23本(うち劇場 8本)
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