『地球最後の男』:当時の時代を色濃く反映した原典的映画 @DVD・中古購入

画像


リチャード・マシスンの小説『地球最後の男』の1964年の第1回目の映画化作品。
主演はヴィンセント・プライス。
ジャケットに「ゾンビ映画の原点」と謳われるとおり、この作品の甦る死体・吸血鬼の描き方が、後のジョージ・A・ロメロ監督『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』に受け継がれていきます。
また、同じ原作をもとにチャールトン・ヘストン主演『地球最後の男 オメガマン』、ウィル・スミス主演『アイ・アム・レジェンド』とリメイクされています。
さて、映画。

時は1968年。
原因不明の細菌が蔓延し、1965年に人類は滅亡してしまう。
ロビンソン・クルーソーよろしく、ヴィンセント・プライスは壁に日付を刻み、孤独に生きている。
クルーソーと違うのは、夜になると細菌に冒され死亡したひとびとが吸血鬼として甦ってくることだった・・・

映画は3部構成で描かれていきます。

①1968年、死滅した町で、孤独に生きるヴィンセント・プライス。
②1965年、細菌に冒され世界が死滅する。その中で、彼の家族も細菌に冒されていく。
③1968年、ひとり生き残ったと思っていた彼のもとに、他に生き延びたひとびとがいることが判明する。

①は低予算映画なので、範囲も狭く、人類滅亡という感じはしないのですが、ゴーストタウン然とした寒々とした雰囲気は漂っています。
また、町はずれに谷があり、そこでは、彼が昼間の間に息の根を止めた吸血鬼たちを焼き払っています。
焼き払う、煙がもうもうと立ち込めており、陰惨な雰囲気を醸し出しています。
さらに、吸血鬼たちは後のゾンビのようで、ノロノロと動き回るだけで、彼が住む家の中に入ることすら出来ません。

②で描かれる範囲も、彼の家族が中心で、スケール感に乏しいです。
しかし、大量の感染者を火葬するために州兵が登場し、トラックで件の谷に運んでいくあたり、静かながらも異様な雰囲気です。
ここいらあたりの描写は、後のロメロ監督作品『クレイジーズ』に受け継がれているように感じました。

そして③。
ここの展開は原作とも異なりますが、時代を色濃く反映しています。

生き延びたひとびとは、ある種のワクチンを見つけており、そのワクチンを毎日接種することで、病の進行を遅らせることができる、というものです。
進行を遅らせるだけなので、吸血鬼のように、ニンニクや鏡を嫌う、昼間はほとんど活動できません。

で、その生き延びたひとびとは、発症せず昼間も活動できるヴィンセント・プライスを「伝説の怪物」と恐れており、ある夜、徒党を組んで、彼を亡きものにしようとやって来ます。
やってきた彼らは、大人も子供も黒装束に身を包み、その雰囲気はナチスを彷彿とさせるものです。
そして、彼らにより「伝説の怪物」は葬りさられてしまいます。
それも、教会の中で。
「わたしは・・・人間だ・・・」と叫びつつ。

そう、この③において、この映画はある種の神話的構造を呈しており、この部分だけでも後のリメイク版より優れています。

もうひとつ重要なのは、時代を色濃く反映している点で、米ソ対立の時代を鑑みれば、生き延びたひとびとはコミュニストの暗喩でしょう。
この点も、この映画が優れている点です。

低予算映画の安っぽさはあるもの、後の映画群に影響を及ぼした点や、その時代を色濃く反映しているという点から、評価は★3つ半としておきます。

 

 

 

 

------------------
2014年映画鑑賞記録

 新作:2014年度作品
  外国映画 1本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 0本)
  日本映画 0本(うちDVD、Webなどスクリーン以外 0本)

 旧作:2014年以前の作品
  外国映画12本(うち劇場 1本)←カウントアップ
  日本映画 4本(うち劇場 0本)
------------------

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック