キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど

アクセスカウンタ

zoom RSS 『顔のないヒトラーたち』:過去に向き合うことを懼れてはならない @DVD・レンタル

<<   作成日時 : 2016/07/20 23:42   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

画像

昨秋公開の『顔のないヒトラーたち』、DVDで鑑賞しました。
同時期に『ヒトラー暗殺、13分の誤算』という映画があり、どちらを観るか迷っているうちに観逃していた作品です。
さて、映画。

1958年、ドイツ・フランクフルト。
第二次世界大戦から十数年経ち、ドイツ国民は戦争のことを忘れようとしていた。
そんなある日、ジャーナリストのグルニカ(アンドレ・シマンスキ)が元SS隊員が小学校の教師をしていることを知り、検察庁に告発に出た。
しかし、検察庁では誰ひとり取り合わない。
先の戦争については、だれもが決着がついていると思っていたからだ。
そんな中、ひとりの若き検事ヨハン(アレクサンダー・フェーリング)だけが関心を示す。
それが、アウシュビッツ収容所での残虐行為を白日の下に晒すきっかけになっていく・・・

というハナシで、前半描かれる当時のドイツの様子がすこぶる興味深い。

先の戦争の決着はニュルンベルク裁判でついたものとドイツ国民は感じており、アウシュビッツの名前すら若い人々は知らない。
ヒトラーの名前は過去の遺物になっている。

忘却という行為は、人間が生きていく上で重要な行為なのだけれど、忘れていいことと、いけないことがある。
加害者であった事実を忘れる、それも故意に忘れる、もっといえば隠ぺいしてしまうというのは、やはり健全ではない。

過去に向き合うこと、それを懼れてはならない。
このことを、映画の前半で強く感じました。

と、前半は世情的なおもしろさもあってなかなかの出来だが、後半になると少々演出がドタバタしてきて残念。

ヨハンが仲間とともに、市民の中に溶け込んだ元アウシュビッツ在籍のナチスをあぶりだしていくあたりは、かなりエンタテインメント調。
テンポよくみせているのが、かえって事実を軽いものにみせてしまった感がある。

特に、それまで一緒に行動していたグルニカが、実は過去、10代の兵士だった頃にアウシュビッツに在籍していたことが明らかになるあたり、『ハンナ・アーレント』に描かれた「悪の凡庸さ」(つまり、だれもが悪になってしまうフツーさ)が屹立してきてもいいのだけれど、前後のテンポのいい演出に埋没してしまっていて、本当に残念。

とはいえ、かなり興味深い作品。

評価は★★★★(4つ)としておきます。


------------------
2016年映画鑑賞記録

新作:2016年度作品:54本
 外国映画37本(うちDVDなど 2本)
 日本映画17本(うちDVDなど 2本)

旧作:2016年以前の作品:64本
 外国映画51本(うち劇場 9本)←カウントアップ
 日本映画13本(うち劇場 5本)
------------------

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
【顔のないヒトラーたち】
ドイツ人のナチスドイツに対する歴史認識を大きく変えたとされる1963年のアウシュビッツ裁判を題材に、真実を求めて奔走する若き検事の闘いを描いたドラマ。1958年、フランクフルト。終戦から10年以上が過ぎ、西ドイツでは多くの人々が戦争の記憶を忘れかけていた。そんな折、かつてアウシュビッツ強制収容所で親衛隊員だった男が、規則に違反して教師になっていることが判明する。新米検事のヨハンは、上司の制止も顧みずジャーナリストのグルニカやユダヤ人のシモンと共に調査を開始。様々な圧力にさらされながらも、収容所を... ...続きを見る
じゃむまるのシネマデイズ
2016/07/21 00:44

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは。
ナチスものとしては見やすい万人受けする作りになっていました、そのぶんずっしりとした事実の重みが薄められてしまい残念でした。
でもこういう映画は多くの人に見ていただきたい、そのあたり成功しているのでは、と思いました。
TBお願いいたします。
jじゃむとまるこ
2016/07/21 00:42
じゃむとまるこさん、コメントありがとうございます。
万人に、過去はこうだったと伝えるためには、やはり興味を惹くように作らなければならないので、ある程度のエンタテインメント性は必要ですね。
その意味でも、成功作、佳作といえるでしょう。
りゃんひさ
2016/07/21 21:42

コメントする help

ニックネーム
本 文
『顔のないヒトラーたち』:過去に向き合うことを懼れてはならない @DVD・レンタル キネマのマ 〜 りゃんひさ 映画レビューなどなど/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる