『ナチュラルウーマン』:素のまま自分を再び見出す力強さ @ロードショウ・シネコン

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米国アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞した『ナチュラルウーマン』、ロードショウで鑑賞しました。
観たのは2月末なのですが、雑事に忙殺されて、レビューアップが遅くなりました。
さて、映画。

チリのサンチャゴ。
ウェイトレスをしながらナイトクラブで歌うマリーナ(ダニエラ・ベガ)。
トランスジェンダーの彼女には、年の離れた恋人オルランド(フランシスコ・レジェス)がいて、誕生日を祝ってもらうなど幸せな日々を送っていた。
が、突然、自宅で倒れ、救命処置もむなしく、彼は逝ってしまう。
遺されたマリーナは悲嘆にくれるまもなく、オルランドの弟や元妻により、彼のもとから引き離されてしまい、トランスジェンダーであることを理由に理不尽ともいえる仕打ちを受けてしまう・・・

といったところから始まる物語で、監督は『グロリアの青春』のセバスティアン・レリオ
前作では、60歳にしては男を見る目がない女性を主役にして、少々ガサツな感じで引いてしまったのですが、今回は、マリーナが受ける理不尽な仕打ちを的確に描いていき、そこいらあたりは少々気が滅入るくらいです。

とはいえ、まだまだトランスジェンダーに対する偏見は相当にあるでしょうし、かなり現実的なヒリヒリ感です。

で、この映画、そんなヒリヒリ感だけでなく、マリーナが自分自身と向き合う中盤以降、さらに胸に沁みる演出をみせていきます。

「男おんな」と侮蔑され、顔に透明テープを巻きつけられ、「怪物」と罵られて道端に放り出されるマリーナ。
テープを取るために、路上の自動車の窓ガラスに顔を写すあたりから、鏡に映るシーンを巧みに取り入れた演出が続きます。

自分は何者なのか、自分は愛される資格はあるのだろうか・・・
そのように問い続けるマリーナ。
最後には、素っ裸で股間に置いた小さな鏡で、自分の顔を見つめなおします。
ジェンダーを越えた先にある、自分という存在・・・

そして、オルランドの愛の証(もしくは希望)といってもいい、オルランドが死ぬ直前、誕生日に買ってくれて手渡されないまま行方不明になったイグアスの滝へのチケットを求めて、再び男の姿に戻るマリーナ・・・

チケットは見つからずとも、素のまま自分を再び見出し、オルランドが愛していてくれたことを見つけ出す・・・
素の自分を見つけ出したマリーナが力強く歌うラストシーンは、本当にしびれました。

日本タイトルは、劇中使用されているアレサ・フランクリンの同名曲に由来しますが、「You Make Me Feel Like a Natural Woman」という歌詞、この映画にピッタリです。

評価は★★★★☆(4つ半)としておきます。

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2018年映画鑑賞記録

新作:2018年度作品:15本
 外国映画12本(うちDVDなど 0本)←カウントアップ
 日本映画 3本(うちDVDなど 0本)

旧作:2018年以前の作品:8本
 外国映画 6本(うち劇場鑑賞 1本)
 日本映画 2本(うち劇場鑑賞 0本)
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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2018年03月28日 15:53
トランスジェンダーであることだけで、法律的にはともかく、ここまで人道的にひどい仕打ちを受けなければならないのか。当人が一番苦しんでいるにもかかわらずに。憤りを強く感じました。それ故、ラストの彼女の歌声には感動すらしました。いい映画ですね。
りゃんひさ
2018年03月28日 21:59
ぷ~太郎さん、コメントありがとうございました。
ラスト、やはり凄いです。

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