『ミスト』:私がキングなら迷わず「傑作」という:Myムービー掲載

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観終わった後、妻が「スティーヴン・キングは、あのラストに感心したそうね」と何処からか仕入れてきたのか、そんなことを言った。
そりゃそうだろう。現在のキングなら、あのラストは感心感服するだろう。それ以外にも、キング自身が喜ぶ趣向か盛りだくさんだからだ。

スティーヴン・キングの映画化作品、特にスーパーナチュラル系の映画化作品の評判は芳しくない。
それは、B級テイストの設定であるにも係わらずA級の心理描写・人間描写が小説で盛り込まれているが、その心理描写・人間描写が尺の都合上余り深く描かれていないから。

本作品でも、霧の中から得体の知れない生物が襲って来るという設定で、さらに舞台を田舎町のスーパーマッケットに限定して、その中に閉じ込めれられた人々の恐怖心理・群集心理が丹念に描かれていく。
その上、得体の知れない生物たちはCGでなく、マペットで作られている。そう、正にB級テイストにA級の描写。
まず、コレがキングが喜ぶ原因の一つだけれど、喜ぶ趣向はまだまだある。

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冒頭、主役のトーマス・ジェーンが描いている映画ポスターの図案。
中央にマカロニウエスタンのガンマン風のシルエット、左後ろに黒い塔、右手前に一輪の紅い薔薇。
これは、キング畢生のサーガ『ダーク・タワー』に他ならない。

そう、キングの初期作品『霧』に、最近まで連綿と続く『ダーク・タワー』のモチーフを加味している。
この『ダーク・タワー』の要素は他にも使用されている。

得体の知れない生物たちが現われるのは軍の「アローヘッド計画」による。
この計画の実態は「異次元(別世界)を観察すること」であり、得体の知れない生物たちは「その別世界から現われる」ということだ。
この「別世界」が『ダーク・タワー』の世界であり、別世界から現われるモノたちは他の作品でも頻繁に登場する。
『回想のビュイック8』が本作品とテイスト的に近いのではないだろうか。

さて、問題のラスト。

この手のスーパーナチュラル作品だと、ヒーロー・ヒロインはあくまでヒーロー・ヒロインのままだけれど、自身が交通事故で生死の淵から帰還した後のキングにとって、生死は「ままならぬもの」としての死生観が強くなってきている。

「ままならぬ」とは、偶然に左右されるだけでなく、意志を持った行動でも「ままならぬ」ということである。

クライマックス、霧の中へ走り出すトーマス・ジェーンたちを乗せた自動車は、宗教的な暗喩を込めた演出で、ライトを輝かせながらユックリと走り出す。
ライトは霧の中で霞(かす)んでいる。
その運命も、また、霞んでいる。「ままならぬ」生死の境へ。この世界と別世界を彷徨(さまよ)うように。

そして、ラスト・・・・・。

キングなら、やはり、「傑作だ」と叫ぶだろう、他の誰が何と言おうとも。

私がキングなら迷わず★10個だ。

・・・でも、万人にお薦めも出来かねるので、★4つにしておきます。

↓Myムービーのレビュー&採点はコチラから↓
http://info.movies.yahoo.co.jp/userreview/tyem/id329978/rid23/p1/s0/c1/

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この記事へのコメント

2008年05月19日 14:31
わが意を得たりでございます。

フランク・ダラボンによる「S・キング集成」、或いは「S・キング全集 恐怖奇形怪物」と云うわけです(笑)。終盤近くまではですが。

>「自身が交通事故で生死の淵から帰還した
>後のキングならなら、あのラストは感心
>感服するだろう」

なるほど。
いろんなことを考えさせるラストでしたね。
よもや鳥肌が立つとは思いませんでした。
優駿
2008年11月16日 09:52
サークルでも評判が良かったですね。
でも、霧の中から“怪獣”が出てくると知って劇場まで足を運ぶ気になれず、
やっとDVDで鑑賞。

面白かったです~。
>B級テイストの設定
>A級の心理描写・人間描写 >人々の恐怖心理・群集心理

息子を放たっらかして大活躍する主人公パパ
(画家なのに、なんであんなにマッチョなの?)
トコトン憎たらしい隣人の黒人弁護士、
「俺たちを田舎モンだと思ってバカにしてるだろ!」のオヤジ。
宗教おばさん(この女優さん、他でも変人の役だった気が)上手~い!
射撃の選手の小太りの店員ほか、キャラが立ってて
密室劇ってホントに面白いですね。

>そして、ラスト・・・・・。
車は>ユックリと走り出す。ライトは霧の中で霞(かす)んでいる。

小6の息子(←映画好き)も、怪獣のコトより『最後がムナイ(むなしいの意味)』と評価。

こういう“当たり!”の映画は数少ないから貴重ですね。

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