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zoom RSS 『みかんの丘』:「死」に乾杯することは・・・ @名画座

<<   作成日時 : 2017/03/02 16:45   >>

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名画座で観たジョージア映画2本立て、続いては『みかんの丘』。
映画の内容に入る前に、ひとくさり。
なかなか素晴らしい2本立て番組でも、ここんところ集中力がないせいか、それとも気持ちの切り替えがうまくいかないせいか、2本目になると、1本目ほど熱中して観れなくなってきました。
間に1時間ぐらいおけば、どうってことはないのだけれど、10分程度の休憩時間だとなかなかそうはいかなくなってきている。
ということで、さて、映画。

かつて、ジョージアにはエストニア人がたくさんいたが、ジョージア人とアブハジア人との対立が激化して内戦状態になった際に、その多くはエストニアに帰って行った。
しかし、個々の理由で、ジョージア国内に留まるエストニア人たちも、いくらかはいた。

そんなエストニア人ふたりが暮らす丘、そこはアブハジア人の領内。
ひとりはみかん樹林でみかんを育て、ひとりは出荷用のみかん箱を作っている。
みかん農家の男マルゴスは、いま育てているみかんを収穫し、金ができたら帰郷しよう考えているが、もうひとりの男イヴォは理由があって、この地に留まっている。
そんなある日、みかん樹林のすぐそばでジョージア兵とアブハジア兵の小競り合いがあり、アブハジア兵ひとりを残し、あとは死亡してしまった。
アブハジア兵の男アハメドは、右肩あたりを銃撃されたが傷は浅く、イヴォの家で介抱されるうちに、実はチェチェンからの傭兵であることを告げる。

その夜、死亡した兵士たちを埋葬しようとしたところ、ジョージア兵のひとりに息があることがわかり、彼を助けたふたりは、ジョージア兵ニカもイヴォの家で介抱することにした。
回復したアハメドは、旧友の仇ちのためジョージア兵を殺すと息巻くが・・・

というところから始まる物語で、先に観た『とうもろこしの島』と異なり、複数の人種が入り混じってのドラマである。

相互に理解しない、理解しようとしないことから起きる悲劇を、回避するのか、できるのか、そして互いに互いを理解できるのか、ということをスリリングに描いていきます。
そういう意味では、イヴォに介抱される兵士ふたりを当事者であるジョージア人とアブハジア人としなかったところが、物語を効果的に進めていく糧になったと思います。

第三国のエストニア人とチェチェン人と、戦争当事者のジョージア人であるからこそ、互いを理解し、終盤、4人での屋外での食事のシーンを可能としています。
そして、そのとき、イヴォが乾杯するものが効いています。

「死」に乾杯。

逆説的でありましょうが、誰にでも訪れる「死」に乾杯することで、ひと皆同じ、だといっており、それがエンディングにまた効いてきます。

そして、理解しあえたかのような4人に、戦争当事者のアブハジア兵がやってくることで、悲劇が訪れます。
チェチェン人のアハメドをジョージア人だと決めつけるアブハジア兵が、彼を射殺しようとして、銃撃戦が起こります。

結果として、エストニア人のマルゴスと、ジョージア人のニカが死に、マルゴスは最愛のみかん樹林の片隅に、ニカはある場所に埋められます。

その、ある場所で、イヴォがアハメドに、この地を離れない理由と、ニカをその場所に埋めた理由を語るのですが、それは「死」に乾杯した理由ともつながってきます。

イヴォの息子は内戦が始まった際に、アブハジア領内の自分の土地を守るために参戦した。
イヴォは必至に止めたが息子はアブハジアに入隊し、まもなくジョージア人に殺された。
その息子が眠っている横に、ニカを埋葬した・・・

アハメドは「なぜ、そんなことを・・・」と問うが、イヴォは「ひとは皆おなじじゃないか」と答える。
アハメドは続けて、「俺が死んでいたとしても、そこに埋めたか」と問い、「当然じゃないか、ひとは皆おなじじゃないか」と答える。

ひと一人ずつならば同じなのに、人種や国となると、どうして異なるのだろうか・・・

そういう映画であった。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2017年映画鑑賞記録

新作:2017年度作品:20本
 外国映画16本(うちDVDなど 1本)
 日本映画 4本(うちDVDなど 0本)

旧作:2017年以前の作品:19本
 外国映画16本(うち劇場鑑賞 5本)←カウントアップ
 日本映画 3本(うち劇場鑑賞 0本)
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