『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』:素晴らしい画力で語られる海の神話 @ロードショウ・単館系

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夏休みにアニメ。
お定まりの図式なんだけれど、なかなか食指の動くアニメが少ないです。
まぁ、とにかく騒がしそうなのは遠慮して・・・
今回鑑賞したのは『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』、アイルランドその他の合作映画です。
さて、映画。

海辺の灯台に暮らす一家は、灯台守の父と息子のベン、それに幼い妹シアーシャ。
子どもたちの母親はシアーシャが生まれると姿を消してしまっていた。
実は、母親はアザラシの妖精セルキー。
セルキーの歌には、石になってしまった妖精たちを解かす力があるのだが、母親はシアーシャを生んだ際に、歌声を喪ってしまったのだった・・・

というハナシで、アイルランド(ケルト)の神話というか民話に基づいた物語で、とにもかくにも画面が素晴らしい。

ケルト独特の線描をバックにして、登場人物の造形のほとんどを丸まっちい流線形で形作られており、それを観ているだけで、あぁとため息が出てしまう。

個人的に、アニメーションの魅力は画、と思っており、その画も写実的なものよりは、デザイン性が高く、シンプルなものの方が好み。
なので、この映画は、あぁ、こんな絵が動くのかぁ、ということだけで、うっとりしてしまう。

そして、物語の根底にある神話的世界が素晴らしい。

妖精たちが石化してしまった理由が、フクロウの魔女の息子を思いすぎることによる過剰な愛情が、哀しみや悩みを除去することで生じたというのが興味深い。
さらに、フクロウの魔女の息子が大きな海神で、実は、石化した海神がシアーシャたちが暮らす灯台のある島だった、というあたりも一驚である。

ただし、物語の展開的に、途中、町に行かざるを得なくなったベンとシアーシャの、町での物語がやや退屈。
これは、絵的魅力が、海の描写に比べて少々落ちるから。
もうひとつは、妖精たちがひげ面の老人で、(古いひとにはわかると思うが)ゲバゲバ90分のゲバゲバおじさんみたいで騒々しいのには、ちょっとげんなり。

とはいえ、日本製アニメにない、絵が動く魅力を満喫でき、なかなかの秀作である。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2016年映画鑑賞記録

新作:2016年度作品:74本
 外国映画53本(うちDVDなど 8本)←カウントアップ
 日本映画21本(うちDVDなど 4本)

旧作:2016年以前の作品:85本
 外国映画68本(うち劇場14本)
 日本映画17本(うち劇場 5本)
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この記事へのコメント

ここなつ
2016年09月08日 15:43
ゲバゲバおじさん(笑)!
確かに、アイルランドの妖精って、あんまりカワイクないんだなぁ…と思ってしまいました。石にされている元妖精それぞれも、あまりカワイクない感じでしたよね。
TBさせていただきます。
2016年09月08日 16:32
ここなつさん、コメントありがとうございます。
お、ゲバゲバおじさん、わかってくれて嬉しいです。
ここなつ
2016年09月08日 17:55
ゲバゲバピー!
ですからね。

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  • 「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」

    Excerpt: 以前、「キリクと魔女」というフランス・ベルギー・ルクセンブルクのアニメ映画を観たことがある。アフリカの村で産まれたキリクという名の赤ん坊が、段々と成長して、囚われ人を救う為に魔女を追って旅に出る物語だ.. Weblog: ここなつ映画レビュー racked: 2016-09-08 15:44