『ラブレス』:どうにもこうにも、監督が指した暗喩が判らず・・・ @ロードショウ・単館系
ロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督最新作『ラブレス』、ロードショウで鑑賞しました。
ズビャギンツェフ監督の作品は2003年の『父、帰る』以降、毎作品日本公開されており、期待半分、裏切られること半分の思いで観に行っているのですが・・・
さて、映画。
ロシアの一流企業で働くボリスには、妻ジェーニャとローティーンの息子アレクセイがいるが、妻との間は上手くいっておらず、離婚話が進行中。
どちらがアレクセイを引き取るかを揉めているのを、当事者である息子に立ち聞きされてしまう。
翌日、アレクセイは行方不明となってしまう・・・
というところから始まる物語で、いつもながら巻頭の映像に魅了される。
冬のロシア、凍てついた川、川岸に生える樹木は雪をたたえている。
寒い寒い風景を映していると、最後に三羽の水鳥が川に浮かんでいる・・・
そして、いきなりの雪解け。
無味乾燥な建物を暫く映していると、中から少年少女が飛び出してくる。
学校だったようだ。
アレクセイ少年はみんなから離れて、雪解けの川のほうに向かい、木の根元に埋まっていた長いひも状のものを、雪がなくなった枝に放り投げ、それが絡みつく・・・
この冒頭には、ソ連からロシアに変わった頃のことが暗喩として描かれているのだろう。
何を指しているのかはわからないが。
この冒頭で引き込まれてしまうのだけれど、冒頭の暗喩が何を指しているのかがわからないので、その後の物語におもしろさを感じません。
ボリスもジェーニャも、自分たちの欲望(というか渇望)を満たすために、配偶者とのは別のパートナーとよろしくやっている。
息子アレクセイのことは一顧だにされない。
そんななかで、先に記した事態となるのだが、とにかく、ボリスとジェーニャがそれぞれよろしくやっているシーンが長く、まだるっこしくて、げんなりしてしまう。
その後、ボリスとジェーニャはアレクセイの捜索に乗り出すのだけれど、警察は全然手を出さない。
代わりに協力してくれるのが、市民ボランティア団体なのだが、みていると、あまりに統制が取れすぎていて、まるで軍隊のような感じ。
うーむ、これもなにか現代ロシア(もしくはこの映画の背景となった21世紀すぐのロシア)の暗喩のようなのだが、そこいらあたりがわからない身としては、ただただ不気味。
そうして捜査が続けられるのだが、ボリスとジェーニャの心の底には、アレクセイが見つからなければいいのに、と思っている節がありあり。
ネタとしては判りやすいハナシのようにも思えるのだけれど、どうにももったいぶった演出が登場人物の心の懊悩には到達していないようで、わかったようなわからないような現代ロシアの暗喩を秘めただけの映画をみせられたような思いでした。
評価は★★★(3つ)としておきます。
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2018年映画鑑賞記録
新作:2018年度作品:24本
外国映画19本(うちDVDなど 1本)←カウントアップ
日本映画 5本(うちDVDなど 0本)
旧作:2018年以前の作品:18本
外国映画13本(うち劇場鑑賞 1本)
日本映画 5本(うち劇場鑑賞 1本)
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