『ファンタスティック・プラネット』:異様で奇怪で奇態な画面にクラクラ @DVD・レンタル
1973年製作のアニメーション映画『ファンタスティック・プラネット』、DVDで鑑賞しました。
TSUTAYAの企画「発掘良品 100人の映画通が選んだ、本当に面白い映画」で、先ごろレンタルリリースされたものです。
この企画で紹介される作品の中には、えぇぇ?っというのも多いのですが、この作品は、おぉぉ!って感じ。
まぁ、よくぞ全国展開してものだと感心しきりであります。
さて、映画。
舞台は、未開の惑星(原題「La Planete Sauvage」)イガム。
高度な文明を持つ全身が青い巨人型生物オム族と、未開の文明しか持たない虫のような小人型生物ドラーグ族がいる。
オム族からみればドラーグ族は虫けらと同じ。
彼らが繁殖するのは困りものなので、駆逐しようとするが・・・
というハナシは、文明と非文明、宇宙での物語の様相だが、異人種間の争いものの変型である。
そういう意味では、ストーリーそのものは、それほど目新しいところはない。
強いて挙げれば、頭輪のような機械を通じて行われるオム族の教育方法。
その機械をぶんどって、ドラーグ族が知識を身に着けるあたり。
なので、見どころは、その画にある。
ローラン・トポールの原画を切り紙アニメにしたその画面は、なんだか麻薬を吸ったような感じがする(吸ったことはないが)。
この幻想的、幻惑的、蠱惑的な感じ。
登場する生物は、一様に異様で、奇怪で奇態。
どことなく見覚えがあるような作風・・・
おぉぉ、わが愛する諸星大二郎に似ている。
特に『ど次元物語』から始まる怒々山博士シリーズに(好事家しか判らないと思いますが・・・)。
家庭サイズの大型テレビ(もう中型レベルかもしれないけど)で観ただけでも脳髄の奥の方がクラクラするような感じだったのだから、IMAXで観たならば、さぞかし悶絶するだろうなぁ。
評価は★★★★(4つ)としておきます。
余談。
この映画をはじめて観たのは、かれこれ30年以上前のこと。
劇場初公開日を調べてみると、ユーロスペース配給で1985年6月21日となっている。
手元の映画手帖には、前年の1984年に大阪府立のホールで観ており、時期を同じくして同じ場所で『ジョニーは戦場へ行った』『モダン・タイムス』を観ている。
記憶を掘り起こすと、大阪府(だか大阪市だか)の「人権週間」の企画上映だったもよう。
この作品を「人権を考える資に・・・」として選択した大阪府(だか大阪市だか)は、相当ドンがっている。
そういえば、その際の上映は、フランス原語版で日本語字幕がなかったような・・・
たぶん、そのときも、人権について考えることなく、異様な画面に目が奪われていたのだろう。
あわせて、同時収録の短編アニメーション『かたつむり』について。
『ファンタスティック・プラネット』と同じく、ルネ・ラルー監督、ローラン・トポールとルネ・ラルーによる脚本、ローラン・トポールによる作画を切り紙アニメにしたもの。
音楽もアラン・ゴラゲールと同じで、1966年の製作(原題「Les Escargots」)。
ストーリーは・・・
不毛の地でキャベツを栽培している老人。
不毛の地なので当然にしてキャベツは育たない。
それを悲しんだ老人が涙を流すと、キャベツはみるみる大きくなっていったが、キャベツを食べるカタツムリも大きくなっていき、終いには人間をも凌駕する大きさになって、町を破壊していった・・・
というナンセンスなもの。
カタツムリを退治した後に、別の巨大生物が現れるというオチもあるが、オチはそれほどおもしろくなく、巨大カタツムリが町を破壊するさまがおもしろい。
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2016年映画鑑賞記録
新作:2016年度作品:41本
外国映画28本(うちDVDなど 0本)
日本映画13本(うちDVDなど 1本)
旧作:2016年以前の作品:54本
外国映画45本(うち劇場 9本)←カウントアップ
日本映画 9本(うち劇場 2本)
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