『おくりびと』:本木雅弘の所作の美しさが際立つ笑いと感動の一編

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試写会で早々と観ました。驚いたことは、上映前の案内の開口一番で「とにかく評判のいい映画です。」とアナウンスがあったこと。
おいおい、そんなこと言ってあんまり面白くなかったらどうなるのよ・・・とちょっと心配。

ですが、巻頭早々のエピソードで笑わせ、観客の気持ちを掴むことに成功しています。

東京で失敗して故郷の山形へ戻った本木雅弘。
新聞の折込求人広告で飛び込んだ会社は納棺師。
2ヶ月経って、若くしてなくなった美人さんの納棺のの初体験をやってみるかと社長の山崎務から言われて、やってみたところ・・・
その美人さんが実は・・・で、ってコト。

コメディなのね、とオープンニングで納得させてしまう呼吸は、さすがベテラン監督・滝田洋二郎。

映画は、納棺師としてのおっかなびっくり譚から納棺師として自負心を持つまでの本木の物語に、妻・広末涼子とのすれ違いと和解の物語、それに幼い頃に自分を捨てた父親との再会物語と盛りだくさんです。

ひとつひとつをユーモアで包む演出で飽きずに観ることができます。

映画のひとつの見所は、本木の納棺の儀のひとつひとつの手際のよさと美しさ。
前半、ちょっと下品な描写がなきにしもあらずだけれど、本木の所作の美しさがキリリと引き締めています。
そこいらあたりは本木の美しさが光った『シコふんじゃった』を思い起こさせます。

後半、彼と父親のエピソードも、石に想いを託して相手に送るという石文(いしぶみ)という仕掛けを使うことで、眼に見えないこころを石という眼に見えるもので表現していきます。
ここいらあたりも映画の演出としては王道ですが、やるなぁ、と思います。

上映時間が2時間を越える超尺なので、もう少し摘んだ方がよいとは思いますが、笑わせておいて心に残るなにかを描いているあたりを評価して★4つとしておきます。

<追記>
「とにかく評判のいい映画です」ってのは、まぁ当たっています。
でも、そんな評判を耳に入れず見る方が面白いのですが。

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↑銭湯せまッ↑

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この記事へのコメント

優駿
2008年09月16日 09:50
こういう仕事があることを知ったのは、マンガ「死化粧師」でした。
(またマンガが原作かと思っちゃいました)
「エンバーミング(遺体衛生保全)」という日本では耳慣れない職業の青年は、ヨーロッパで修行して日本に帰ってきたという設定。

様々な死因で亡くなった遺体が、主人公の手によって生前の輝きを取り戻し、遺族のもとへ帰っていく。その美しく安らかな死に顔は遺族の悲しみをも浄化する。
という話で、死装束を着せる「納棺師」とはちょっと違うのですが、
生と死、愛する者の死と向き合う遺族の心がテーマなのは一緒。
主人公は、仕事をしたあと必ず、暖かい体を持つ女の子を激しく求めます。
それに、マンガは絵が独特の美しさなんです。
映画は(マンガに比べて)地に足がついてて、邦画っていいなぁ。と思いました。

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