『天使のはらわた 赤い教室』:石井隆・曾根中生による『西鶴一代女』 @フィルムセンター
東京国立近代美術館フィルムセンターで6月下旬から上映されている「特集・逝ける映画人を偲んで 2013-2014」の企画。
『飢餓海峡』の続いて出かけたのは、1979年製作『天使のはらわた 赤い教室』。
この映画で偲ばれる映画人は、監督・脚本 曾根中生、撮影 水野尾信正、照明 熊谷秀夫、主演(村木役)蟹江敬三、と多い。
日活ロマンポルノ『天使のはらわた』シリーズ最高傑作と称させる本作、さて。
ポルノ雑誌を出版してる村木(蟹江敬三)。
あるとき観た8mmブルーフィルムに出演していた女(水原ゆう紀)に心を奪われ、憑りつかれたようになってしまう。
その後、ふとしたきっかけで女がしがないラブホテルの受付をしていることを知り、会ってほしいと持ちかけるのだが・・・
というハナシ。
その後、女が出演したブルーフィルムは、実際の暴行現場を撮ったものだということがわかり、女をあの事件からどんどんと転落していく。
そして、男はその転落していく女に憑りつかれたようになるが、女を救い出すことができない・・・
泉つとむによるメランコリックな音楽、水野尾・熊谷コンビによるヌメるような画づくり、ここぞとばかりの長廻しの曾根中生の演出と見応え十分。
とはいえ、日活ロマンポルノなので、官能シーンがあまりに長く、観ていて辟易してしまう。
観ているうちは気づかなかったのだが、美貌ゆえに暴行され、その後どんどん転落して、果ては人前で情交を見せ、身体まで売るようになる、そのとどまるところのなさ、女の絶望は・・・
あれれ、これってもしかしたら、井原西鶴の「好色一代女」ではありますまいか。
溝口健二の『西鶴一代女』も、かつて同じくフィルムセンターで観たので、そんな連想が働いたのかしらん。
それにしても、原作・脚本の石井隆の世界はその後もほとんど変わっていない。
それほど多くは観ていないが、2003年に脚本・監督した杉本彩主演の『花と蛇』も、ほとんど同じような物語だからだ。
評価は★★★☆(3つ半)としておきます。
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2015年映画鑑賞記録
新作:2015年度作品:55本
外国映画43本(うちDVDなど 7本)
日本映画12本(うちDVDなど 0本)
旧作:2015年以前の作品:83本
外国映画68本(うち劇場15本)
日本映画15本(うち劇場 4本)←カウントアップ
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