『ロス・ホンゴス』『ソフィアとガンコ親父』:中南米コロンビア映画上映会にて鑑賞

画像

10月に入ってからのロードショウ公開作品にはあまり食指が動きません。
ということで、中南米のコロンビア製作された映画の上映会があると知り、2本鑑賞しました。
1本目は、2014年の東京国際映画祭のコンペティション部門でも上映された『ロス・ホンゴス』。
原題「LOS HONGO」、スペイン語では「H」は発音しないので、今回の上映会では『ロス・オンゴス』と表記されていました。
さて、映画。

コロンビア第三の都市カリ。
母親と二人暮らしの黒人少年ラスは工事現場で働きながら、ストリートペイントとスケートボードに情熱を燃やしている。
ふたりは、ここ半年ばかり前に、太平洋に面する街から移住してきたばかり。
ラスは、ストリートペイント用のペンキを現場から失敬しており、それがバレて解雇されてしまった。

ラスの友人カルヴィンは、がんを患っている祖母と二人暮らし。
両親は離婚しており、父親は国民的な歌手。
自身は美術学校に通っている。

ふたりはストリートペイントを通じて知り合い、意気投合し、町のグラフィックアート仲間と知り合うようになる・・・

といった物語で、ふたりの青年の、さしずめ「コロンビアン・グラフィティ」といったところ。

あまりカッチリとしたストーリーはなく、金権政治で腐敗した現在の社会に対しての憤りをストリートペイントにぶつけていく・・・そんな物語。
彼らが出会う人々も若く、社会に対してラップミュージックやパンクロックといった形で何らかの反抗をしているのだが、それらが功を奏しているとはいいがたい。

また、彼らよりも前の世代では、これらの現状をどのようにみているのかといえば、そこいらあたりは、あまりよくわからない。
ラスの母親はルーツはコロンビアではないらしく、同郷出身の同年代の女性たちと家の中で故郷の歌らしきものを合唱して憂さを晴らしているが、失業したラスの行く末を思って、見ず知らずの選挙に出馬中の有力候補者に窮状を訴え出たりもする。
対して、歌手であるカルヴィンの父親は、現在の社会的地位が高いため、現状に満足をしている、としかみえない。
つまり、若いラスやカルヴィンのような若い世代とは、あまり価値観は共有できていない。

そんな中で、ひとつ心に残るエピソードがある。
それは、カルヴィンの祖母が、自身のアルバムをふたりにみせながら語るコロンビアの内乱時代の昔話。

かつて、ラスが暮らした太平洋側の街で教師をしていたというカルヴィンの祖母。
彼女の教え子のひとりが、暗黒街の大立者、麻薬王になった。
きっかけは、かつての内乱時代。
その教え子の眼の前で、母親と女きょうだいが乱暴されて殺された、そのため、彼は誰かれなく復讐をし、暗黒街での大立者になった・・・というもの。
年老いたカルヴィンの祖母から語られるこのエピソード、淡々としていただけに余計に心に残りました。

ラスとカルヴィンの反抗・・・
結果としてはうまくはいかないのだけれど、ドッグピス(犬の小便)かもしれないが、些細な痕跡だけは残すことができた。
そんな結末の、ほろ苦い、青春グラフィティ映画でした。

評価は★★★(3つ)としておきます。

画像

2本目の『ソフィアとガンコ親父』(原題「Sofia y el Terco」)は2012年製作の映画。

山奥の田舎の村で暮らす初老のソフィア(カルメン・マウラ)。
彼女の夫は、缶詰などの食料品屋を営む旧弊なガンコ親父(グスタフォ・アンガリータ
長年の夫婦生活の記念に、夫から水着を贈られ、海の見えるリゾート地への旅行を予定していたところ、夫の食料品の店員が怪我をして、店を任せられないと夫は言い出してしまう。
幼馴染のメルセデスに相談したら、先だった彼女の夫も仕事一筋で、ガンコな夫の言いうことなど聞かずに、自分とともに隠れて旅行に出ればよい、と勧められる。
が、旅に出ようとした矢先にメルセデスは心臓発作でポックリ逝ってしまう・・・

といったところから始まる物語で、その後、ひとりで旅に出たソフィアと、ひとり残されたガンコ親父のダメダメ独り暮らしぶりが交互に描かれていきます。

監督のアンドレス・ブルゴスの演出は、かなり洗練されており、少ない台詞で、サイレント映画の手法を用いて画面だけでわかるように描いていきます。
特に前半のソフィアと夫との生活は、日々の繰り返しを同じアングルで、少しだけ異なる動作で撮ることによって笑いを誘っていきます。
ここいらあたりはジム・ジャームッシュ監督最新作『パターソン』でも使われた手法。

そんなリズムを少々崩しての後半、ソフィアの上手くいかない旅行模様のロードムーヴィも悪くありません。
行方不明になった村の若い女性が街道沿いのドライブインで娼婦をしていたり、村の酒場のダウン症(と思われる)の一人娘が幻視のように描く絵画が、ソフィの海水浴姿と重なったりと、前半に微妙に散りばめられた伏線もうまくスパイスとして活かされています。

ガンコな夫と暮らしていた時には無口だったソフィアが旅から帰ってきて饒舌になるラストも、台詞はオフで聞こえないといった洒落た演出でまとめています。

ソフィア役のカルメン・マウラ、スペイン語圏での映画出演は100本以上。
ペドロ・アルモドバル監督の初期作品の常連だっただけに、さすがに上手い。

評価は★★★☆(3つ半)としておきます。

------------------
2017年映画鑑賞記録

新作:2017年度作品:81本
 外国映画63本(うちDVDなど16本)
 日本映画18本(うちDVDなど 0本)

旧作:2017年以前の作品:54本
 外国映画46本(うち劇場鑑賞13本)←カウントアップ
 日本映画 8本(うち劇場鑑賞 3本)
------------------

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック