『物語る私たち』:みんなが話し、私が受け容れたすべての物語 @ロードショウ・単館系

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『死ぬまでにしたい10のこと』などの女優サラ・ポーリー。
2006年の『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』、2011年の『テイク・ディス・ワルツ』と徐々に監督業に足場を移してきているようです。
本作『物語る私たち』は、自身の出自を巡るドキュメンタリー。
家族の中で「サラだけ、なんだか顔が異なるね」と言われ続けてきたことと、元女優で自由奔放だった母ダイアンを重ねて、さてさて自分というものを追い直そうとした映画です。
ですが・・・

自身を追い直すという直截的。直線的構造のドキュメンタリーではなく、事態の当事者を含めた関係者のインタビューを中心にして、多角的な視点で事態を探ろうとしています。

このさまざな関係者(というフィルター)を通すことで、事態は「一つの事実ではなく、ひとそれぞれの真実」として浮かび上がってくるあたりが面白いし、そのようなつくりにしたあたり、サラ・ポーリーの監督としての才能を感じさせます。
たしかに、事実は「サラの生物学的な父親は、これまで父と思っていたマイケル・ポーリーではない」ということですが、その事実をどのように受けとめるかがひとそれぞれで異なり、受けとめたことがらが「真実」であるといえます。

この映画で最も興味深いのは、映画の流れ(いわゆるストーリーにあたるもの)の基本が、「事実を知った父マイケルの回想記録」によるというもの。
それをマイケル自身が読み上げていく、そしてその読み上げていくさまのレコーディングを監督であるサラがみて指示しているというあたり。

このストーリーラインの作りかたは、少々屈折しているようにも感じられます(ただし、屈折しているだけでなく、うまく折り合いを付けているともいえます)。

さまざまな関係者からの証言を積み重ねる、この映画のつくりを、ふたりの父親はまったく別の観点で批評します。

実父は「当事者(すなわち、ふたりの父親とサラ、加えれば亡くなったダイアン)に絞るべきだ」と。
マイケルは「関係者の証言を集めるはよいとして、サラ、きみ自身はどう感じているのか」と。

当然、事実に対してショックがあったサラは、ふたりからの難問に対して折り合いをつけた結果がこの映画のスタイルとなったのでしょう。

すなわち、「事実は当事者から聞けばわかる」、しかし「真実は、関係者の観点からみえたものが真実。いくつもある」と。
そして、「その複数の真実を、わたしは受け容れている」と。

原題は「STORIES WE TELL」、わたしたちが話す物語。
ですが、たぶん正しくは「みんなが話し、そして私が受け容れたすべての物語」でしょう。

非常に興味深い映画でした。
評価は★4つとしておきます。



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2014年映画鑑賞記録

新作:2014年度作品:62本
 外国映画40本(うちDVDなど 8本)←カウントアップ
 日本映画22本(うちDVDなど 0本)

旧作:2014年以前の作品:122本
 外国映画96本(うち劇場 9本)
 日本映画26本(うち劇場 5本)
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