『毛皮のヴィーナス』:あぁ、またも絡め捕られたる男のハナシ @DVD・レンタル

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昨年末にロードショウされたロマン・ポランスキー監督の『毛皮のヴィーナス』、DVDで鑑賞しました。
6月に旧作の『テナント/恐怖を借りた男』を観たのだけれど、またしても絡め捕られたる男ののハナシで、ポランスキー監督らしさが目立ちました。
さて、映画。

作家マゾッホの小説『毛皮を着たヴィーナス』を基にした舞台のオーディション。
主演女優のオーディションは、若いバカ女優たちばかりで、ほとんど絶望しかけていた脚色家兼演出家のトマ(マチュー・アマルリック)。
そこへ現れたるは、小説の主人公と同じ名前のワンダと名乗る女優(エマニュエル・セニエ)。
ワンダの強引さに押し切られた格好で、しぶしぶオーディションを始めたトマであったが、次第に彼女の魅力に絡め捕られて、自身の内面をさらけ出して、とうとう主客が転倒する・・・

というハナシ。

マチュー・アマルリックは、若い頃のポランスキーにそっくり。
エマニュエル・セニエはポランスキーの妻だから、なるほどなるほど、と思ってしまう。

ワンダの魅力に絡め捕られて、自身の内面をさらけ出していくトマは、とうとう主客が転倒してワンダになってしまうあたりは『テナント/恐怖を借りた男』とそっくり。

原作舞台の魅力だろうが、舞台と現実との境が曖昧で(劇中、曖昧を意味するフランス語と、アンビバレンス(自己分裂の意)が混同されるのも興味深いが)、虚実がないまぜになっていくあたり、すこぶる面白い。

映画は、巻頭・巻末に劇場の外観を写す以外は舞台と客席でハナシが繰り広げられるのだけれど、終盤一か所だけトマが舞台裏に隠れるシーンがある(婚約者への電話のシーンだが)。
この舞台裏は、トマの深層心理の暗喩でもあり、このような短いシーンで効果的に使うあたりは、上半期評判の『バードマン』の冗長さと比べると、さすが年の功である。

映画は、女性崇拝を顕示していたものの、その実、女性蔑視の心理を隠していたトマが手ひどいしっぺ返しが食らわせられるというようなオチなのだが、世の「セクハラなんてしてないからね」なんていっている男性(特に上位職層のひと)が観ると笑ってられないだろう。
まぁ、そんな単純な映画ではないのだけれど。

ポランスキー監督としては『おとなのけんか』などと同じく小品かもしれませんが、かなり満足満足。

評価は★★★★(4つ)としておきます。




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2015年映画鑑賞記録

新作:2015年度作品:55本
 外国映画43本(うちDVDなど 7本)←カウントアップ
 日本映画12本(うちDVDなど 0本)

旧作:2015年以前の作品:82本
 外国映画68本(うち劇場15本)
 日本映画14本(うち劇場 3本)
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