『荒野のガンマン』『サム・ペキンパー 情熱と美学』: お勉強の2本立て @名画座
名画座ポイントがたまったので、さて何を観ようかと泰然と構えていたら、利用期限が間近。
ということで鑑賞したのが『荒野のガンマン』『サム・ペキンパー 情熱と美学』の2本立て。
サム・ペキンパーが監督した劇場用映画は全部で14本。
『荒野のガンマン』がデビュー作で、『サム・ペキンパー 情熱と美学』は全14本の足跡を関係者のインタビューを交えて描いたドキュメンタリー映画です。
まずは『荒野のガンマン』。
南北戦争終結から間もない米国。
イエローレッグ(ブライアン・キース)は、南北戦争当時、自分の頭の皮を剥ごうとした南軍兵士を探していた。
ある日、立ち寄った町の酒場で首吊りされようとしている男ターク(チル・ウィルス)を助ける。
イエローレッグは、タークと相棒のビリー(スティーヴ・コクラン)と三人で、銀行強盗を企み、ヒーラーという町を訪れた。
そこで、ダンスホールで働く女キット(モーリン・オハラ)と知り合いになるが、襲おうとした銀行は別の無法者たちによって襲撃され、その混乱の最中にイエローレッグが放った銃弾が、キットの幼い息子の命を奪ってしまう・・・
というハナシで、とにかくストーリーがよく判らない。
イエローレッグの復讐話(それも復讐相手がタークだと後に判明)と、キットが息子の遺体を戦争で死んだ夫の墓の横に埋葬するために荒野をゆく話とがうまく噛みあわず、まったく要領を得ない。
『サム・ペキンパー 情熱と美学』から窺うと、原作者が書いた脚本がひどく、リライト権もなかったようだ。
見どころとしては、キットの夫が眠っている教会のシーン。
無人となった町に、廃墟同然に朽ちようとしている教会が、無常を感じさせる。
キットの夫の墓がなかなか見つからないあたりがよい。
アクションシーンはそれほど見どころはなく、褒めれば異色の西部劇、貶せば正体不明な西部劇、といったところ。
オリジナルはシネスコサイズだが、鑑賞したのはスタンダード版。
テレビ放送用の原版から起こしたものらしく、すこぶる画像が悪く、夜のシーンなどは何が映っているかも判然としなかった。
評価は★★★(3つ)としておきます。
『サム・ペキンパー 情熱と美学』。
こちらは、全14本の足跡を関係者のインタビューを交えて描いたドキュメンタリー映画で、資料的価値が大きい。
14本全部挙げると、
『荒野のガンマン』『昼下りの決斗』『ダンディー少佐』『ワイルドバンチ』の4本が60年代、
『砂漠の流れ者』『わらの犬』『ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦』『ゲッタウェイ』『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯 』『ガルシアの首』『キラー・エリート』『戦争のはらわた』『コンボイ』が70年代、
遺作の『バイオレント・サタデー』が1983年。
このように眺めると、70年代は問題を起こしつつもコンスタントに撮っていたことがわかる。
やはり『ワイルドバンチ』の評価が高かったのだろう。
りゃんひさが観ているのは、『ワイルドバンチ』『ゲッタウェイ』『ガルシアの首』『コンボイ』『バイオレント・サタデー』と少ない。
映画を観はじめた70年代当時から、既に「暴力描写の監督」「流血の監督」という評判だったので、敬遠していました。
『バイオレント・サタデー』などは、緊張感もないサスペンス映画で、トホホでした。
ペキンパーの繊細な部分が色濃く出ているといわれている『砂漠の流れ者』と『ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦』は観てみたいと感じました。
そうそう、この映画のことがおざなりになっちゃいましたが、『ダンディー少佐』『ワイルドバンチ』などの映画製作映像や、その他映画の撮影秘話が登場するので、資料的価値は大きいです。
監督の掘り下げという点では、すこし足りないですけれど。
評価は★★★(3つ)としておきます。
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2016年映画鑑賞記録
新作:2016年度作品:25本
外国映画18本(うちDVDなど 0本)
日本映画 7本(うちDVDなど 1本)
旧作:2016年以前の作品:25本
外国映画22本(うち劇場 6本)←カウントアップ
日本映画 3本(うち劇場 0本)
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