『エヴァ』:映画としてのキャラクター設定不足が目立つ @ロードショウ・単館系

画像

ジェイムズ・ハドリー・チェイスの小説『悪女イヴ』の映画化『エヴァ』、ロードショウで鑑賞しました。
そういえば・・・
と記憶と記録を探ったところ、1962年にジャンヌ・モロー主演、ジョゼフ・ロージー監督で『エヴァの匂い』というタイトルで映画化されていました。
ですが、未見。
さて、映画。

男娼のベルトラン(ギャスパー・ウリエル)、顧客の老作家に買われたある日、その老作家が浴槽で急死してしまう。
ベルトランは急死した老作家が残した最新戯曲を自分のものにし、作家デビューを果たし、その戯曲は好評を得る。
次回作をせっつかれるが書けるあてもない日々を送っていたベルトランだったが、冬のある日、恋人と過ごそうと約束した別荘にひと足早く出かけると、そこには車両故障で避難していた男女がいた。
どうみても、娼婦とその客。
客を追い出したベルトランだったが、その娼婦(イザベル・ユペール)に心奪われてしまう・・・

といったところから始まる物語で、年上の魅力的な娼婦にはまって転落していく若い男のクライム物語。

なのだけれど、どうにもこうにも、主人公に共感が湧かない。
共感というよりも、物語に合点が行かない。

粗野な男娼が、偶々、実力のある作家の未発表原稿を手に入れたからといって、それで成功してしまうか? というあたり、まるで納得できない。

原作がどうかは別にして、この映画、基本的には、巻き込まれ型スリラーのはずで、巻き込まれるのは「幸運」。
ただし、それがトラブルを生んでいき、抜き差しならない男が、定形のスリラーとは異なって破滅するハナシ、であるはず。

ならば、この幸運に「巻き込まれる」設定(場面だけでなく、キャラクター設定も含めて)をうまく描かないと、観客は納得してハラハラできない。

個人的には、ベルトランが老作家に買われた際には、作家は作品のオチの台詞が見いだせずに苦慮していたが、ベルトランが最後の台詞を考案し、作家もそれを面白いと思っているうちに急死、ベルトランは最後の台詞を提案したのだから、この戯曲を失敬しても当然・・・というぐらいの設定が欲しかった。

というようなことがないので、その後の展開、ほとんどベルトランのバカげた行動にしか見えず、場当たり的にトラブルがトラブルを生む、という感じを拭い去れない。
(彼だけではなく、他の登場人物の「思惑」が事態を予期せぬ方向に転がしていくので、他も書き込み不足なのだけれど)

手練手管の高級娼婦役のイザベル・ユペールは、『エル ELLE』と同じような役どころだが、今回の方が役の底が浅く、華奢な上に歳を隠し切れず、少々苦しい。

面白そうな題材だけれど、映画にするには、かなり細部を書き込まないと運命にもてあそばれる感覚を伝えるのは難しい、と思った次第。

評価は★★★(3つ)としておきます。

------------------
2018年映画鑑賞記録

新作:2018年度作品:46本
 外国映画37本(うちDVDなど 3本)←カウントアップ
 日本映画 9本(うちDVDなど 0本)

旧作:2018年以前の作品:39本
 外国映画32本(うち劇場鑑賞 3本)
 日本映画 7本(うち劇場鑑賞 1本)
------------------

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

ぷ~太郎
2018年07月24日 14:45
女に一目ぼれした時点ですでに勝負はついていた。男の描き方に魅力がないので、それに対応する女の魅力も活きてこないもどかしさを終始感じましたね。ユペールがこの役に惚れ込んだもはよくわかりますが、キャスティング的にはモローの方が適役でしょう。ユペールはどちらかというと自身も破滅的になっていく役の方が面白いです。
2018年07月25日 21:27
ぷ~太郎さん、コメントありがとうございます。
破滅へまっしぐら的な物語ですが、主役の男性、そもそも破滅的人生ではなかったのかしらん、と思うと・・・どうもなぁって感じでした。

この記事へのトラックバック