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zoom RSS 『永い言い訳』:ダメダメダメダメ男に愛の手を @ロードショウ・シネコン

<<   作成日時 : 2016/10/18 00:32   >>

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西川美和監督の最新作『永い言い訳』、ロードショウで鑑賞しました。
西川監督作品は『蛇イチゴ』『ゆれる』『ディア・ドクター』『夢売るふたり』といずれも人間描写に唸らされてきました。
そして、物語の決着を観客に委ねる結末にも・・・
さて、映画。

衣笠幸夫(本木雅弘)は、津村啓の筆名で文学賞を受賞し、いまではテレビのクイズ番組にも出演して、人気がある作家だ。
ただし、編集者からは、最近の作品は惰性だと揶揄されている。
そんな彼の妻・夏子(深津絵里)が、高校時代からの親友とのバス旅行の途中、バス事故で死んでしまう。
こともあろうか、幸夫が他の女性と不倫している最中に・・・

といったところから始まる物語は、その後、妻の親友の遺された夫・大宮陽一(竹原ピストル)家族と知り合って心が変転していく、といった展開になる。

幸夫と陽一は、何から何まで正反対。

幸夫は、インテリで世間に対して斜に構え、自己顕示欲が強く、僻み根性ばかり。
妻への愛には冷めているが、妻は自分を愛してくれるのが当然だと思っている。

陽一は無学で直情的で、突然妻を喪った哀しみを時折噴出させる。

映画はこのふたりを対比して描いていくが、常に幸夫の視線である。
そして、幸夫が何か言う度に、幸夫のダメ男ぶりが際立っていく。
それは、彼の関心が自分ばかりにあり、他者と向き合ってこなかったせいだ。

妻の突然の喪失でも、感情が揺さぶられないほどに・・・

いやぁ、ホントにダメダメダメダメ男なんだなぁ、これが。
ま、ちょっと身に覚えもあったりするので、観ている方としては、いたたまれないのだけれども。

そんなある日、亡き妻からの手ひどいしっぺ返しを食らう。
妻のスマホの、幸夫宛ての下書きメール。
「もう愛していない、ひとかけらも」

いやぁ、残酷だぁ、西川監督。

しかし、その後、西川監督は、このダメダメダメダメ男に優しい手を差し伸べる。
斜に構え、妻も含めて他人と向き合おうとしなかった幸夫に、「人生は、他者だ」と気づかせてあげるのだ。

ありゃりゃ、なんだか西川監督、優しくなったねぇ。
それとも、監督は、この手のダメダメ男が好きなのかしらん。

いつもながら深い人間描写に唸らされましたが、物語の結末を観客に委ねることはしなかった。
さて、今後の西川作品、どのように変化していくか、とても楽しみである。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2016年映画鑑賞記録

新作:2016年度作品:91本
 外国映画61本(うちDVDなど 9本)
 日本映画30本(うちDVDなど 5本)←カウントアップ

旧作:2016年以前の作品:93本
 外国映画73本(うち劇場14本)
 日本映画20本(うち劇場 6本)
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ちょっと違う見方をしました。ダメダメ男の幸夫は最後に人生とは何ぞやに気づく。まあ、まっとうな人間になったとしましょう。でも、ここで決定的に監督の以前の作品と違うのは、彼とつながっているごく近い人物がいないということ。「蛇イチゴ」でも「ディア・ドクター」でも「夢売るふたり」でも妹なり患者なり妻が、ダメな主人公と心で繋がっていた。しかし、この作品の幸夫と繋がるべき妻はいないのです。彼は本来ならば自分と笑っていなければならない妻が、他人の家族と笑っている写真を見て、これからの人生いきていくわけですね。いつかは彼も再婚して幸せになるのかもしれません。が、まっとうな人物になった幸夫の心の中には、妻を理解できなかったという思い、妻のスマホの下書きのメールの言葉が澱のように沈んでいて、何かの折には表面に浮かび上がってくるでしょう。それをかかえて彼はこれからの人生生きていくわけです。そんな結末を用意した監督は決してやさしくはないと思いますよ。やさしかったのは、あのメールを出さなかった妻の方かと。彼女が生きていたら、まだやり直す機会はあったのにと思います。
ぷ〜太郎
2016/11/24 15:14
ぷ〜太郎さん、コメントありがとうございました。
なるほど。
わたしの見方もまだまだ底が浅いなぁと感じました。
りゃんひさ
2016/11/26 10:34

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