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zoom RSS 『カスパー・ハウザーの謎』:自然に対する文明のジレンマ @DVD・レンタル

<<   作成日時 : 2017/01/23 23:16   >>

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ヴェルナー・ヘルツォーク監督が1974年に撮った『カスパー・ハウザーの謎』、DVDで鑑賞しました。
TSUTAYAの発掘良品のシリーズで棚に並んでいましたが、このシリーズ、タルコフスキーやベルイマンもラインナップされるので、正直、侮れない。
隣に並んでいたのは、同じくヘルツォーク監督の『小人の饗宴』。
こちらも観てみたいのですが、チャレンジ魂が残っているかどうか・・・
さて、映画。

19世紀初めのドイツの田舎町。
地下牢で監禁されて育った青年(ブルーノ・S)が発見される。
彼は、言葉も話せないどころか、立って歩くことすらままならない状態。
しかし、その後、篤志家に引き取られ、カスパー・ハウザーと呼ばれるようになって育った彼は、いつしか言葉も覚え、ピアノも自然と弾けるようになる・・・

といった話で、ヘルツォーク監督お得意の「文明と自然の対比もの」。

二本の足で立って言葉を話す、ということが人間(文明の象徴)ならば、立つこともできず、話すことなどできないカスパーは自然、すなわち、文明と対象的な存在。
そんな彼が、自然と音楽を身につけるというあたりが興味深い。
論理的な言葉に対する、非論理的な象徴である音楽。

そして、教会の説教やミサ歌などは、生理的に受け付けないというあたりも興味深い。
言葉(=論理)は少しずつ受け容れていくにもかかわらず、である。
神の概念、宗教で説くことは、自然でも文明でもないといっているかのよう。

もうひとつ興味深かったエピソードは、カスパーに論理的思考を教え込もうとする教師がやり込められるシーン。

教師が問う。
「君は、正直村へ伸びる道と嘘つき村へ伸びる道への分かれ道にいる。いましも向こうから、ひとりの男がやって来た。正直村の住人は正しいことしか言わないし、嘘つき村の住人は嘘しかつかない。さて、どちらの村から来たか? それがわかるような質問をしてみなさい」
そして、カスパーが答えないでいると、教師はなんだか論理的解答めいたことをいうのだが、そのとき、カスパーは「ぼくは、そんな質問はしない」という。
そこでのカスパーの回答が明快だ。
「ぼくは、彼に、『あなたはカエルですか』と訊く」という。
なぜなら、
「正直村から来たならば『いいえ』と答えるし、嘘つき村から来たならば『はい』と答えるからだ」
という。

これには参った、降参である。
教師が答える文明的な論理的めいた解答などをはるかに超える、自然の理による帰結。

映画はその後、何者かによって撲殺されたカスパーを解剖して、脳が通常人と異なることを発見するところで終わるのだが、自然の理をなにがなんでも人間の理で説明しなければ落ち着かないという、文明のジレンマを感じました。

カスパー・ハウザーを演じるブルーノ・Sも素晴らしいが、ワンシーンワンシーンの映像も美しく、時折、カスパーが想像する空想の世界の映像が特に美しい。

ぶっきらぼうな編集のため時間の流れが若干わかりづらいところもあるのだけれど、さすがのヘルツォーク監督作品でした。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2017年映画鑑賞記録

新作:2017年度作品:7本
 外国映画 7本(うちDVDなど 0本)
 日本映画 0本(うちDVDなど 0本)

旧作:2017年以前の作品:8本
 外国映画 6本(うち劇場鑑賞 3本)←カウントアップ
 日本映画 2本(うち劇場鑑賞 0本)
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