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zoom RSS 『フェイシズ』ジョン・カサヴェテス監督:反ハリウッド的→ハリウッド的映画 @名画座

<<   作成日時 : 2016/06/13 17:49   >>

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久々にジョン・カサヴェテス監督作品を鑑賞。映画は、1968年製作の『フェイシズ』。
以前このブログで『ラヴ・ストリームス』『オープニング・ナイト』のレビューを記し、そのときにも書いたけれども「ジョン・カサヴェテス=米国唯一の孤高の映画作家」の印象は、この初期作品でますます強くなりました。
さて、映画。

結婚14年のリチャードとマリアのフォースト夫妻(ジョン・マーレイ、リン・カーリン)。
リチャードは金融会社の社長をしていて景気がよく、妻マリアは専業主婦だ。
ふたりの間には溝が横たわっており、夫婦関係はいつ壊れてもおかしくない情況・・・

というハナシは、50年代のハリウッド製のメロドラマにもありそうなストーリーで、さして珍しくもない。

この「珍しくない物語」を、1日半の時間に凝縮し、手持ちカメラを使って、自由に撮ったところにこの映画の革新性がある。
手持ちカメラでの映像は「顔」「顔」「顔」のアップを多用し、当時のスタジオ作品のフレーミングと比較すればメチャメチャに近い。

このメチャメチャに近いフレームが、人間の内面をギラギラと剝き出しに捉えて、観ていて感情がえぐられるような気持ちになってくる。

フレームも革新的だが、物語の語り口もかなり特異。

前半は、夫リチャード篇とでもいうかのように、彼が友人と高級娼婦ジェニー(ジーナ・ローランズ)を買う話が綴られ、三人でやり取りするうちにリチャードがどんどんとジェニーに惚れていく。

後半は、妻マリア篇とでもいうように、夫がふたたびジェニーのもとを訪れる間に、女ともだち3人と連れ立ってディスコに出かけ、チェット(シーモア・カッセル)を拾って帰ってくる。
女ともだち3人と駆け引きがあった後、果たしてマリアはチェットとベッドをともにするのだが、翌朝、マリアは衝動的に多量の睡眠薬を飲んで意識不明になってしまう。

この二部構成のような物語が、チェットの介抱により一命を取り留めたマリアのもとへリチャードが帰宅し、突如として、メロドラマの様相が屹立してくる。

訣別が決定的になるシーンがとりわけ素晴らしい。
それまで、手持ちカメラで動いていたカメラが、フォースト家の階段をロングで捉える。
階段の下方に夫リチャード、上方に妻マリア。
リチャードは妻の行く手を遮るがごとくに、階段に座って脚を伸ばしている。

この画が素晴らしい。
そして、この画が、この時期のカサヴェテスの作家性を示しているように感じる。
それまでの自由な手持ちカメラ(=反ハリウッド的なもの)と、固定のロングショット(=ハリウッド的なもの)が相反しながらも同居している。

このショットがあるか、ないかで、この映画の価値が大きく異なるだろう。
あることで、この映画の価値を上げたと確信する。

評価は★★★★(4つ)としておきます。



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2016年映画鑑賞記録

新作:2016年度作品:41本
 外国映画28本(うちDVDなど 0本)
 日本映画13本(うちDVDなど 1本)

旧作:2016年以前の作品:53本
 外国映画44本(うち劇場 9本)←カウントアップ
 日本映画 9本(うち劇場 2本)
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