『アフタースクール』:誰が誰で誰なのか・・・:Myムービー掲載
デビュー作『運命じゃない人』でスタンリー・キューブリック監督『現金(ゲンナマ)に体を張れ』ばりな作品をこしらえた内田けんじ監督の第2作。
否が応でも期待は高まる。その上、出演者が大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人、常盤貴子、田畑智子と芸達者が揃ったので期待は高まる一方。
さて、
うーむ、ちょっと期待が過ぎたかしらん。
前作同様、あっと驚く結末へと導いてくれるのだが、推理小説でいうところの叙述トリックですね。
出演者の誰が誰のことを誰だと思っているのか、というところで観客をミスディレクションしていきます。
観客側に近い視点は佐々木蔵之介。
彼が事件の内容を明らかにしてくような役割を振られているので、そう思って観ていくのだが・・・
個人的にいまひとつ乗り切れなかったのは、
佐々木蔵之介:巻き込む側
大泉洋:巻き込まれる側
というセオリーで進んでいるのかと思うと、そこいらあたりが大逆転して・・・
あれれ、なんだが、煙に巻かれたような、腑に落ちない、カタルシスがどっかに消えたような。
観客がファムファタール「あゆみ」を誤読するように演出していくのは定石なのだけれども、で、登場人物は「あゆみ」を(役者でいうところの)誰だと思っていたのかしらん。
大泉洋は、かのじょ。
私立探偵もどきの佐々木蔵之助は、多分、彼女。
やくざの親分、伊武雅人は、かのじょ。
で、梶山物産の社長は・・・彼女?
彼女とかのじょを彼らがどう認識していたか、観ているわたしはちょっとフラストレーション溜まる感じでした。
その他、途中ひとつの謎で引っ張りきれず展開がもたつくのと、「もしかして小市民がヤクザを出し抜くピカレスク(悪漢)ストーリー?」なんて期待したりもしたので、結果がピカレスクにはほど遠い小市民的オチだったので、嘘をつくなら、もう少しカタルシスのある嘘をついて欲しいなぁ、と思いました。
全体評価としては★3つ半です。
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この記事へのコメント
前作は手を叩いて、なるほど~と思ったんですけどね。
視点が一定ではなかったから、「あ~、だまされちゃった」とあっけらかんと笑えないんでしょうかね。