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zoom RSS 『たかが世界の終わり』:戯曲の映画化なんだが・・・ @ロードショウ・シネコン

<<   作成日時 : 2017/02/25 18:43   >>

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グザヴィエ・ドラン監督・脚本の最新作『たかが世界の終わり』、ロードショウで鑑賞しました。
ドランの監督作品はデビュー作『マイ・マザー』から前作の『Mommy/マミー』まで全作観ています。
なかでも秀逸なのは『わたしはロランス』なのですが、本作も2016年カンヌ映画祭でグランプリを獲得しているとあって期待大でした。
さて、映画。

劇作家でゲイのルイ(ギャスパー・ウリエル)は12年ぶりに家族の元を訪れる。
それは、家を出てから初めてのこと。
彼が訪れる理由はひとつ。
自らの死が近いことを家族に告げるため。
しかし、それはなかなか切り出せない・・・

というハナシで、ストレートにいえば、それ以外にハナシはない。

なので、見どころは、12年ぶりの家族との確執が焦点で、母(ナタリー・バイ)、兄(ヴァンサン・カッセル)、兄嫁(マリオン・コティヤール)、妹(レア・セドゥ)という豪華配役がそれを演じている。
なかでもキーパーソンは兄役で、粗野で知識の面でも弟に劣るが、一家を支えているという自負があり、さらに、弟の訪問理由にも気づいている。
そして、家族を傷つけたくないという気持ちもある。

また、ルイの病気は語られないが、劇中で、兄は弟のかつての同性の恋人が死んだことを告げていることから推察するに、たぶんエイズなのだろう。
気づいているからこそ、言葉を荒げて、弟が波風を立てないうちに、自分が損な役回りを引き受けて、弟を追い払おうとする。
とにかく、役として難しい。

そして、思い起こせば、愚兄賢弟の図式は『トム・アット・ザ・ファーム』でもみられたもので、ドランとしてはかなり思い入れのある設定なのだろう。

で、映画はこの兄を中心に進んでいくかと思いきや、なかなかそうはならず、ルイの帰還理由に気づいていない妹、理由そのものはわからないが何らか悪いことがあることを予感している母親、そして、兄同様、ルイの帰還理由に気づいてしまう兄嫁が、ほぼ均等に描かれていく。
それを、同時多発的に交わされる台詞をしゃべる人物の顔のアップを中心にして、描いていく。

この映画には原作戯曲があり、ドランとしては、演劇臭をけしたかったがために、この手法を選んだのだろうが、個人的には、あまり効果的でないと思う。

戯曲を映画化する際、舞台のように引いた画面で延々とみせることは映画を撮る立場としては避けたいところで、逆に、登場人物たちに肉薄しようとしてカメラを寄せてしまうということは多々あること。
過去の映画作品でもよくお目にかかった。
けれど、この撮り方は逆に映画を狭苦しくするだけで、戯曲の良さを損なうことが多い。

まぁ、ドラン監督は、そんなことも百も承知、二百も合点でこの手法を採用して、登場人物の内面に迫りたかったのだろうが、やはり映画として上手くいっていないように感じられて、観ていて苛立ちだけが先立ってしまった。

それに、今回は音楽の入れ方も陳腐。
主人公の心情の代わりに使っているのだろうが、なんだかミュージックビデオのようにそのシーンだけが浮いてしまっている。
どうだ、いいだろう、うまいだろうと自ら言っているようで、悪趣味になりかかっている。

常に私小説ならぬ私映画を撮るドラン監督だが、映画を撮るにあたっては若干の客観性がほしかったところ。

評価は★★☆(2つ半)としておきます。

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2017年映画鑑賞記録

新作:2017年度作品:18本
 外国映画16本(うちDVDなど 1本)←カウントアップ
 日本映画 2本(うちDVDなど 0本)

旧作:2017年以前の作品:16本
 外国映画13本(うち劇場鑑賞 3本)
 日本映画 3本(うち劇場鑑賞 0本)
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
そうですね、同意見です。登場人物の緊迫した心情をより描きたかったのだと思うのですが、アップの画面ばかりだと観ている方が息苦しい。音楽もわざとらしく私にはただうるさかったです。
ぷ〜太郎
2017/03/25 02:05
ぷ〜太郎さん、コメントありがとうございました。
音楽の使い方も、少々鼻についてきた感じです。
ドラン、一度、一歩引いて自分をみてほしいです。
りゃんひさ
2017/03/25 10:35

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