『ミケランジェロの暗号』:往年のハリウッド映画的ドイツ映画 @ロードショウ・シネコン
『ミケランジェロの暗号』・・・どことなく(というか明らかに)『ダヴィンチ・コード』を意識した邦題。
ですが、現代は「わが良き敵」。
別に暗号は出てきません。
それらしきものは登場しますが・・・
ノッケからネタばれで申し訳ない。
まぁ、この映画、そんな謎解き主眼のミステリーとわけではないので、ご容赦願いたい。
時は第二次世界大戦前期。
ナチスドイツが台頭してきて、時代は不穏な雰囲気。
主役はユダヤ人美術商一家の若旦那と、一家の家政婦の息子。彼はアーリア人。
ふたりの友情が、戦争によって、一転するハナシ。
互いに同じ女性を愛している。
戦争さえなければ、美術商の息子と彼女は、円満に結婚できたはず。
が、時代はそれを許さない。
というか、家政婦の息子は、時代の波を利用して、逆転を狙う。
それも、美術商が入手した幻のミケランジェロのスケッチを利用して。
幻のミケランジェロ作品は、ドイツとイタリアの二国間同盟を強固にするもの。
その作品の在り処をネタに家政婦の息子はナチスに入隊してSSの一員となる・・・
おおお、スリリングなハナシじゃぁ。
紹介するとスリリングなハナシなんだけれど、演出は鷹揚に構えたような、どことなく余裕さえ感じる語り口で進んでいきます。
冒頭、ナチス高官とユダヤ人を乗せたヒコーキが抵抗勢力アルチザンにより墜落。
その報を受けたドイツ側指令所では、指揮官がレコードでクラシック音楽を鑑賞中。
手巻きの蓄音機なので、音楽は急にテンポが緩やかになり・・・笑いを誘う演出。
前半はあまり気づかないかもしれませんが、クスクス笑いを誘うような感じです。
それが、中盤以降、イッキに笑を誘う演出になります。
ヒコーキ事故をキッカケに、件のユダヤ人美術商の息子が、家政婦の息子のアーリア人ナチスSSと入れ替わります。
えええッ!
どう見ても、ナチスのSSに見えないじゃん。
そもそも、ユダヤ人というよりも、トルコ系じゃないか彼は!
そんなことは「ユダヤ人=割礼」という伝家の宝刀を抜いて、有無も言わさず、所謂「王子と乞食」のなり代わりハナシへと突入します。
ここいらあたり強引さは、50年代あたりのハリウッド映画的。
かつてのハリウッド映画だったら、ユダヤ人もアーリア人にも見えない役者をもってくるところを、家政婦の息子だけがなぜかアーリア人的役者をもってきて、ヘンテコリンな笑を誘っていきます。
たぶん、この映画の面白さは、そこんところにあるのでしょう。
幕切れは、ほとんど予想がつきます。
が、その予定調和的エンディングも愉しめます。
評価は少々オマケも込みですが★4つとしておきます。
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