『春との旅』:21世紀の「東京物語」かと思った @ロードショウ・シネコン

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年老いた漁師・忠男が孫娘・春と旅をする。
旅の先は、漁師の兄弟のところ。
忠男は、職を失った春が東京へ出て行くと、独りになってしまう。
兄弟に面倒をみてもらおう、という魂胆である。
そんな予告編を観て、「これは『東京物語』の21世紀版なのか?」と思った。
さて・・・

『春との旅』は、『東京物語』のようで、『東京物語』でない。
当然といえば当然なのだが。

物語の骨子は、似ているのだが、映画の肌触りはかなり異なる。
端正にカット割りをした『東京物語』に対して、ほとんどカットを割らず、望遠レンズでひとびとを観察するかのうような『春との旅』。

春と旅する先々のエピソードが、世相を映した内容と、ひと昔前の日本映画でありそうなエピソードとが綯い交ぜになっている感じ。

長男・大滝秀治は、息子に家業を任せて引退の身。
と思いきや、もうすぐ、夫婦ともどもホームへ入ることになっている。
忠男と春が辞去する際に、「ホームに入る」と絶叫する大滝秀治と彼に寄り添う妻・菅井きんが痛ましい。

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次に訪ねたのは末弟。忠男とはウマが合った。
その弟は、他人の罪を背負って刑務所の中と、さびれた食堂を営む内縁の妻・田中裕子が告げる。
このエピソード、ひと昔前の日本映画のよう。

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長姉・淡島千景は立派な旅館の女将。
わがまま三昧な忠男は使いものにならず、春なら働き手になると踏んだ彼女。
ゆくゆくは、春に旅館を切り盛りしてもらいたいという思いもあり、彼女だけなら引き取るというのだが・・・
このエピソードでは、淡島の矍鑠(かくしゃく)とした姿が素晴らしい。

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最後に頼るは、ウマの合わない弟・柄本明のもと。
不動産業を営んでいたが、不況の折、店をたたんでいた。
かつての店跡は更地に。驚く忠男の様子が滑稽だ。
「いまさらながら、オレに頼るな」と突き放す柄本明と忠男・仲代達矢とのやり取りは火花を散らすよう。

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兄弟だれにも頼ることが出来なくて、行き着く先は・・・

忠男と旅するうちに家族の血が恋しくなった春。
幼い頃に、母と自分を棄て、生家の牧場へ帰った父・香川照之を訪ねることになる。

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父と母との経緯(いきさつ)を知り、父の後妻から一緒に暮らそうと持ちかけられるが、所詮は擬似家族・家族ごっこのようなもの。
身内に縁薄い祖父と孫。
ふたりぼっちの血縁関係。
父と後妻の家族を残して、「そーぉっと、お暇(いとま)しましょうか」というあたり、素晴らしい。

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ここで終わってくれれば秀作・佳作となったものを、この後が蛇足。
一気につまらなくなってしまい、★ひとつは確実に減少。

評価としては★3つとしておきます。

↓Myムービーのレビュー&採点はコチラから↓
http://info.movies.yahoo.co.jp/userreview/tyem/id335616/rid102/p0/s0/c0/

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2010年映画鑑賞記録

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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2010年06月13日 01:55
そうそう、最後の部分が余分です。作り手はつい、饒舌になりすぎてしまうという見本ですね。話の発端は現実的だけど、映画全体は一種のファンタジー的味付けなのだから、最後をこう終わらせたんでは、台無しでしょうが・・。

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