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zoom RSS 『だれかの木琴』:わたしの、エロスに、火をつけて @ロードショウ・単館系

<<   作成日時 : 2016/09/12 22:26   >>

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ことし82歳になる東陽一監督の最新作『だれかの木琴』、ロードショウで鑑賞しました。
80歳を過ぎて、なお、このような女性心理をえぐるような映画を撮るとは、『もう頬づえはつかない』『四季・奈津子』などの東監督である。
調べてみると、最近は「東ヨーイチ」名義でエロティック作品も撮っているよう。
さて、映画。

小夜子(常盤貴子)は、警備会社に勤務する夫・光太郎(勝村政信)と中学生のかんな(木村美言)と三人暮らし。
最近、東京郊外の一戸建てに越してきた。
ある日、偶然訪れる美容室の若い美容師・海斗(池松壮亮)に髪を切ってもらったその日、昼間たまたま自宅に立ち寄った夫から新しいヘアスタイルとシャンプーの匂いを褒められ、欲情した夫と行為をしてしまう・・・

というところから始まるハナシで、何が夫の心に火をつけ、何が自分の心に火をつけたのかわからないまま、小夜子は心の導火線を追い求めていく。

この導火線の象徴が美容師・海斗であり、はじめは些細なメールのやり取りだったのだが、小夜子は徐々にストーカーまがいの行為に発展してしまう。

この映画の興味深いところは、小夜子が追い求めているのは夫・光太郎でありながら、海斗に執着してしまうところにある。
いわば、生まれたばかりの雛鳥が、初めて目にした動くモノを親だと認識してしまうのに似ている。

そういえば、終盤、光太郎と小夜子の無言の会話の中に「雛鳥」の語も登場するし、そもそも光太郎と小夜子の間のコミュニケーションは微妙に断絶している。

そして、もうひとつ興味深いのは、ストーキングされる海斗の心情・態度である。
現在、25歳の彼は、22歳の頃に、母親を悪し様に罵倒した相手に対してブチ切れて、重傷を負わせた経験があり、些細なことで、心に火が着いたり、心が壊れることを理解している。
なので、小夜子からのストーキングまがいの行為に対して、適度に距離を置いている。
ここが興味深い。

そして、そんな彼の薄情ともいえる行動に対して、恋人・唯(佐津川愛美)は不満を覚え、小夜子を詰(なじ)らない海斗に愛想をつかしてしまう。
彼女の行動がいちばん常識的で理解しやすいのだが。

海斗も、光太郎も(彼は彼で、行きずりの女と簡単にベッドを共にしてしまう)、すこし常識的でなく、すぐさまバランスを崩しそうだ。
小夜子も含めて、そこいらあたりは妙にリアルで、それを抑えたタッチで展開させる東監督の演出は、すこぶる映画的。

ただの「ストーカー映画」「サスペンス映画」ではないので、注意が必要。

オマケも込みで、評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2016年映画鑑賞記録

新作:2016年度作品:79本
 外国映画55本(うちDVDなど 8本)
 日本映画24本(うちDVDなど 4本)←カウントアップ

旧作:2016年以前の作品:89本
 外国映画71本(うち劇場14本)
 日本映画18本(うち劇場 5本)
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 『だれかの木琴』をシネマート新宿で見ました。 ...続きを見る
映画的・絵画的・音楽的
2016/10/01 05:14

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
この作品の中で一番大人なのは池松壮亮演じる海斗ですね、年齢以上にしっかりした意見をもっています。しょうもない夫に見えた光太郎も、いざというときには「僕の妻はストーカーではない」と言い切ります。これも見事。微妙に男達がよく見えた映画でした。まあ単純に言えば、お互いの愛情確認のため、周りをまきこんだはた迷惑な夫婦の話ですが、それを実によく撮っているので(画に力があるということ)見応えがありました。
ぷ〜太郎
2016/11/11 13:10
ぷ〜太郎さん、コメントありがとうございました。
あぁ、日本映画で久々に男が大人に見えたような気がしました。周囲を巻き込むはた迷惑な夫婦のハナシといえば身も蓋もないですけれど。
りゃんひさ
2016/11/14 17:08

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