『メルボルン』:第二のアスガー・ファルハディに納得 @東京国際映画祭アンコール上映
昨年2014年の東京国際映画祭で好評だった作品のアンコール上映会があったので、見逃した作品を2本、鑑賞しました。
1本は『メルボルン』、イラン映画です。
その内容から「第二のアスガー・ファルハディ」ともいわれた作品です。
さて、映画。
人生の飛躍となるであろう、数年間に及ぶ予定の海外留学行きの当日。
若いカップルが希望に胸を躍らせて旅立ちの支度をしながら、別れを惜しむ訪問客たちの相手をしている最中、事件は起きる。
希望の日に突如発生した異常事態に彼らはどう対応するか?
(以上、東京国際映画祭公式ページより抜粋)
うむむむ、これはもうほんとにアスガー・ファルハディ監督の『別離』『ある過去の行方』を思わせる作品でした。
ほとんどマンションの一室での出来事。
起こった事件を隠すためについた嘘が事態を混乱させていく。
なんだけれど、りゃんひさには全然ダメでした。
どうも「物語のための物語」という感じ。
ネタバラししてしまいますが、ここで起こる事件とは・・・
海外留学で引っ越し作業をしている若い夫婦が、隣室のベビーシッターから乳飲み子を預かり、その赤ん坊が目を離した隙に突然死してしまうというもの。
うーむ、設定が無理過ぎないかしらん。
若い夫婦は、子育て経験がない。
隣室の住人とは全くといっていいほど面識がない。
そして、引っ越し作業で荷造りしていて、その後、家具等を処分するために業者が来る、というような状況で、そもそも乳飲み子を預かるかしらん?
預ける方も預ける方だ。
預けるベビーシッターも、薬を買いに出る、すぐ戻る、というのだから、「おいおい、連れて行けばいいんじゃない」と思ってしまう。
で、映画はそんなやりとりは省いて、赤ん坊を預かった後から始まり、上記のような事情が話が進むうちに判るような仕掛けになっている。
それって、脚本としてちょっとズルいんじゃない。
とにかく、観客の鼻づらを引っ張って連れまわそうとしているとしか思えない。
なので、観ていてかなり不愉快になってしまいました。
赤ん坊が、ヒッチコック映画でいうところの「マクガフィン」だとでもいうのかしらん。
それだと、かなり不謹慎。
(マクガフィンとは、ストーリーを進める上での鍵となるもので、基本なんでも構わないのだけれど)
ヒッチコック映画の『ロープ』や『ハリーの災難』の死体とはわけが違う。
前者の死体は「悪意を持って殺した結果」、後者の死体は「どこからともなく湧いて出た(かのような)死体」。
つまり、この映画の「不注意で起こった」死とは、訳が違う。
その上、この映画では、結果、赤ん坊の死体をさらに関係のない老婦人に押し付けてしまうのだから、性質が悪すぎる。
いくらスリリングに撮られていても、不愉快で不謹慎な映画には賛同できません。
評価は★2つとしておきます。
<追記>
引っ越し用の真空バッグにカラフルな衣装を詰め込んでいくオープニングタイトルは、ひさびさに観た美しいデザインなのでワクワクしましたが、内容がこれではガッカリでした。
(ポスター画像 追加2015.05.15)
------------------
2015年映画鑑賞記録
新作:2015年度作品:11本
外国映画 8本(うちDVDなど 0本)
日本映画 3本(うちDVDなど 0本)
旧作:2015年以前の作品:27本
外国映画20本(うち劇場 5本)←カウントアップ
日本映画 7本(うち劇場 0本)
------------------
この記事へのコメント
全く受け付けませんです、ハイ・・・。