キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど

アクセスカウンタ

zoom RSS 『ヴィオレット ある作家の肖像』:書くことで孤独を強める作家のジレンマ @ロードショウ・単館系

<<   作成日時 : 2016/01/13 00:09   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 1

画像

東京では岩波ホールでロードショウされている『ヴィオレット ある作家の肖像』。
この劇場は苦手なので、できれば別のところでみたいなぁ、と思っていたところ、帰省中の大阪でもロードショウされることを知り、帰路、劇場に寄り道して鑑賞することにしました。
劇場はシネリーブル梅田。
大阪駅北口へ出ると・・・ありゃりゃ、おそろしいぐらいに様変わりしている!
大鉄管理局の跡地に大型電気店ができたのは知っていたけれど、操車場跡地の一部が巨大なビル群に生まれ変わっている。
うーむ、どうやったら劇場に辿り着けるのかしらん、と不安だったけれど、操車場下の古臭い地下道は健在。
ここまで来れば大丈夫、と一安心。
劇場に無事到着し、さて、映画。

第二次世界大戦末期、フランスの田舎町に作家のモーリス・サックスとひっそりと隠れ住んでいたヴィオレット・ルデュック(エマニュエル・ドゥヴォス)。
ゲイであることで迫害されていたモーリスとは偽装の夫婦関係を続け、生活はヴィオレットが闇商売をすることで支えている。
私生児として生まれ、自分の容姿にコンプレックスを抱き、男女どちらにも性的欲求を抱くヴィオレットは、自分自身を嫌悪していた。
モーリスは、そんな彼女に、自分のことを書け、と自らの出来事を小説にすることを薦めるのであった・・・

というところから映画は始まる。

その後、モーリスは彼女のもとを去り、戦後、完成した小説を持ってパリに出たヴィオレットは、作家で編集者のボーヴォワール(サンドリーヌ・キベルラン)と出逢い、それまで書いていた小説を『窒息』として出版することになる。

映画は、ヴィオレットが係わった男性や土地の場所を小見出しにした「章立て」の形式をとっていて、それぞれがぶっきら棒といっていいほど説明もなく始まるので、はじめの2章ほどは物語の背景や人物設定などがわかりづらく、内容を理解するのが難しい。
しかしながら、それらの舞台背景がわかってくると、俄然興味深く観られるようになりました。

処女作『窒息』はカミュやサルトルなどの大物作家に絶賛されれるものの、女性によるその赤裸々な心情吐露は大衆には受け容れられず、ヴィオレットは劣等感に疎外感に苛まれていく。
ここいらの描写は、ひりひりするほど痛々しい。
大物実業家のジャック・ゲラン(オリヴィエ・グルメ)や作家のジャン・ジュネなどの賛同者が増えれば増えるほどほど疎外感は増してしまう。

この複雑な感情をエマニュエル・ドゥヴォスが見事に表現していて、この映画のいちばんの見どころ。

マルタン・プロヴォ監督がみせる画面は暗いシーンが多く、ときには何が映っているのか判別が出来ないほどだが、それが故に、終盤、ヴィオレットが見つける安息の地・南仏プロヴァンスの小村が明るくまばゆく輝いて見える。

重い荷物を持って、劇場に寄り道した甲斐がありました。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

------------------
2016年映画鑑賞記録

新作:2016年度作品:3本
 外国映画 3本(うちDVDなど 0本)←カウントアップ
 日本映画 0本(うちDVDなど 0本)

旧作:2016年以前の作品:2本
 外国映画 2本(うち劇場 2本)
 日本映画 0本(うち劇場 0本)
------------------

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
女性映画が好きな私向きの映画でした。早く生まれすぎた不幸でしょうか、21世紀に生まれていれば、ここまで孤独に追いつめられることもなかったでしょうに。愛を求めても与えられない苦しさを上手く表現したエマニュエル・ドゥヴォスはさすがです。
ぷ〜太郎
2016/03/19 17:41

コメントする help

ニックネーム
本 文
『ヴィオレット ある作家の肖像』:書くことで孤独を強める作家のジレンマ @ロードショウ・単館系 キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる