『ゲゲゲの女房』:見えないものを信じるということ @ロードショウ・シネコン

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NHKの朝の連ドラでも取り上げられた題材が、映画となって登場です。
とはいえ、連ドラは観ていませんので、どれぐらい人気があったのかは知らないのですが・・・
さて、映画。

ひとことでいうと、昭和の貧乏話。
ですが、そう云うと身も蓋もない。

終盤、水木しげるがつぶやく「目に見えない妖怪なんて誰も見向きもしない。(高度成長期の)いまは目に見えるものしか信じられないんだ」という言葉の本質がテーマとして活きています。
「目に見えない妖怪」を、目に見えない絆や情愛や信頼と置き換えてもよいでしょう。
ですので、淡々とした起伏のない物語でも興味深く観ることができました。

演出も一工夫をしています。

そこかしこに居る妖怪たちを、説明のないまま、ぽーんと登場させています。

布枝さんの実家、一家団欒の食卓にいる物言わぬ老人。
多摩川で笊(ざる)を使って魚を獲る女とそれを見守る二人の男。

最後の最後で、妖怪であったことが示されますが、途中途中では、説明がないので、ある種の雰囲気を感じさせます。
これは、目に見えないものを見えるように、それでいてぶきらぼうに描いています。

もうひとつは、現代との継続性。

貧乏なのは、昭和のあの時代だけではない、と云わんばかりに、現代の風景が写りこむことを避けずに、意図的に映しこんでいきます。

水木夫妻の家の二階に間借する金内が調布駅前で似顔絵を描きの呼び込みをするところ。これは紛れもなく、現在の調布駅。
家出して姉の家で一夜を過ごした布枝を、しげるが迎えにいく畑の風景。奥には現代のマンションが映り込んでいます。

それから忘れちゃいけないのは、布枝さんのバイタリティの表現。
これを振り子時計のネジを巻くという所作で表したのは、かなり上手いです。
エンドタイトル前のラストカットが、時計のネジを巻くカットで終わっているのは、そういう意味です。

こういう起伏のあまりない物語を淡々と、それでいて飽きさせずに魅せるというのが、演出のうまいところです。

評価は★3つ半としておきます。

セピアがかった画調が少々汚れた感じがするのが減点です。画質がもう少しよければ★4つでもよかったのですが。



ミニシアター系の日本映画のレビューはコチラから
⇒『死にゆく妻との旅路
⇒『海炭市叙景
⇒『スイート リトル ライズ
⇒『マザーウォーター
⇒『ダーリンは外国人
⇒『パレード
⇒『ソラニン
⇒『CATERPILLAR キャタピラー
⇒『オカンの嫁入り
⇒『トイレット

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2010年映画鑑賞記録

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