『ロルナの祈り』:これは母性の物語>妻の観方では、まるっきり別の作品

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近くのシネコンでの上映最終日に鑑賞した妻からの助言で、「そうか、そういう見方もあるのかぁ」と思ったので、追記します。

わたしともどもダルデンヌ兄弟監督作品は欠かさず観ている妻曰く、「この監督は、いつでも微妙な感情を描いていて、心に響くのよねぇ」と申しております。
「今回は特に微妙な感情を、かなり唐突な描き方をしているので、わかりづらいでしょうねぇ」とも。
唐突な描き方とは、ストーリー中で重要な事件のシーンは描写せずに、その後のシーンを単純に繋いでいることだ。
この指摘はわかりやすい。特に、元気に自転車に乗っていった麻薬中毒偽装夫が、次のシーンでは殺されていて不在になっているシーンなどに顕著だ。

では、「微妙な感情とは何ぞや」と問うと、「ずばり、母性です」との回答。

むむむ、イチバン苦手な分野だ。

「映画の宣伝ではダルデンヌ兄弟初のラブストーリーと謳われているけれども、男女の愛ではなく、ロルナの母性愛なのよ。その上、ロルナはその感情を表に出さないから判りづらい」のだと妻はいう。

続けて、「唯一、彼女の母性が垣間見られるシーンは2つ。ひとつは入院中の彼を見舞うシーン。まるで打ち棄てられたかのような彼に帆微笑むシーン。そしてもうひとつは、自転車を買って喜んで駈けていく彼を喜色満面で追いかけるシーン。その2つのシーンこそが、唯一、母性としての感情が爆発しているシーンなの。」

なるほど。

東欧の移民の物語として捉えていたわたしとは、まるで妻は異なる観方をしているし、そのように解釈する方が、ストンと納得できる。

麻薬中毒で何も出来ないダメな夫は、まるで幼子。
そうすれば、後半のロルナの妊娠にからむ物語は、守りきれなかった幼子=夫の代わりに、まだ生まれぬ命(存在すらしない命)を守ろうとする母性の物語。
だから、この映画は、「お父さんは殺されたけれど、この子だけは絶対に守ってみせる」というロルナの姿で終わるのは、当然なのだ。

母性。やはり、感覚的に妻とは異なるのかどうか、頭では理解できない分野、肌で感じることができないと、ついていけないことが多い。
同じようなことはアルモドバル監督の『オール・アバウト・マイ・マザー』でも感じたことだ。

今回は、なんだか手前味噌のようで恐縮ですが、わが妻ながら、その慧眼に恐れ入った。



↓わたし・りゃんひさのレビューはコチラから↓
http://ryanhisa-blog.at.webry.info/200902/article_10.html

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この記事へのコメント

かばくん
2009年03月08日 22:16
げに女とはかくも奥深く、恐ろしいものだということですな。
くれぐれも奥様を大切になさいませ。

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