『夢は牛のお医者さん』:26年を振り返り、ひとが成長する重みを感ずる @特集上映

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本年2014年はじめにロードショウされたドキュメンタリー映画『夢は牛のお医者さん』。
見逃していたものの、年も押し詰まったこの時期に、日大芸術学部映画学科生主催の映画祭で上映されていたのを落穂ひろいすることができました。
ここのところ撮影に12年かけた『6才のボクが、大人になるまで。』や、撮影に5年かけた『いとしきエブリデイ』など、長期記録映画的劇映画を観てきましたが、こちらはなんと26年かけたもの。
時間をかければいいわけではないのですが、時間をかけただけあって、その間の変転というものを感じさせてくれました。
さて、映画。

新潟県山村の小学校。
過疎が進み、新入生もいなくなり、それでは寂しかろうと、3頭の仔牛を入学させることにした。
時は1987年。
そのとき、小学3年生だった少女は、牛の飼育をするなかで獣医になることを志す。
おりしも、彼女の父親は、冬季、家族と離れて暮らす出稼ぎに不満を覚え、数頭の牛を抱えて畜産をはじめていった時期でもあった。
ただただ「動物が可愛い」という思いだけで、獣医志す彼女ではなく、ひとと家畜とのあいだにある「経済的価値」も感じていくようになる・・・

と、作品の紹介文の最後の行に書いたことが、この映画ではかなりのウェイト(長さではなく、重要度)を占めています。

映画タイトルにあるような「単なる夢の実現の物語」ではなく、現実と折り合いをつけて夢を実現していくことのリアリティを写しとている映画だと感じました。

それは、獣医になった彼女が病気になった牛を前にしていう言葉にあります。

「このまま治療をつづけていいのか。治療を続けて出ていく出費(負担)と、その後、農家が得る収入を考えて、決断をする(促す)のも、獣医の仕事なんだと。そこがいちばんつらいです」と。

この「折り合いをつけて」生きていくことが、人間としてのつらさなんだな、と感じました。

先に観た『ある精肉店のはなし』では、人間は他のいきものの生命の上に成り立たざるを得ないことを感じましたが、その上に人間が作り上げた経済の枠組みからも他のいきものの生命を踏み台にしなければならざるを得ないことを、改めて感じました。

しかし、そのような犠牲の上で、獣医として他人(ひと)から信頼されるようになったあの少女は、なんと生命に輝いていることかと、これまた感銘を受けずにはいられないのでありました。

評価は★4つとしておきます。


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2014年映画鑑賞記録

新作:2014年度作品:94本(日韓合作1本あり)
 外国映画61本(うちDVDなど13本)
 日本映画34本(うちDVDなど 0本)←カウントアップ

旧作:2014年以前の作品:149本
 外国映画122本(うち劇場15本)
 日本映画 27本(うち劇場 5本)
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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2015年01月11日 19:40
なんとしっかりした女の子なのか。自分に対してブレないすばらしさ!久しぶりに同性にたいして感嘆しました。

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